Themed Research International Project (TRIP)

先日無事にLiving Management Consultancy Projectを終え、その直後にはベルギー・ブリュッセルのEU本部や企業訪問を行うThemed Research International Project (TRIP)がありました。

TRIPは3日間の行程で、初日は学校でEUにおけるビジネスに関するゲストの講演を聴き、翌日から1泊2日でブリュッセルにてEU本部および企業訪問を行い欧州の政治事情や欧州に置けるビジネスのあり方について学びます。

初日は3人のゲストがRSMにて講演されました。

そのうちの一人は、オランダ前首相のヤン・ペーター・バルケネンデJan Peter Balkenende)氏でした。

彼は話の中でR&D(研究開発)への投資の重要性に触れ、事例として日本企業がR&Dへの投資を重視していたからこそノーベル賞受賞者(島津製作所の田中耕一氏)を輩出できた、ということを挙げられており、世界における日本の存在感はまだまだ大きいと感じました。

オランダ前首相
オランダ前首相、ヤン・ペーター・バルケネンデ氏 @RSM

翌日は総長に学校に集まり、バスにてブリュッセルへ。
ブリュッセルまでは約2時間の旅です。
本を読んだり雑談しているとあっという間に到着。

ホテルに到着後、まずはホテルにてコンサルタント会社のゲストのスピーチ。
お題はなんと「EUにおけるロビー活動」。
ロビー活動というと、ビジネスにおける正攻法ではない、少々後ろめたい感じが個人的にはあるのですが(もちろん、いかに大義を打ち出すかにもよるでしょうが)、こちらではロビー活動が重要な地位を占めるようです。
日本ではロビー活動から縁遠い生活を送っていたので、そもそもそれをテーマにスピーチをすることも含めて非常に印象的でした。

ちなみにロビー活動で重要なことは、「いかに強く、効率的・効果的にアピールするか」ということで、これは何事にも言えることですね.

昼食後、次はEU本部にてEU機構に関する講演。
バスで20分ほどと非常に近いです。

EU本部
EU本部ビル

EU本部のビルに入るには、空港のような厳重なセキュリティチェックがあり、その後身分証明書を確認されます。

講演はEU機構の成り立ちについてとEUの雇用政策についてでした。
それぞれ興味深いものでしたが、特に前者について関心のあるポイントがいくつかありました。
そのうちの一つは、EU機構はその内部にオンブズマンを抱えているということ。
もちろん企業内に監査部門を抱えているのは一般的であり、EUにも監査部門がありますが、監査という枠を越えて行政をチェックするような機関を包摂するというところにEUの意気込みを感じると共に、中立性はどのように担保するのか少々疑問に感じました。

ちなみにその点をスピーカーに聞いて見ると、ウェブサイトに事例を紹介しているので是非見てください、とのこと。
そのうちチェックしてみようと思います。

その次は欧州投資銀行(European Investment Bank)への企業訪問。
企業訪問は選択制で、EIBCocaColaMcKinseyInBevGEL’Orealの中から選ぶことになっています。

元々EIBを希望していたのですが、枠の関係からCocaColaに行く予定でした。
しかし、急遽先方の予定が変更になり、2日目に予定されていたEIB訪問が初日に繰り上げになったため、参加できることになりました。

ということで、EU本部から歩いてEIB事務所に向かいます。

EIB
EIB事務所。BEIはフランス語、EIBは英語表記

EIBではEIBの提供する金融サービスについて伺いました。
EIBは公的な金融機関でありながらベンチャーキャピタル業務を行っていて、またそれが結構うまく回っているということで二度驚きました。

公的金融機関ということもあり、貸し出しに当たっては収益性やリスクのみならず環境等にも配慮されているということでした。
そこで、社会性については環境以外の要素についても考慮しているのか、またそれらを数値化して評価しているのかについては両方ともその通りということでした。
こちらもウェブサイトに載っているそうですので、確認してみたいと思います。

EIB訪問を終え、次はディナー。
何人かの卒業生なども参加してのネットワーキングの場となりました。

みんなででぃなー
クラスメイトと。

お酒が入ったこともあり、普段話さないクラスメイトとも談笑したり、起業した卒業生と話すことができ、非常に有意義な時間になりました。

ディナーが上品だっただけに、量的に物足りないと感じた人が多かったようで、ディナーが終わった後に多くのクラスメイトが夜の街に繰り出したようです。
自分は残念ながら集合時間に少し遅れたため、一人でメールの対応や就職活動の準備などをしていました(涙)

翌朝は朝食を食べて、ホテルで講演。
朝食はさすがブリュッセルの高級ホテルということで豪華です。
チーズもハムも充実しています。

朝食
ホテルの朝食。ソーセージやピラフも美味。

朝食を食べたら講演。
2日目の講演は英国石油メジャーのBPと自動車大手のDimler
BPはエネルギーを取り巻くビジネス環境について、DimlerはEUにおけるビジネスとEU機構・欧州法体系との関係をメインに話されていました。

BPの講演では、近年の社会情勢(金融危機や中東動乱)のファイナンスへの影響について質問してみました。
回答によると、メキシコ湾沖での事故の時は借り入れが非常に難しかったようですが、それを除けばBPのビジネスは非常に強く、また低金利ということもあり、ファイナンスに特段の影響はなかったようです。

講演が終わると次は企業訪問。
この日は本来の予定であったCocaColaに向かいます。

コカコーラ訪問
CocaCola@ブリュッセル

CocaColaのオフィスでは、これまで作られた商品やボトル、ペットボトルを再生した作られたグッズ、冷蔵庫などを見せてもらいました。
それぞれ趣向が凝らされていて、非常に面白かったです。

なお、オフィス内は撮影厳禁ということで、ほとんど写真を撮ることはできませんでした。この辺りの情報管理もすごいですね。

ちなみにこのオフィスにはCocaCola社の自販機があったのですが、価格は全て€0.00
コーラ好きにはたまりませんね。

企業訪問からホテルに帰ってくると、急いでお土産のベルギーチョコレートを買い求め、その足でバスに乗車・・・したのですが、出発直前にホテルにチョコレートを置いてきてしまったのを思い出し、再び走ってホテルに帰り、戻ってきました。
短距離走でならした昔を彷彿とさせる走りでした(笑)

帰りの道中も、これまで話したことのなかったクラスメイトに話しかけ、盛り上がっていました。
その中で、卒業後どこで働くのかを聞かれ、「欧州で働きたいけど、現実的には日本企業の現地採用しかないけれどそれでは本社採用と待遇の差があるため迷っている」と話しました。
それに対し、「日本企業はなぜ現地ビジネスで現地の人を幹部登用しないのか」ということを聞かれ、「幹部の登用は社内政治マターだから」みたいな回答をしました。

もちろん本社との連携が重要なのは当然ですが、それは各地のビジネスにおける最重要事項ではないでしょうから、それは理由にならないと思います。
これは今後日本企業が海外展開を強化する上での課題になるのだと思います。

そんな風に今回のブリュッセル研修を締めくくるのにふさわしいことを話しながら、無事にロッテルダムに到着。寄り道せずに帰宅し、これにてTRIP終了!

欧州のビジネスについて色々考えることができたのはもちろん、人前で質問したり、普段話さないクラスメイトと話したり、と実りの大きい3日間でした。

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