2022年度履修科目

2022年度の履修科目

先日卒業論文計画書と一緒に奈良大学の新年度の履修届を出していましたが、この度無事に履修登録完了の連絡が来ました。

今年度の履修登録科目。丁寧に注意書きも。

レポートが合格している史料学概論、東洋史特殊講義、書誌学を含め、専門科目についてはほぼすべて履修しています。スクーリングも1科目を除きすべて登録しました。

また、せっかくなので一般科目(教養・自由選択科目)のうち今後の歴史学の研究に役立ちそうな科目として人文地理学、文化人類学及び環境論、本業(法学)に役立ちそうな科目として法学概論と国際関係論を履修しました。
一応法律系の分野で博士号を取っているのですが、一般的な法学についての知識は十分とは言えないので(博士号も経営法に対するもので、法学ではないです)、基礎から勉強し直してしっかりとした土台の上に研究ができるようにしたいと思います。
国際関係論は本業とは分野が異なりますが、今般のウクライナ侵略などの国際情勢を理解するためには国際法の知識も必要になるためこの機会に学んでみようと考えた次第です。ちなみに専門科目の西洋史特殊講義は16世紀から現代までの英国史が対象となるため、これも現代の国際関係を理解するために役立つと期待しています。

履修登録通知に丁寧に注意書きがされているように、上記の一般科目は卒業に必要な単位としてカウントされません。ただ、単位習得試験待ちの3科目と必須科目である文化財学演習Ⅲと卒業論文、及びいくつかのスクーリングの単位が取得できれば卒業要件を満たすので、今年度は卒業論文に時間とコストをかけつつも、卒業単位に縛られることなく広く浅く自分のアンテナを広げていきたいと考えています。

 

履修科目の書籍

今年度も最大限に履修登録をしたので結構な数のテキストが届きました(以前に履修した科目のテキストは変更がなければ再度配布されません)。

今年度履修科目のテキスト。7冊とはいえ軽くはない…

新規に配布されたテキストは7冊。昨年度に配布された未習のテキストを加えると履修科目に対応するテキストは10冊以上になります。
10冊というと少なそうにも思えますが、テキストだけあってそれぞれ読み込むにはそれなりの時間と労力が必要です。さらに今年は卒業論文のための資料の読み込みも行うことになるので簡単には読了できないと思います。

ただ、今年の戦略はレポート終了済みの3科目以外は卒業論文を優先しつつ、適宜専門科目の学習を進めてスクーリング科目の履修を減らし(費用節減)、可能であれば一般科目にも手を出してみるという感じなので、全部は読めなくても仕方ないかと割り切っています。

とりあえず当面は単位習得試験がなく卒業論文計画書の合否も未定のため、西洋史特殊講義の学習を始めています。近現代の英国史がテーマですが、本ブログも「ゆーけー」のお仕事日記ですので、ゆーけーつながり(ゆーけー=UK=英国)1ちなみに本ブログタイトルの「ゆーけー」は学生時代の活動で英国について学ぶことが多かったことからきているので、まさに英国つながりです。で英国への理解を深めたいところです。

今年度が終了するころに自分が奈良大学での学びからどのような知識や経験を得ているのか、そしてどのような視野を持っているのか今から楽しみです。

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    ちなみに本ブログタイトルの「ゆーけー」は学生時代の活動で英国について学ぶことが多かったことからきているので、まさに英国つながりです。
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投資信託計理と法的な論点

コンプライアンス、投資信託計理を語る!?

コンプライアンスの付加価値

日頃コンプライアンスの仕事をしていて思うのは、コストセンターとみられがちなコンプライアンスの業務に付加価値をつけられないかということ。守りの職種ではありますが、何らかの方法で攻めの要素をつけたいな、と。

そういう思いもあり、多少なりとも情報発信をして自分やひいては自分を雇用する会社のブランディングにもつながればと思っています。
このブログはさておき、そのような情報発信の場として社外の学会・研究会に参加して、いずれは自分の名前で投資信託業務に関する考察を発表して名前を売っていきたいという夢があります。
本当は歴史関係、あるいはアセットマネジメント×歴史で物書きとかしてみたいですけど、歴史の専門性がまだ弱いのでそちらは遠い将来の夢になりそうです。そのための奈良大学での学びではあるのですが。

そして、先日参加させていただいている研究会で投資信託業務を法律的観点から考察・報告する機会をいただきました。
テーマは自分で設定することができるのですが、今回は投資信託計理(投信計理)を選びました。

投資信託と投信計理

個人投資家の方にとってなじみの深い金融商品としては上場株式と投資信託がありますが、このうち上場株式は取引時間中についている株価で取引が行われるので、買い手も売り手も値段についてはわかりやすいです(株価自体の評価はさておき)。

一方、多数の株式や債券などに投資している投資信託については基本的に自動的に取引される値段はつきません1上場されている投資信託(ETF)は上場株式と同様に常に値段がついています。
そのため、誰かが毎日投資信託が保有している財産や口数を計算して投資信託の取引価格(価値)を計算する必要があります。この投資信託の取引価格を基準価額といい、基準価額を計算する業務は投信計理と呼ばれます。計算を行って算出する業務のため「計理」といい、一般的な会計の「経理」とは区別されています2英語ではinvestment/fund accountingといい、会計と同じ単語になっています。

投資家は基準価額に基づいて取引をするため、基準価額が正確であることは非常に重要であり、投資信託を運営する投信会社の受託者責任という観点からも決して軽視できない業務です。
しかし、投信計理はとても専門的であることから投信会社の他部署の人間ですら業務のイメージはあれども具体的に何を行っているかというと詳しくなく、まして投資信託業界の外にいる人には完全にブラックボックスになっていると感じています3投資信託約款には投資信託財産の評価を法令や投資信託協会規則に則って行うことが定められていますが、これだけでは具体的な認識にはつながらないと思われます。
そのため、投信会社の責任について論じられている論文や判例では、投信会社の運用や開示・説明責任について扱っているものはあっても、投信計理について触れたものを見たことがありません4判例についてはそもそも投資家との間で基準価額の妥当性について争われることがないからだと思います。

しかし、繰り返しになりますが基準価額を正しく算出することは運用パフォーマンスと同様に投資家の利益にとって影響を及ぼす事項であり、受託者責任の観点からも業界内外で議論が活発に行われるべきではないかと思います。
特に昨今では投信計理業務のあり方も変化にさらされており、その変化が受託者責任の観点から許容されるものかは深い議論が求められると考えています。

そこで、今回は投信計理の業務を整理するとともに、受託者責任の観点からいくつかのテーマについて自分なりに考えてみました。
もっとも自分自身投信計理の業務経験はほとんどないため、投信計理の担当者に説明を聞きながら資料を作成しました。それでも一時期投信計理業務に触れていたことは大きな助けになりました。何事も経験は大事ですね。
投信計理は専門的かつ技術的であるため、その業務についてあまり他部署の人間が積極的に語ることはないように思います。その意味では今回の私の報告は珍しいものと思いますし、他のコンプライアンス担当者との差別化になることを期待しています5もっとも投信計理からコンプライアンスに異動した人がいたらすぐに崩されそうなアドバンテージ…。
ともあれせっかくいろんなことを考えたので、本記事では研究会で報告した内容をざっくりご紹介したいと思います。

 

投信計理業務と法的な論点

投信計理業務の概要

前述のとおり、投信計理業務は概ね基準価額を算出する業務ということができます。基準価額は毎営業日算出される必要があるため、投信計理業務は毎営業日基準価額を算出する作業を行っています。

投資信託の基準価額、すなわち投資信託受益権6投資信託の持ち分は投資信託受益権という形をとっています。一口あたり7実際には1万口単位で表示されることが多いです。の投資信託の価値は投資信託財産の価値を投資信託受益権口数で割ることで計算されます。したがって、基準価額の計算には分子である投資信託財産と分母である口数の両方を正しく把握することが必要で、それこそが投信計理業務の役割ということになります。

もう少し詳しく書くと、基準価額の算出は概ね次のような業務に細分化されます。

①投資家の申込を反映した口数の把握
上記のように基準価額算出の計算の分母は投資信託受益権の口数であるため、毎営業日の口数を正確に把握する必要があります。口数は投資家の方の購入・換金の申込によって変化するため、投資信託の販売会社8投資信託は主に証券・銀行で販売されているほか、投信会社自ら販売していることもあります(直販)。から毎営業日の申込額の連絡を受け、システムに反映しています。

②取引約定の取り込み
投資信託の目的はお客様から預かったお金で運用担当者(ファンドマネージャー)が株式や債券を取引して運用することですが、その取引の結果投資信託財産の中身は変わっていきます。そのため投信計理担当者は全ての取引の内容を把握して投資信託財産に反映させ、その内容を常時更新していきます。

③コーポレートアクションの反映
投資信託財産の内容は概ね保有銘柄とその数量で構成されますが、その内容は運用担当者の取引以外の要因で変化することもあります。その具体例として組入銘柄のコーポレートアクションがあります。例えば保有している株式に株式分割・株式併合があれば取引をしなくても保有株数は変わりますし、合併などがあれば銘柄自体も変わるでしょう。
そのような情報も適時把握して必要に応じて投信計理システムに取り込むことになります。

④時価評価の取り込み
上記の②・③の作業を経て投資信託財産の中身が確定したら、それぞれの資産に評価額を当てはめて保有している資産の価値を確定させます。
保有している資産の評価の仕方は投資信託協会の「投資信託財産の評価及び計理に関する規則」に具体的に定められていて、投信会社が恣意的に評価をすることはできません。
時価に関するデータはベンダーから提供を受け、それもシステムに取り込んでいきます。

⑤費用計上
投資信託の運営には人件費やシステム費用その他様々な費用が必要ですので、そのための費用を信託報酬などの形で受益者に負担いただいています。
それらの費用は特定の時点で投資信託財産から支払われますが、一度に投資信託財産に反映してしまうと受益者になったタイミングで受益者間に不公平が生じますので、帳簿上では日々均等9信託報酬の場合、年率を365(閏年の場合は366)で割って毎日費用を計上しています。に費用を計上し、基準価額に反映させています。

⑥基準価額の算出・受託銀行との照合
費用を控除した投資信託財産の評価額と口数が決まると基準価額が算出できますので、システムで基準価額を計算します。ここで投信会社の基準価額算出業務は終わります。
しかし日本では基準価額の正確性を確保するため、投信会社と受託銀行の双方で基準価額を算出し、照合して一致したら基準価額が確定としていますので、投信会社で基準価額を算出したら受託銀行と照合して一致させるというプロセスを踏みます。

⑦基準価額の公表
基準価額が確定すると、投信会社は投資信託協会、販売会社、日刊紙に基準価額を連絡します。自社ウェブサイトでも公表されます。
投信会社から連絡を受けた関係各所はその後の後続処理を行うため、基準価額の算出はあまり遅くならないようにする必要があります。

これらの作業は上述のとおり基本的には投信計理専用のシステム10投資信託業界ではT-STARという野村総合研究所(NRI)が提供しているシステムがよく使われています。を使用します。業務の大部分がシステム化されているため手作業はそれほど多くないようですが、システム対応していない部分については手作業で対応したり、投信計理担当者としての判断が求められる場合も多々ありますので、決してシステムで自動的に完了してしまう業務ということはありませんし高い専門性が必要な業務だと思います。

・・・と書いてみましたが、この内容誰向けなんだろう?業界外の方にはどうでもいい情報、投信計理業務担当者にとっては自明すぎ、その他部署にとってもわかっていることだし、自分で書いておいてなんですが微妙な内容かも(汗)

投信計理の論点

投信計理の基本的な流れは上述のとおりですが、業務の枠組みはシンプルなように見えても投信計理業務は法的な観点から多くの論点を抱えているように思います。
昨今でも投信計理業務に影響を及ぼす事項が議論されており、それらについては技術的な観点はもちろん法令・受託者責任の観点からも論じられるべきと考えます。技術的な面は投信計理業務の実務家にお任せするとして、私は受託者責任の観点からいくつかの論点について考えてみました。

①基準価額の算出一元化

日本では基準価額は投信会社と受託銀行が算出・照合して一致して確定させますが、米国や欧州ではアドミニストレーターに指定された会社が単独で基準価額算出を行います11ただし欧州の投資信託(UCITS)では受託者にあたる預託機関が基準価額算出の最終的な責任を有しています(UCITS指令(Directive 2009/65/EC) 第22条第3項(b))。。そのため日本のように基準価額算出の業務が重複せず、その分コストが安くなると考えられています。
海外からもそのような慣行の見直しを求められており、業界としても基準価額の算出を投信会社、受託銀行、あるいは第三者に一元化できないかの検討を行っています。

当然のことながら技術的にも法的にも議論すべき点が多いのですが、個人的には基準価額が関連する業務について投信会社・受託銀行に受益者に対する責任があるわけで、それぞれ基準価額を算出する受託者責任があるように考えています。そうでなくてもどちらに責任があるのかはっきりさせなければ第三者への委託も難しいと思います(誰が委託するのか、最終的な責任を誰が負うのかは明確にすべき)。

もちろんこの点はいずれ業界でも見解が統一されるでしょうし、さらに言うと一元化自体すでに一部で実現が進んでいるので、私が知らないだけで議論がかなり深まっているのでしょう。この点についてはさらに情報収集しないと自分の名前で責任をもって論じるのは難しそうですので勉強を続けていきたいと思います。

ちなみに研究会の参加者もこの点に強い関心を持たれたようで、この点についての質疑応答が一番盛り上がりました。

②東京証券取引所の取引時間延長の投信計理業務への影響

東京証券取引所では2024年度後半に取引時間を15時30分まで延長することが計画されていますが、基準価額の算出業務には時間制限があるため投信計理業務にも大きな影響があることが予想されます。主要な論点についてはすでに東証も把握していて報告書にまとめられています。

時間的制約がある投信計理業務においても影響が大きいため改善策がいくつか検討されており、それには先述の基準価額算出一元化に加え、バリュエーションポイントの導入が含まれています。
投資信託財産の評価において株価は取引時間終了時の値を採用することになっていますが、取引時間終了が30分伸びるということは基準価額の算出業務も30分後ずれすることになりますが、外部の後続業務の都合を変えることは難しいので基準価額の算出プロセスが単純に30分少なくなり、業務が回らないおそれがあります。
そのため、基準価額の算出一元化をすることで照合にかかる時間を節約したり、バリュエーションポイント、すなわち取引時間に関わらず15時の株価を採用して現在と同じタイミングで基準価額を算出できるようにしようとする案が出ています。

しかし、基準価額の算出一元化だけでなくバリュエーションポイントの導入についても議論すべき点は多いと思います。技術的な点に加え、特に指数への連動を目指す投資信託の連動性は確保できるのか、同じ指数を採用するETFとの商品性の差異の拡大12取引時間中値が付くETFと取引時間後でないと値がつかない投資信託ではすでに差異がありますが、仮に投資信託が15時の価格、ETFが15時30分までのリアルタイム価格となるのであれば商品性にさらに差が生じるように思います。は発生しないか、されにそれは投信会社の経営戦略にも影響しないか、引値以外に基づいて評価することについて投資家にどのように理解してもらうか、など私が少し考えただけでもいくつか出てきます。
もちろんそのような課題はすでに検討の俎上に上っていると思いますが、一業界人としても特に受託者責任の観点から考えてみたいと思っています。

これらの問題は特に業界・投資家への影響が大きいため報告の対象にしましたが、これ以外にも投信計理が関連する受託者責任に関する論点はたくさんあると思います。
今のところは投信計理業務にコンプライアンス担当者や学者が踏み込むことが少なかったため学術的な観点なども踏まえた議論はあまり多くないと思いますが(上記のテーマは投信計理に関するテーマが広く議論される珍しい事例です)、自分が少しでもその懸け橋になっていきたいです。
なお、誤解のないようにいうと投信会社の実務については法令遵守はもちろん投資家への影響についても考えられていますので、学術的な議論がなされていないから投資家保護が無視されているというわけではありません。

 

コンプライアンスのフロンティア

投信計理に限らず、投資信託という仕組みやその実務についてはすべてが法的にきれいに整理されているわけではなく、金商法や投信法などの業法や規則及び実務慣行としては一応の整理がされていても学術的に検討する余地がある論点がたくさんあります。
そしてそれは投資信託業界の外部からは見えづらく、業界の実務家が論点を見つけて論じるきっかけを作ることが重要だと思います。

個人的な認識としては、投信会社(資産運用会社)のコンプライアンス業務は比較的内容が決まっており、かつ他部署の業務を確認するなど受動的なものが多いので人によっては刺激が少ないとか知的好奇心を満たしにくいといった受け取り方をされるかもしれません。
実際に花形部門と言われる運用部門や商品企画、営業部門などと比べると地味でもあるので、コンプライアンスの仕事を積極的に希望する人もあまりいないようです。少なくとも私は人事異動の希望でコンプライアンス部門に行きたいという人を聞いたことがありません13他の管理部門からコンプライアンスに転職するというのは聞いたことがありますが。

しかし、上記のように投資信託の仕組みや実務をじっくり見てみると、実務としてはまわっていても法的・学術的にさらに整理する余地があるポイントはたくさんあります。コンプライアンスは多くの部署の業務に触れることができるため、そのような目で見ていけば考察のネタはいくらでも出てくると思います。実際私もそのような視点でコンプライアンス業務に取り組んでいますし、博士論文のネタもそのようにして集めていました。

ということで、資産運用会社のコンプライアンス業務にも仕事の仕方次第で知的好奇心を刺激する要素はたくさんあるので、上記のような点に魅力を感じる方には是非コンプライアンスでのキャリアも検討いただけると嬉しいです。
そんなことを書くと優秀なライバルが増えてヤブヘビになるかもしれませんが…(汗)

なお、本稿の内容は実務担当者へのヒアリングも踏まえて作成していますが、誤りがあればご指摘いただけると幸いです。

 

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    上場されている投資信託(ETF)は上場株式と同様に常に値段がついています。
  • 2
    英語ではinvestment/fund accountingといい、会計と同じ単語になっています。
  • 3
    投資信託約款には投資信託財産の評価を法令や投資信託協会規則に則って行うことが定められていますが、これだけでは具体的な認識にはつながらないと思われます。
  • 4
    判例についてはそもそも投資家との間で基準価額の妥当性について争われることがないからだと思います。
  • 5
    もっとも投信計理からコンプライアンスに異動した人がいたらすぐに崩されそうなアドバンテージ…。
  • 6
    投資信託の持ち分は投資信託受益権という形をとっています。
  • 7
    実際には1万口単位で表示されることが多いです。
  • 8
    投資信託は主に証券・銀行で販売されているほか、投信会社自ら販売していることもあります(直販)。
  • 9
    信託報酬の場合、年率を365(閏年の場合は366)で割って毎日費用を計上しています。
  • 10
    投資信託業界ではT-STARという野村総合研究所(NRI)が提供しているシステムがよく使われています。
  • 11
    ただし欧州の投資信託(UCITS)では受託者にあたる預託機関が基準価額算出の最終的な責任を有しています(UCITS指令(Directive 2009/65/EC) 第22条第3項(b))。
  • 12
    取引時間中値が付くETFと取引時間後でないと値がつかない投資信託ではすでに差異がありますが、仮に投資信託が15時の価格、ETFが15時30分までのリアルタイム価格となるのであれば商品性にさらに差が生じるように思います。
  • 13
    他の管理部門からコンプライアンスに転職するというのは聞いたことがありますが。
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卒業論文の準備

奈良大学の4年生になりました

先日2021年度の奈良大学通信教育部の成績をアップしましたが、4月になって特段プライベートの活動で動きがなくブログのネタに困っていました。とはいえ書くのをやめるとサボり癖がついてさらに更新しなくなりそうなので、場末のブログではありますがとりあえず徒然なるままに書き散らしてみようかと。

4月になって奈良大学の学生として新学期を迎え、4年生になりました。大学4年生になるのは2回目ですが、前回は就職活動と単位取得でヒイヒイ言っていたのに比べると今回は趣味のようなものなので気楽です。
大学4年生といえば、このブログを立ち上げたのは苦労した就職活動をつづるというきっかけがあったのを思い出します。かなり前になりますがよく続いていると我ながら感心します。ずぼらな運営ですけど、まずは奈良大学卒業まできちんと続けていきたいところです。

私のような人事異動や業務内容の変更がほとんどない業務環境だと人生の区切りを感じることがあまりないのですが(せいぜい年齢が〇十台に入ったとかでしょうか)、学生生活をしていることで〇年生という節目ができて新鮮な感じを受けます。日々目の前の仕事を片付けていくのも大事ですが、人生の節目・区切りを考えながら生きていくのも人生を充実させるために有効かも、と書きながら感じています。

 

4年生の手始め

新年度になりましたのでまず受講科目の履修届を提出する必要があります。
前年度にレポートを提出して単位習得試験待ちとなっている史料学概論・書誌学・東洋史特殊講義に加えていくつかのスクーリング科目をこなせば、必修の卒業論文・文化財学演習Ⅲと合わせて卒業に必要な単位を確保できるので、専門科目をいくつか保険で新規に履修するほか、自分の視野を広げるために自由選択科目(一般科目)も履修することにしました(自由選択科目は卒業単位にはカウントされません)。

単位取得自体はそれほど心配してませんが一番の関門は卒業論文でしょう。卒業論文をパスするためにはまず4月上旬の段階で卒業論文計画書を提出し、それが合格したら10月頃までに卒業論文の草稿を提出。そこで卒論提出の許可が出たら年明けに卒業論文を提出し最終合格すれば必要単位の取得をもって卒業となります。逆にどこかで躓くと卒業ができなくなりもう1年在学ということになります。

卒業論文計画書は履修届と合わせて4月上旬までに提出しなければなりませんので、それまでテーマや具体的な考察内容について考え抜いていました。
具体的にはテーマ・研究課題や現状の研究の進捗、そして今後の展望を記載しますので、現時点でも多少は研究が進んでいることが期待されているでしょうし、卒論の作成に向けてどのようなことを調べていくか道筋も考えておかなくてはなりません。
初めての大学の卒論の時は毎週ゼミがあり都度方向性の確認ができたので変な方向に行ってしまうことはありませんでしたが(そのかわり毎回シバかれました)、通信制の場合質問ができるとはいえ出たところ勝負という性格がありますので、指導教官の期待するレベル・方向性でなくて不合格になったらどうしようという不安はぬぐえません。
一応不可でも一度はコメントを踏まえて再提出できますので大丈夫とは思いますが、できればスムーズに進めたいところです。

 

ネタ集め

卒業論文計画書を作成するためには多少なりとも研究をしておくことが必要であるため、関係する資料を探すとともに実地を見てみることにしました。
卒業論文のテーマは小田原用水(早川用水)に関する内容を考えているので、小田原市内に残っている小田原用水の遺構を見てみることに。

小田原用水は芦ノ湖を源流とする早川から小田原城下に引かれた水道で日本最古の水道ともいわれます。設置は1545年頃に戦国大名の北条氏康が行ったとされています。1545年というと北条氏が関東に飛躍するきっかけとなる川越の戦いの前年であり北条氏領国の充実ぶりが伺えます。

早川から小田原城下なのでランニングがてら見ることができて非常に便利です。
文化財学や考古学の論文を書くなら自宅付近のテーマだと何度でも実物を見ることができるので深みを出しやすいかもしれません。
これは歴史学に限らず社会人の研究一般にいえるかもしれません。私の場合法学の研究も自分の実務経験からテーマを設定していますが、そのおかげで研究がしやすかったですし逆に自分の土地勘のないテーマ、アクセスの悪いテーマを選んでしまうと挫折しやすいように感じます。

早川沿いの小田原用水取水口

用水沿いに見ていくのが全容の把握に便利そうなのでまずは取水口から。
早川沿いにしっかりと小田原用水取水口がわかるようにしてくれています。

小田原用水(早川用水)取水口の説明

取水口の説明にはしっかり小田原北条氏時代に設置されたらしいと書かれています。
しかも江戸時代になっても利用されており、まさに時代を超えた小田原の民の財産です。

小田原市板橋(箱根板橋)にある小田原用水の説明

早川から小田原城下に向かう途中の板橋には小田原用水に関する説明が発掘調査の成果を挙げて説明されています。これは論文の参考になりそう!!

小田原城外にある小田原用水の説明

多くの観光客が訪れる小田原城でもしっかりアピールされています。
小田原用水は小田原城や曽我の梅林などと比べると地味な印象ではありますが北条氏の偉大さを如実に示す遺物なので大いにアピールしてほしいものです。水道は現代人の生活でも重要なものなのでその価値は理解されやすいでしょうし。

観光施設「なりわい交流館」にも小田原用水が再現されている

小田原城の近くには「なりわい交流館」という観光施設がありますが、その前には小田原用水が再現されています。小田原用水とつながってはいないのですが、小田原用水が小田原にとってどれほど重要な存在であるか伺えます。

とりあえず卒業論文計画書に向けた散策はこんなところです。
小田原用水の経路である早川から山王川まで歩いてところどころ写真は撮っていますが一般の民家が映り込んでいますのでアップは控えておこうかと。

さて、どんな卒業論文ができるか今から楽しみです。

 

おまけ

小田原の魅力は小田原城や新鮮な魚介、風光明媚な景色などたくさんありますが、食べ物屋さんも結構充実しています。

街中を歩いていると焼肉屋さんやホルモン屋さんの割合が高いように感じますが、ラーメンのお店も多いです。

その中で小田原を訪れる方にお勧めしたいのが小田原郵便局近く(小田原駅から徒歩5分くらい)の「城下町 どすん」さんの梅塩らーめん。

小田原郵便局近くの「城下町 どすん」さんの梅塩らーめん。あっさりしてうまし。

こちらのお店ではあごだしと鶏だしのラーメンを提供していますが、あごだしの梅塩らーめんはあっさりしているスープに塩味と酸味の利いた梅がよく合っています。小田原は梅が有名でこの梅も小田原産とのこと。

小田原にいらっしゃったら是非小田原用水と梅塩らーめんをご堪能ください!!

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2021年度成績

初年度の成績

奈良大学通信教育部での学びを始めて1年、多くの科目を履修していろんな角度から歴史学を学ぶことができました。通信課程という限定的な学習ではありますが得るものは多かったと思います。

それはそうと、そんな奈良大学での初年度の学習について成績表が送られてきたのでアップしておきたいと思います。誰得ではありますがね。

じゃーん!!

特筆すべき内容ではないですが、ある程度順調に学習は進められたのではないかと思います。歴史好きとはいえ学術的に歴史学を学んだことはないので当初は戦々恐々でしたが、ブログ記事にも綴ってきたとおり、それなりの学習はできたと思います。

この単位取得状況であれば2023年度は卒業論文の作成が認められるので、今年度は卒業に向けて卒業論文の作成を見据えた学習・研究がテーマとなります。
社会人になる前とは違い今回の卒業論文はただ卒業だけを見据えるものではないので、しっかり楽しみながら取り組んでいけたらいいと思います。昔よりは資力もあるので、必要があればお金もつぎ込んで充実した研究ができればなお良しです。
最初の大学時代は本当にお金がなかったなあ。。。

ともあれ、奈良大学初年度の学習はそれなりの成果を収めて終了することができました。
歴史の勉強・研究はこれからも続くと思いますので、この結果を自信に歴史学の道をマイペースに、しっかりと歩んでいけたらと思います。

ちなみにしばらく前に資産運用業界の敬愛する方とお話した時に、自己研鑽のためにはそれなりの額を書籍に投じねばならないという話を聞いたので、本業はもちろん歴史学にもきちんと投資しようと思います(本業にも!)。

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レポート返却(史料学概論・書誌学)_天と地と…

レポート返却:天と地と

今年度のレポートの提出を終え一安心という感じでしたが、レポートが合格していないと意味がないので早く結果が見たいと首を長くして待っていましたが、3つ出していたレポートのうち2つが今般同日に返却されました。

2つも同時に返ってくるのはありがたいなあ、と思ってノリノリで評価を見てみましたが、はたして…
ちなみに返却されたのは史料学概論と書誌学で東洋史特殊講義はもう少し待つようです。

 

レポート結果:史料学概論

まずは史料学概論。テキストは分厚く内容もかなり専門的な内容で結構ハードで、各種の史料の活用例を理解してまとめるのは大変でした。テキストで取り上げられている史料はなじみのないものが多く、しかも複数の史料を並行して活用して分析するという事例が多かったのでどの史料ををどのように用いて分析するかというのを理解するために何度もテキストを読み返しました。

ちなみに史料学概論のレポートについての記事はこちら。

 

そのように苦労したレポートの結果は…

 

ほぼA!!テキストの内容理解度だけBで惜しかったですが、これは自信がつきますね。
講評でも概ね褒めていただきました。褒められるとテンションが上がります。

試験も大変らしいですが、この勢いで乗り切ってしまいたいものです。
しばらく先なので記憶が薄れないか心配ですが。

 

レポート結果:書誌学

一方の書誌学。こちらは書籍の歴史や作り方というのは図画工作っぽく楽しんでテキストを読んでいましたし、テキストで説明されていることも結構頭に入ってきていたので、大学の掲示板では苦戦している声も見受けられましたがそんなに悪い評価にはならないと思っていました。

書誌学のレポートについてはこちらにまとめています。

 

さて、その書誌学のレポートの結果は…

 

・・・涙。っていうか血涙です。

一応合格なのでよかったですが、ほぼCというのはレポートとしては最低評価といえそうです。設題意図の把握がBということは設題の意図が理解できていながら中身がダメということなのでなおさら厳しい評価にも思えます。
西洋史概論のレポートの評価も凹みましたが、今回はその比ではありません。きつい。

 

しかし、西洋史概論もそうですが厳しい評価のレポートの方が実は講評が充実しているようにも感じます。評価がいいものについては良くも悪くもコメントすることがあまりないのかもしれませんが、そうでないものについては指摘すべき点が多く見つかったのでしょうし、それだけじっくりレポートを読んでいただいているのでしょう。コメントも本来の評価欄からはみ出るくらいびっしりと・・・。西洋史概論もすごかったですけど。
そう考えると厳しい評価はいわば愛のムチ(?)で、ありがたく受け止めた方がよさそうです。

色々コメントをいただいたのですが、特に印象に残ったのは漢数字とアラビア数字の混用を避けるようにというご指摘でした。私は意図的に和暦と西暦で使い分けていたのですが改めていくつか書籍を確認すると確かに西暦も漢数字で書かれていることが多かったです。せっかく意識するのであれば確認しておけばよかったと反省しています。

 

このように史料学概論の結果で浮かれて書誌学で落とされるというのは気持ち的には天と地と、という感じでした。
反省すべき点はありますが、とりあえず合格はいただいたのであとは何とか単位習得試験も乗り越えて早く卒業論文に集中したいものです。

もっとも、本業(資産運用業のコンプライアンス)関係でもプライベートの活動で報告・論文などのタスクがいくつかあるので同時進行となりそうでしばらくは歴史と法学で勉強と論文作成に追われそうです(汗)

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西洋史概論(4)_試験結果

西洋史概論の試験内容

今年度提出すべきレポートをすべて提出し、卒業論文関係の資料や本業の資産運用業関係の書籍をのんびりと読んでいたら、先月受験した西洋史概論の試験結果が返却されてきました。

先日も書いた通り西洋史概論のレポートの評価はかなり厳しく、何とか合格にはなったものの試験は大丈夫かと危惧していました。テキストは通読したとはいえ土地勘のない分野なので、知識が弱いところを問われると短時間で回答をまとめるのは厳しそうでした。
まあ事前に問題はわかっているので準備しておけばいいだけではありますが…

さて、当日。できるだけ時間をかけて回答したいので当然試験時間は1時間目(10:00-10:50)を選択します。在宅試験で当日中にポストに投函すればいいので、早い時間帯ほど時間をかけられるということです。

当日10:00、早速試験問題を確認。試験問題は「共和政ローマの発展について国制と対外関係について触れながら論ぜよ」というものでした。
古代ギリシアやキリスト教を論ずるのは難しいですが、古代ローマであればレポートで軍人皇帝時代(後期古代ローマ)を扱ったので、時代は異なるものの連続性もありますし比較的論じやすいテーマでした。問題を見た瞬間ほっとしました。

古代ローマ(西ローマ)は政体としては王政→共和政→元首政→帝政(→東西ローマ分裂)という変遷をたどります。すなわち共和政は貴族層が国王を追放して元老院主導の国体を形成してから、アウグストゥスが国家権力を集中させて政治を主導する元首政になるまでの期間となります。
したがって国制については元老院主導という政体の特徴、及び社会体制に大きな影響を及ぼす身分制度について論じることが中心となりました。
元老院主導というのは文字通り元老院が国家の意思決定の中心となるということで、国制組織としては元老院・政務官・民会があったところ、諮問機関にすぎない元老院が実質的に意思決定をリードしていることに共和政ローマの政体としての特徴があったと思います。もっとも民会も市民によって構成される立法機関として一定の影響力はあったようです。
身分制度についてはローマの中の身分制度とローマとローマ外の人たちの間の身分制度について論じました。前者は貴族と平民、後者はローマ市民とローマ以外の居住者との関係になります。前者については当初は貴族と平民の身分差の問題であったのが平民の中で経済格差ができるにつれてそちらの方が問題になったことが指摘できます。平民のうち富裕層は騎士身分として貴族層と同化する中、格差の解消のためにグラックス兄弟が改革に取り組んだことはよく知られていますが、この問題は共和政時代には解決を見なかったようです。
一方のローマ内外の居住者の法的権利の格差については同盟市戦争を経てイタリア半島の居住者全てにローマの市民権が付与されるという形で決着しており、格差の是正に成功しています。
これらの点が共和政ローマの国制・社会体制を規定するものであると考え、試験の回答にもこのような形で回答しました。

共和政ローマが発足したころ、ローマはまだイタリア半島の一都市国家に過ぎませんでした。しかし、イタリア半島の統一からカルタゴとの戦い、ギリシアや小アジア、その他の地中海沿岸地域へと勢力を拡大していきます。共和政ローマはオクタウィアヌス(アウグストゥス)の登場によって終焉を迎えますが、その時にはエジプトもローマ支配下になっており、共和政ローマの最大勢力圏は地中海の過半を覆っていました。さらに内陸でもガリアやイベリア半島を属州とするなど共和政ローマ時代の勢力拡大は著しいものでした。
この勢力拡大の背景には現地勢力との戦争があり、試験の回答では勢力拡大の動きとその背景となる戦争を論じることとしました。
この時代の勢力拡大の様子を見ると、共和政ローマは結構戦争をしていると感じます。そして戦争を続けるからこそ軍事力充実のために身分制度の改善も求められるわけで、この二つはリンクしていることも改めて考えさせられました。

 

試験結果

試験の回答は書きたいことをしっかり整理して書くことができたので単位の取得(60点以上)には自信がありましたが、どのような評価をされるのかはやはり気になります。

そして待っていた試験回答の結果は…

極上の結果とはいきませんでしたが一応優判定ということでよかったです。
でもあと20点分の論ずべきポイントがあったのかと思うと、心の隅っこで悔しい思いがあるような気もします。

それでも今年度最後の試験を無事に終えられたのはよかったです。
来年度はレポート提出済みの3科目を中心に試験を受けることになりますが、これらも躓かずに早めに試験を終わらせて卒業論文に集中したいところです。
ちなみに大学からは来年も当面は在宅試験となる見込みが伝えられており、確定ではないものの少々安心しています。
もっとも試験の準備で知識が身に定着することも多いので、本当は想定問題すべてを準備して試験会場で受験するというのが学習という面では望ましいとは思いますが、それを言うとヤブヘビになりそう…(汗)

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