Private Equity

MBAに人気の業種にファイナンスがありますが、その中でも人気があるのが投資銀行とPrivate Equity(PE)だと思われます。

そのうちPEはその名の通り上場していない未公開株に投資、あるいは上場している企業を買収して非上場にして、その後投資先の企業価値を高めて売却ないし再上場(IPO)して高いリターンを獲得する業態・ビジネスモデルを指します。

運営会社の考え方にもよりますが、一般的にPEは単に投資するだけではなく投資先の経営にも深く関わることができ、その点でもポストMBAとして人気を集めているのだと思います。

私もPEには関心があったので受講しましたが、予想通り人気の授業で定員一杯でした。

個人的にはPEの授業では、投資基準だけでなく投資の実務やPEファンドと投資先のコミュニケーション、どのように現場に入っていくのか、というテーマを期待していたのですが、前半は企業価値の算定に重点が置かれ、DCFなど企業価値の計算の仕方や財務分析に必要な指標についての説明が中心で普通のファイナンスの授業、という感じで物足りなく感じていました。

しかし後半は実際のPEの実務家を招いてそのPEの業務・投資案件について説明を受けることができ、また彼らの前でプレゼンをするケースもあり、自分が求めていた情報に触れることができました。
このクラスでもチームを組んでプレゼンを行うのですが、チームによっては実際にプレゼンするケースの投資先のお店を訪れて業務の実態を見てきて改善案を提案していたりもして、結構実践的な内容でした。

最後の授業ではチームごとにPEとして投資すべき企業を選んで、その企業をどのように買収し、企業価値を高めて上で投資を終了してリターンを生むかをプレゼンしました。

PEの授業にはMBAの学生のほか、MBAの卒業生も何人か参加していました。
そして私のチームはMBA2人と卒業生3人という面白い構成になりました。

最終プレゼンもチームデ行うのですが、卒業生は仕事が忙しいという事情もあって、図らずもこのタイミングで今年初めてチームをリードすることになりました。

幸いターゲットとする企業は卒業生のメンバーが提案してくれていたので、その企業の事業展開や市場の展望、株価動向、買収に必要な金額及びその調達、見込まれる収入とコストなどについてプレゼンの構成を決め、自分でできるところは自分で作りつつ、必要に応じてほかのメンバーに割り振って行きました。

一番手のかかるファイナンスのモデリングは自分が担当。
実はこの手の作業をしたことがないのですが、一番学ぶべき点でありますし、今後活かす機会も多いだろうと考え自分でやりきってしまうことにしました(ほかのメンバーの負担軽減にもなるため)。

ファイナンスのモデルについては、まず現在の時価総額を基に買収価格を想定し、それに対してどのような方法で資金調達を行うかを考えました(バイアウトファンドに対する投資、銀行からの融資、債券の発行)。

そして各資金調達の方法に対して資金調達コストを仮定し、WACC(加重平均資本コスト)を計算し、想定されるシナリオにおける収益を割り引いたりしてどの程度リターンを得ることができるのかを考えました。

自分の仮定や計算が妥当かどうか不安ではありましたが、とにもかくにもモデルを作り上げ、他のパートとくっつけてプレゼン資料を完成させることができました。

そしていよいよ最終回。この日は全てのチームがプレゼンを行いました。
我々のチームは最後だったのですが、各チームのプレゼン及び質疑応答が予定より長引き、我々のプレゼンが始まるときは既にお昼休みに入っていました(汗)
そのためクラスメイトはほとんど教室を離れていて、プレゼンのプレッシャーが小さかったのはありがたかったです。

プレゼンについてもこちらで割り振っていて、私はモデリングの説明を行いました。
モデリングこそがプレゼンの肝なので質疑応答が集中することも予想していましたが、全て覚悟の上でした。

そして予想通り質問はこの部分に集中。
時間がないこともあり質問自体は少なかったですが、脇の甘い点を鋭く指摘され、大変勉強になりました。

結果としてリーダーシップとモデリングという貴重な経験をすることができて大変有意義なプレゼンでした。

PE
モデリングについての説明。

実はPEについてもいくつか就職先としてエントリーしてみたのですが、やはり投資銀行やコンサルティングなどの経験がないと採用されるのは難しいようでした。

しかしながら、最近某ファンドにコンプライアンスというポジションで応募してみたら関心を持っていただいて、面接の中でコンプラという役割からも実際の投資業務に触れる機会は多く、フロント業務と近い部分で仕事ができる、というお話を聞きました。
そう考えると、必ずしも投資の意思決定の最前線にいることだけがPEで働くことではないし、自分の経験を活かすことでPEの醍醐味を感じるポジションで働くことも可能だと思うようになりました。

今回PEの授業で得たものを今後活かしていけたら嬉しいですね。

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RSM Japan Alumni Chapter設立

私が留学していたRSMは50年近くの歴史があり、エラスムス大学というオランダでも知名度のある大学が母体ということもあって、多くの日本人が学んできました。

しかしながら、実はこれまでこれらの卒業生をまとめる同窓会組織がなく、卒業生に連絡を取りたい時(出願やキャリアの相談など)には個別のつてをたどっていくしかありませんでした。

一方、私が知っていただけでもRSMの卒業生は日本を代表する名門企業で働いていたり、あるいは自分でビジネスを立ち上げていたり、と様々な分野で活躍されていて、他の卒業生も同様に活躍されているというのは容易に想像できました。

そこで、これまでの卒業生が相互に知り合いネットワークを広げること、またRSMの一層のプロモーションによって優秀なアプリカントを獲得することを目的として、今回RSM Japan Alumni Chapterを立ち上げ、12月18日に設立イベントを開きました。

年末で皆さんお忙しい時期なのですが、在校生と新入生が同時に日本にいるのは12月中旬以降の約2週間だけ、ということもあって卒業生の皆さんにもご予定を調整していただいてご出席いただきました。

調べてみたところ、RSMの日本人卒業生は約100人いて、そのうち1/4程度の方に今回ご出席いただくことができました。なんと20年前に卒業した方までお越しくださいました
卒業生の連絡先は学校からもらったのですが、実際に反応があったのは約半数で、残りの半数の方の連絡先は実際に使われていないと想定され、全員に連絡を取るのはなかなか難しそうだと感じました。
このあたり、同窓会を立ち上げられた方はみなさん同じような苦労をされていることと思います。

また会場については卒業生の方のご厚意で、東京駅近くの便利なスペースを使わせていただくことができました。卒業生様様です。

イベントの内容は、
・RSMからのメッセージ
・MBA13の1年間のご報告
・MBA14の自己紹介
・出席者の自己紹介
・今後のChapterの活動についての意見交換

でした。

ちなみに出席者の中に日本で働いているオランダ人の方もいたため、会の進行・プレゼンは全て英語で行われました。
最初はどうなることやらと思いましたが、締まった感じになってよかったです。
普段は日本語だけど外国人が入ると英語になるというのはこういうことなんだということを体感することができたのも面白かったです(本人も少し申し訳なさそうにしていて、仮に周囲が英語を話しても日本人の中にいるのは気を遣うものなのかと思ったりもしました)。

さて、RSMからのメッセージビデオを流して、まずは我々のプレゼン。
クラス・プログラムの構成や日本人学生として取り組んできた様々な活動について説明しました。

プレゼン1
1年間のご報告

日本人学生の主な活動は下記の通りです。
・東日本大震災についての写真展
・カラオケパーティ
・ワインセミナー
・寿司作り体験
・アニメプレゼン
・名前を中国語(or日本語)で書こうセミナー
・Gala Party

個人で行ったものも、みんなで行ったものもありますが、これらの活動はクラスメイト達にもインパクトがあったようで、「もしcountry awardがあれば、それは日本人チームのもの」、「もし日本人がいなかったらMBA13は全然違ったものになっていた」といったコメントが寄せられていたようです。

4人ともキャラが違いますが、それぞれが得意分野を発揮した結果、チームとして素晴らしいパフォーマンスを生むことができましたし、自分としても学ぶところが大きかったので日本人同期には本当に感謝しています。

他にも懐かしいロッテルダムの風景や入り浸っていたバーの写真を映したりすると懐かしそうな声が漏れてきました。

プレゼン2
ロッテルダム生活について皆さんにご説明

在校生の報告が終わって、次は新入生の自己紹介。
人前で英語を話すのは初めてということで緊張されていましたが、素晴らしい自己紹介でした。
英語力も大事ですが、一番大事なのはやはり話す内容ですよね。

ちなみに来年のRSM新入生は2名の予定です。

続いてご出席の卒業生の自己紹介。

卒業されて時間が経っている方も多いのですが、皆さん英語がさび付いているということは全くなく、非常に流暢に話されていました

皆さんキャリアも非常に多様で、聞いていてとても面白かったです。
この多様性はやはりRSMのDNAなんだろうと思いました(他校の状況は知りませんが)。

自己紹介の後はChapterの今後についての意見交換。
こちらも積極的に意見を出して下さる方が結構いらっしゃって、活発なディスカッションになりました。英語でのディスカッションに、ふとMBA生活に戻ったような錯覚がありました(笑)

いろいろなご意見がありましたが、まずは今後もこのような機会を設けて連絡を密にしていきたいというご意見が多かったです。
これからも機会があれば集まる機会(飲み会?)を設けてネットワークを広げていきたいと思います。

・・・と、ここでようやく立食+歓談。
当日はいろいろバタバタしていて、ゆっくり昼食を食べる時間がなかったので一目散に食事へ。
出席いただいた方々ともじっくりお話しすることができました。

出席者の中には海外で働いていた方もいれば、誰もが知る名門企業で働いている方(役員級にまで昇られている方もいました)、実際にビジネスを起こされている方それぞれいるほか、被災地の最前線で復興のために尽力している方もいらっしゃって、これほど面白い人たちがいたのかと感動しました(笑)

このような出会いができたのもRSM Chapterのおかげですので、こういう企画を実現することができ、また皆さんに喜んでもらうことができて本当
によかったです。

話は尽きることがなく、ビルの消灯時間である23時になって、名残惜しい雰囲気の中閉会となりました。

RSMナプキン
RSMから贈られたRSMナプキン(笑)

Chapter立ち上げについては秋ごろから日本人同級生4人でコンセプトなどを考え、イベントについては年末に帰国するもう一人の同級生と私で詰めてきました。私はどちらかというとサポート役で、もう一人の同級生がとても頑張ってくれました。

プレゼンを作りながら1年間を振り返って、本当にいろいろやってきたと思います。
個人でしたこともありますが、それも他の日本人同期のバックアップがなければきっと出来なかったと思います。
彼らがアグレッシブに前を走っていたため、それを後ろからサポートするという役回り(ロジやブログの更新など)を得ることができたということもあります。

一人一人がその個性や能力を活かして最高の成果を生むというのが理想のチームと定義するのであれば、RSM MBA13の日本人チームは間違いなく素晴らしいチームだったと思います。
自分のその中にいることができて本当にありがたいと思います。

これで自分の中ではMBA関連のイベントは全て終わり、次のステージに移ることになります。
結構寂しいものはありますが、何かあったらクラスメイトに連絡してあの厳しくも楽しかったころを思い出そうと思います(笑)

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The Entrepreneurial Process

先日最後の授業を終え、ついにロッテルダムを去ることになりました。
現在はストップオーバーでマレーシア・クアラルンプールに滞在中です。
真冬のオランダから常夏のマレーシアに急に移動したので体も少々戸惑っているようです(笑)

荷物をできるだけ自分で運ぶことにしたのでキャリーバックに相当詰め込んだら、空港で重量オーバーのため追加料金を払うことに。
しかも、ストップオーパーの場合は滞在地から最終目的地の分は改めて支払わなければいけないため2倍の料金がかかることになります。あー、悔しい!!

それはさておき、今回はMBAでも重要な要素の一つである起業(アントレ)の科目、”The Entrepreneurial Process (TEP)“についてご紹介したいと思います。

TEPは2人の教員が担当し、ケーススタディ、理論、プロジェクトの3つのパートで構成されます。
授業の前半はケーススタディに基づいて、ビジネスの色んな面からの議論を行い、後半は理論についての講義になります。

テーマは起業に必要と考えられること全般に及び、起業を考える上での全体像(顧客・サービス・収入・コスト・資金調達)の作り方、ポジショニング、新しいビジネスが乗り越えるべき課題など様々です。
こういう話を聞いていると、起業というのは面白そうであるけれど、本当に大変だと思います。それゆえに、授業でも情熱の重要性が説かれていました。

また、プロジェクトでは一部の人は自分で起業プランを考えた人を中心にチームを組み、その他の人はオランダの某研究機関の技術をビジネス化するプロジェクトにチームを組んで参加しました。

我々のチームは私とインド人とアルゼンチン人の3人で、とある微生物に関連する技術をどのような方法でビジネスにするかを考えてきました。
その技術そのものに対する理解はもちろん、
・そもそもどのような方向に進むか(医療、衛生あるいはその他の分野)
・具体的にどういうビジネスモデルにするのか
・どのようなマーケティングをするのか
・競合他社との差別化をどのように図るか
・収益とコストのバランスをどのようにとるのか

・・・etc
といった問題について、インターネットで情報を収集したり教授と相談したりするだけでなく、実際にオランダの医師やその特許を持っている某研究機関の方にお話を伺ってより現実味のある提案にしていきました(医師の話を聞いたのはオランダ在住のチームメイトにお願いしましたが)。

教授に相談した時に、「このプロジェクトは実際のビジネスとは違うけれど、このプロセスは実際にビジネスを始める時と同じもの」と言われた時には、自分が実際にビジネスを始めるプロセスの中にいるのだとちょっとドキドキしました(笑)

実はこの時にRSMが属すエラスムス大学の医学部にある産学提携センターの人にも話を聞いてみるといいと言われていたのですが、結局その機会はなく、それが少し残念でした。
まだ英語力に自信がなかったし、勝手にかき回してチームや先方に迷惑をかけられないと思ったので自分で動くことも敢えてしなかったのですが、せっかくなので話だけでも聞いてみればよかったと少し後悔があったり…

最後は実際にその研究機関の方の前でビジネスプランについてプレゼン。
我々のチームは私以外の2人でプレゼン。時間制限があったし、実際のところ結構2人に依存していたので致し方ないかな、と(もちろんできる限りのことはしましたけど)。

加えてビジネスプランについてレポートも作成。こちらはプレゼンに詳細な分析を加えたものになりました。こちらは締め切りが授業最終日の後になったため、結構長い間こちらにも時間を割くことになりなかなか休めませんでした(汗)

アントレについては本を読むだけではなかなか学ぶことができないし、またどのビジネススクールでも力を入れているため、留学前からずっと楽しみにしていた科目でした。
また自分の将来的なゴールの中にも起業を考えていますので、その点でも学ぶところが大きかったです。

もちろんこの授業で学んだことやプロジェクトで行ったのは実際の起業プロセスのごく一部でこれを以て起業ができるとは言いませんが、少なくともその一部に直に触れることができたのは、これまでそういう経験が全くなかった人間からするとやはりインパクトが大きく、印象に残る科目になりました。

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RSMのExecutive Education Program

ビジネススクールではMBAプログラムが注目されがちですが、MBA以外にも幅広いビジネスパーソンにプログラムを提供しています。
RSMも例外ではなく、MBAや金融専攻修士(MFM)以外にもビジネスパーソン向けのプログラムを運営し、ビジネススキル向上の機会を提供しています。

グローバリゼーションや経済危機の影響で、より一人一人の生産性・専門性が求められる中、このようなプログラムは日本でもオランダでも今後一層注目されるべきものと考えており、RSMはどのように運営しているのだろうと興味を持って担当者に聞いてきました。

ちなみにこの方とはプログラムが始まってすぐにRSM Charity Foundationのディナーをご一緒させていただき、いつでも遊びにおいでよということを言われていたので、プログラム終了間際ではありますがお話を伺いに行きました。

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☆RSMが提供するオープンプログラムについて
RSMが提供する一般向けのプログラムは下記の二つ。
・クライアント企業向けにカスタマイズされた長期間のプログラム
・IFRSやIR、Negotiationといった科目ごとの授業

最近の経済情勢を受けて、企業ごとにカスタマイズされたプログラムの収入が減っている一方、科目ごとの授業の需要が増えている。

☆なぜ受講者はRSMを選ぶのか
・RSMはオランダのマネージャー向けプログラムのリーダーとして知られている
・授業が非常に実践的で学びも多く、結果として費用対効果が高い
・幅広い業界から受講者が集まるので視野やネットワークが広がりやすい

☆人気の科目は?
一番人気のある科目は若手マネージャー(含候補)”RSM Diploma Programme in Business Management and Leadership“で、これは10日の間にStrategyFinanceMarketingそしてLeadershipというMBAのコアとなる科目を短期集中で受講するプログラムです。
座学だけではなく、MBA同様プロジェクトもあるそうで、担当者曰く”Mini MBA”とのこと。1年に2回開講されていて、受講生は各回15名程度ということです。
お値段は7,950ユーロと結構高く感じますが、企業の研修としては人気ということです。

この他にも多くの科目の授業が開講されていて、それぞれ人気のようです。
ちなみにお値段は一日当たり700-900ユーロ(7-9万円/日)で結構高いです。
ただ、それでも十分費用対効果はあると明言されていました。

☆Executive Education受講生のネットワークについて
世界中をカバーする12,000人のネットワークがある。
ただし現時点ではMBAネットワークとのリンクはしていない。

☆Executiveプログラム受講者とMBAの接触の機会は設けないのか
我々MBAにとっても実際にビジネスパーソンとして活躍されている方々のお話を聞いたりネットワーキングをする機会は貴重です。
そのため是非そういう機会を設けてほしいとお願いしたところ、Good Ideaとは言われたものの「MBAの学生はプライドが高く、一般向けプログラムの人と接触したいとは思わないのではないか」という懸念を示されていました。
私からは「MBAでは多くのビジネスパーソンをイベントのスピーカーとしてお招きしているし、その中には当然MBAでない方もいるが、そういうことに関係なく我々はお話を聞きたいし、実際有意義なネットワークを築くことができている」と応えました。
今後、先方でも何らかの対応をしてくれると期待しています。

☆ビジネススクールにとってランキングを挙げる意味
下記の点において、ビジネススクールにとってランキングは非常に重要。

優秀なMBAの学生を引きつける
これは言わずもがなですね。やはりランキングは参考になります。

優秀な教員を引きつける
学校のランキングが高いと言うことは、その学校で教えること自体が一種のステータスになるため、優秀な教員を招聘するためにもランキングは重要です。

企業クライアントを引きつける
学校のステータスが高いということはそれだけ品質を信頼でき、また参加者のレベルも高いことが想定されるため、企業の研修も受託しやすくなります。
特に一般向けのプログラムは利益を出しやすいため、学校の収益を考えるとこれは重要なポイントだと思われます。

補助金やリサーチ案件が得やすくなる
学校のステータスが高くなると、それだけ政府からの補助金やリサーチの受託を得やすくなるそうです。
このような収益はMBAを含め全ての学生の学習環境にも影響しそうですね。

このように、ビジネススクールにとってランキングとは単に学生を集めるためだけではなく、その収益にも大きな影響を与えています。
そのためどのビジネススクールもランキングを高めるのに必死ですし、色んな点をアピールしてきます。

(私見ですが)日本の場合すでに学校名が暗黙のランキングを形成しているということもあり、あまりランキングのために努力をしているという印象はありません。
しかし、ビジネススクール同士の切磋琢磨を促すと言う点では大学名と分離したランキングが形成されても良いような気がします。
欧米では大学全体のランキングとビジネススクールのランキングが乖離している例はよくあります(もちろん大学の知名度自体が重要な要素であることも事実ですが)。

☆アムステルダムオフィス開設の目的
RSMは先日アムステルダムにオフィスを開設。
その目的としては、Executive向けの教育、コンサルティング及びリサーチが挙げられる。
企業のニーズに応じて、教育、コンサル、リサーチを組み合わせて提供することができる。

また、RSMのブランド構築についても重要な役割を担う。
RSMは世界的に知られている一方、オランダでの知名度は必ずしも高くなく、その担当者の方も自分の仕事について「エラスムス大学のビジネススクール勤務」と紹介しているようです。つまり、オランダ有数の大学であるエラスムス大学に比べ、そのビジネススクールであるRSMの知名度は高くないということです。

この点を改善するため、アムステルダムにオフィスを開設し、多くの企業経営者やマネージャーにアクセスし、ブランド価値を高めたいとのことでした。

☆RSMのExecutive Programをアピールしてください
以下の点でRSMのプログラムは特徴的。
・9割の科目は英語
・幅広い業界から受講生が集まり、視野・ネットワークを広げる絶好の機会
・オランダのみならずベルギーから通ってくる人もいる

・アカデミックな観点からもレベルが高い

・実践についても重視していて、クラスは非常にインタラクティブ
・多様な開講科目
・値段は少々高いけど、費用対効果はとても高い

以上RSMオープンプログラムのご紹介でした。
非常に魅力的だと感じましたし、日本の大学その他の教育機関にとっても見習うべき点があるのではないかと思います。

この内容が日本の社会人教育関係社並びにオランダないしベルギー在住の方でRSMでの勉強を検討されている方のご参考になれば幸いです。

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最後の授業

1月4日にPersonal Leadership Development (PLD)が始まってちょうど11か月、ついに最後のStrategic Value Management (SVM)の授業を迎えることになりました。
そしてSVMは選択科目の中でもっとも遅く終わる授業であるため、MBA全体でも昨日が最後の授業ということになります。

SVMのテーマは多岐に亘るのですが、最終回の授業では、スイスのネスレ社の企業買収のケースでした。
ネスレと同業他社の状況を勘案した上で、某社を有利な条件で買収し、かつその後にシナジー効果を出すにはどのような交渉をするのが良いか、ということを実際に交渉のシミュレーションをすることで学びました。

交渉に際してはランダムにチームの振り分けが行われ、チームからCEO、CFOおよびCOOを選び、彼らを中心に買収側・非買収側でケースの状況を基に交渉を行いました。


交渉に臨む経営陣。自分は後ろでアドバイザー(?)

交渉のテーマは財務デューデリジェンスに基づく買収価格にとどまらず、サプライチェーンの管理や経営者の人事、組織の構成、雇用など、被買収会社をどのように位置づけるかについて話し合いました。
企業文化も違いますので(そしてそれがサプライチェーンなどに影響する)、それをどのように調整していくかということも重要なテーマでした。実際M&Aでもっとも大事なことの一つも企業文化の融合だと教授も話されていました。

交渉シミュレーションの後にはネスレ社のキットカットが振る舞われ、各チームの交渉のポイントについて説明し、それぞれのアイデアを共有しました。


キットカットとケースと。

ちなみにこのケースはスイスの名門ビジネススクール、IMDが作成したものだったのですが、IMDはネスレ社によって設立された学校で、なるほどと思いました。
実際にケースに登場した人物もIMDでこのケースの各ポイントについて話していて、実際にケースに登場した人から話を聞くのは面白そうでした。

そしてまとめも終わり、ついに全ての授業が終了。
みんな非常に感慨深そうにしていました。


最後は盛大な拍手で。

拍手の後はクラス全体で記念撮影をしたり、しばらく個別に挨拶し合ったり。
これで顔を見るのも最後かと思うとやはり感じるものがありました。

少し経って誰もいない教室に行ってみました。
もうこの教室に座ることもないんだと思うととても寂しかったです。
クラスメイトも同じ写真を撮っていて、感じることは同じのようでした。


そして誰もいなくなった…

ロッカーの鍵を返したり、住民登録取り下げの手続きをしたりしていると学校から離れていく感覚が強くなってくるのですが、帰宅してfacebookを見ると、クラスメイトから「夜にConcordiaで飲みやるよー」という告知が。
Concordiaというのは、寮の目の前にあるバーで、MBAの学生行きつけのお店です。

荷造りもあるし、少しだけ顔を出そうと思っていたのですが、クラスメイトとの積もる話も尽きず、気がつけば2時間以上話していました。
よく話したクラスメイトも、これまでは少ししか話すことがなかったクラスメイトともよく話し、色んなポジティブなコメントももらいました。
RSMの特徴として、「RSMに来た人は幸せになることが多い」という話を聞いたことがありますが、まさにこういうことなんだと思います。


行きつけのConcordia。今はもう懐かしい…


Happy Hourはビールが1ユーロ!

Concordiaでは毎日22:00-23:00がHappy Hourということでビールが1ユーロになるため、飲み会の時間も毎回22:00からでした。そんなことももう懐かしいです。


飲み会に来ていたクラスメイト達と。

正直、自分はクラスの中心ではなく外側にいるようなキャラでしたし、多くのクラスメイトと満遍なく親しく付き合う、ということはありませんでした。
それでも最後にはみんな別れを惜しんでくれましたし、結構こちらのことをよく見ていて色んなコメントをくれました。
それは嬉しくもありましたが、どうしてもっとこんな風に話せなかったんだろう、という悔いも少し湧いてきました。
とはいえ、そういう後悔を起こさせるのもRSMの良さなのだと思います。最後まで親しくなれなかったらそういう後悔もなかったでしょうから。

ということでついに最後の授業も終わってしまいましたが、まだ課題が一つのこっているので、最後のMBAの残り香を楽しもうと思います。

また最終日を迎えたものの、まだ授業のことやその他留学生活のことなどお伝えしたいことがありますので、もう少し留学体験記を綴っていこうと思います。

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RSM Double Degree Program

以前にも書きましたが、RSMにはMBAと金融専攻修士(Master of Financial Management; MFM)というコースがあり、それぞれ選択科目を受講できるようになっています。そもそもMBAの学生の多くがファイナンスに関心を持っていますし、寮も同じなので自然と近くなります。

そんな二つのプログラムが、ついにDouble Degree Programを始めることになりました(学校からの発表はこちら)。

2014年からの開始ですが、来年度の学生にも試験的にオファーが出ているようです。

MBAとしてマネジメントのスキルを高めつつファイナンスの専門知識を身につけたいというニーズに応えるこの制度には関心を持たれる方も多いかと思いますが、まだ情報があまり出ていないようです。
そこでRSMの新しい取り組みを宣伝すべく、担当者のBartさんに取材してきました。


Admission OfficeにてBartさんと。

・Requirements
GMAT600以上(又は相応のGREスコア)
3年以上の職歴
– RSM MBA Academic DeanとのFollow up interview
– ファイナンスのキャリアに関する強い意欲

・Double Degreeの期間
1月~3月の15か月
1月~6月(Term1,2)まではMBAと同じクラス。ただし各学期MFMの科目を1科目ずつ追加で受講。企業相手のプロジェクトであるLiving in Management Projectにも参加。
ブリュッセルでEUや企業見学を行うThemed Research International Project (TRIP)には参加しない。

7月~12月はMFMの必須科目及び2科目の選択科目を受講。
Study Trip(主にロンドン)もMFMのものに参加。

1月以降は修士論文の作成(必須)。
オプションとしてインターンシップに従事することもできる(修士論文も作成)。

欧州MBAの運動会であるMBATや卒業パーティ(Gala Party)にも参加可能

・学費について
未定だが€55,000-60,000になる見込み。
MBAよりは高い。

・受け入れ人数について
20名程度。

・MFM生の進路について
MFMのプログラムは金融業界のマネージャーを育成するように設計されているため、金融業界の様々な業種・職種に卒業生を輩出している

・受講できるMFMの科目について
必ずしも金融市場に偏っているわけではない。
Derivative, Risk Management, Empirical Finance, Financial Accounting, Valuation, Simulation Gameなど様々。

・交換留学に応募可能か
不可

・Double Degreeの強み
MBAのマネジメントスキル+MFMの金融の知識という差別化ができる。
PhDなどアカデミックなキャリアに進む際にも有利
RSMのMFMも高く評価されている。

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