Fintechにどう向き合うか

少し前に取引所が経営破綻したことで話題になった疑似通貨・ビットコインを始め、既存の金融にテクノロジーが変革を迫る動き、いわゆるFintech(フィンテック)が注目を集めています。

資産運用業界にとってもFintechの動きは他人事ではなく、例えば特定のアルゴリズムをプログラミングして、それでコンピューターに投資判断を行わせるロボット運用はすでに導入されつつあります。
その結果、ファンドマネージャーやエコノミスト・アナリストの重要性が相対的に低下し、また個人投資家のニーズに応えるサービスを安価に提供することが期待されています。

また疑似通貨の存在や決済手段の多様化は、個人の生活に影響を与えるだけでなく、やはり資産運用のあり方にも影響があると思われます。

そのようなことからFintechには関心を持っていたのですが、このほどFintechに関する勉強会(読書会)があるということを聞きつけ、参加してきました。

定期的に開催されている会のようですが、Fintechについては普段と比べ参加者が非常に多かったようで、Fintechに対する注目度の高さが伺えます。

今回は日経BPムックの「Fintech革命」という雑誌が課題図書で、この本をベースに議論が行われました。

いろんな人が参加していただけに、議論の切り口も多様で、気付くこと、学ぶことがとても多かったです。
自分が常識だと思っていた金融業務についても変容が迫られるものも多そうで、業界人としても、金融サービスの消費者としてもいろんなことを意識する必要があると感じました。

また、金融サービスの提供のあり方が変わる故に、これまで金融サービスにアクセスできなかった人にも容易にサービスの提供ができるようになる(Social Inclusion)一方で、逆に格差の拡大を促し、場合によってはサービスへのアクセスを閉ざすケースもあるのではないか(Social Exclusion)という意見もあり、このあたりは社会政策とセットで議論する必要もあるのかもしれないと感じました。

勉強会の運営に差し支えがあると申し訳ないので会の中での議論の詳細は割愛しますが、やっぱりいろんな人の話を聞くのは学びや刺激があっていいですね。

よく言われる通り、Fintechには既存の法制度で整理しきれない部分が多く、特にビットコインは現状は通貨ではないので、法令上の取り扱いについても検討すべき点が多いため、コンプライアンス担当としてもどのように整理がなされるのか興味は尽きません。

例えば、投資信託の運用としてビットコインに投資することは認められるのか、ビットコイン建ての株式や債券を発行することは可能か、あるいはビットコイン建ての投資信託は可能か、ビットコインはどのように評価をするのか、など投資信託に関連する論点だけでも次々と思い浮かびます。

まだまだビットコインは法定通貨ほど普及していないので、これらの疑問が現実になるのは時間がかかりそうですが、思考実験としては面白いと思いますし、ビットコインに限らず資産運用サービスに影響を及ぼし、コンプライアンスとしても何らかの対応を求められる局面はいつか来ると思いますので、この分野についてもできるだけアンテナを張っておきたいと思います。

ちなみに運用業界の知人も会に参加していたので、会の後にFintechが業界に変革を迫る中、投信業界はどういうサービスを提供していくべきなのかという話をしていました。

妄想に近い話も多かったですが、いつかはそういうサービスを提供していけるようになりたいと強く思いました。
ということで、これからは妄想を共有できる仲間とたくさん議論を重ねて業界の発展に貢献したいと思います。

ホント、妄想は楽しい!!(笑)

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