オペレーショナルリスク

銀行等の金融機関が維持すべき財務体質の基準の一つに、国際決済銀行(BIS)が定める自己資本基準(BIS規制)があります。

これは、銀行の自己資本と銀行の有するリスク(資産のリスクとオペレーションリスク)の割合を示すもので、国際展開している銀行等の場合8%、国内のみであれば4%が最低基準とされています。

昔から関心はあったのですが、最近仕事でBIS規制に触れているので、しげしげと基準の仕組みを眺めています。

興味深いのは、オペレーショナルリスク、すなわち事務処理ミスや法務リスクなどを数値化するということです。

といっても、オペレーショナルリスクの計測方法はまだまだ発展途上で、BISが指定する計測方法も結構大雑把です。

オペレーショナルリスクという概念自体、最近導入(バーゼルⅡ)されたものですし。

私も仕事で、会社の業務上のリスクの洗い出しなどに参加しましたが、リスクの数値化って難しいです。

主観が入る場合も多いので、客観的といえない可能性もあります。

オペレーショナルリスクの本来の目的(銀行等のリスク許容度の測定)とは多少異なりますが、業務体制の改善などに活かすためにも、各国担当者には、オペレーショナルリスク計測モデルの精緻化をお願いしたいです。

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SRIの普及度

大和証券グループのIR調査機関である大和インベスター・リレーションズ(大和IR)が、日本国内のアナリスト・機関投資家のSRIに対する意識の調査結果を公表しました(大和IRの調査結果はこちら )。

全体的にSRIに関する認知度は向上しているようですが、セルサイド・アナリスト、バイサイド・アナリスト、ファドマネージャーでは考え方や関心に違いがみられるようです。

セルサイド・アナリスト証券会社などに所属し、株式や債券を販売するために、企業分析を行い販売用資料としてレポートを作る人。世にいう売れっ子アナリストは、セルサイド・アナリストであることが多い。花形といわれるのもこちら。

バイサイド・アナリスト資産運用会社保険会社などに所属し、どの株式や債券に投資するかを判断するために企業分析を行う人。

こうしたプロが注目する観点としては、ガバナンスや環境などが主で、雇用などは割合がやや低めです。

雇用の問題が社会的な問題となっていますが、企業の利益に直結する以上、彼らとしてもあまり踏み込めないのかもしれません。

注目するインデックスでは、モーニングスター社のMS-SRIがトップ。

欧州系SRI調査会社のエティベルのインデックスは低めでした。ちょっと意外です。

疑問点としては、どのようにCSRを数値化、インデックス化していくのか、企業評価・ファンド業績に結び付くのかということが挙げられています。

これらはSRIに関する古くて新しい課題ですね。

ともあれ、さまざまな社会問題が噴出する中、SRIに関する理解が進んでいることは心強いです。

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累進徴収制度!?

インターネットを見ていたら、累進徴収制度というものを見つけました。

これは、所得税みたいに、所得に応じて交通違反などの際の罰金額を決めるというものです。

無論、日本では導入されていませんが、フィンランドでは、某企業の幹部がスピード違反で10万ユーロ(今なら約1500万円)もの罰金を徴収された事例もあるようです。

逆に所得の少ない人だと、罰金も少ないことになります。

行為の悪さや危険性というのは、誰が行ったかではなく(ましてその所得が問題ではなく)、なにをしたかによると思うのですが、どうでしょう?

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コンプライアンス不況

法令等を厳しくしすぎて、経済に悪影響を与える、という状況をコンプライアンス不況ということがあります。

最近よく言われているのが、金融商品取引法。

顧客に誤解させてはいけないという法令の趣旨を強く意識するあまり、高齢者には金融商品を販売しないとか、説明に過大な時間を費やすなどの結果、金融商品の販売が落ち込む、という事態が生じました。

金融庁の度重なる説明や金融機関の試行錯誤の結果、それほどではなくなってきたようですが。

ということを考えながら、ふと思ったのが、プロ野球の二段モーションの禁止。

この結果、独特なフォームから多彩な投球を繰り広げる投手、例えば横浜の三浦投手横浜、楽天の岩隈投手岩隈などはフォームの変更に取り組み、一時期は成績が落ち込んでしまいました。

もちろん、必要な制度変更はすべきですが、こんなエース級の投手の独特のフォームが見られなくなるというのは、一種のコンプライアンス不況みたいなものでは?などと思ったりしました。

そんな岩隈投手も、今年はエースとして大活躍。20勝も目前ですね。

あとは楽天なんとかAクラス入り頑張って!!

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受験票

DCプランナーと証券アナリスト試験の受験票が届きました。

DCプランナーは池袋、証券アナリストは渋谷でした。

どうして山手線の西側にしか会場がないんだ・・・!

お茶の水とか秋葉原とか、錦糸町とか北千住とか。

ダメですか?

愚痴を言っても仕方ないので、試験に向けてラストスパートです。

てか、DCプランナーテキスト読んだきり・・・。

まずい。

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蟹工船

最近話題の小林多喜二・蟹工船。

読んでみたいとは思っていましたが、難しそうで手を出せませんでした。

が、たまたま書店で読みやすそうな本を見つけて立ち読みしてみました。

内容をご存じの人も多いと思いますが、簡単に説明すると、

生活に困った人が、ロシア近辺でカニをとり、缶詰を作る漁船に出稼ぎで乗り込んだはいいけど、会社と現場監督が酷い人間で、自らの業績・成績のために労働者に過酷な労働を強い、食事や休息をほとんど与えず、逃亡も許さず、最後は主人公が団体でストを試みるも失敗してしまう。

・・・が、最後はそれを見て立ち上がった人が船内の労働者すべてをまきこんでストを行い、成功させる、というストーリーです。

もちろん、船内に労働組合などありません。

近年、格差社会がクローズアップされていることに伴い、共産党(ブームで入党者1万人とか?)やプロレタリア文学が注目を浴びているという話を聞きますが、この作品は確かに読む価値があると思います。

無論、作品の時代と現在では、社会の環境などが全然異なるので、この作品で格差社会を考えるきっかけにとまではいいませんが、人間とは何のために生きているのか、人間の尊厳とは何か、ということを考える機会にはなると思います。

自分が蟹工船の労働者だったら、何か守るべきものがないと耐えられないと思います。

そういう意味で、労働者が出稼ぎ中心だったのは当然でしょう。

なお、この作品は労働者と資本家の利害対立というのが一つの軸として描かれているように思いますが、グローバル化で資本の移動も自由になった一方、投資の役割がこれまで以上に重要になっている今、この課題にどのような答えを出すかというのも問われているように思います。

投資に見合う配当を要求する投資家にハゲタカといっても始まらないですし。

機関投資家である我々にとっても他人事ではないですね。

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