民俗学(1)

民俗学とは

法学の博士論文の提出も終えてひと段落、ということでようやく奈良大学通信教育部の勉強に取り掛かることができるようになりました。
通信教育ですので、どの科目から始めなければいけないということもなく、自分が始めたいと思った科目からテキストを読んで学習していくことになります(もちろん複数科目の同時並行も可)。
なじみのない科目も多く、多少なりとも土地勘がある科目から始めるか、逆に全く知らない科目から手を付けるか悩みどころですが、最初に選んだのは民俗学でした。

民俗学とは、ざっくりいうと人類の歴史における生活習慣を調査し、その変遷を明らかにしていくもので、通常の歴史学が文献・史料や遺物・遺跡を元に研究するのに対し、今も存命中の(村などの)居住者に直接話を聞いたり現地の調査をするというフィールドワークに重きが置かれる点にその特徴があると思います。
また、必ずしも歴史の教科書には現れない庶民の生活が鮮やかに描き出される点や、現在も残っている身近な風習がどのような歴史をたどって今に至るのか、ということに思いをいたすことができるのも民俗学の魅力だと思います。
一般的な歴史学だと歴史を動かした出来事や社会制度に焦点を当てることが多いと思いますが、それらは必ずしも今の我々の生活と連続性があるものでなく(テーマや見方にもよりますが)、一生活者としての自分を歴史の中に位置づけるということをより感じるのは民俗学だと思います。あくまで私見ですが。

民俗学を最初に選んだ理由は、なじみのない科目から手を付けた方が後が楽になるという考えと(食事でも好きなものは残しておくタイプ(笑))、庶民の生活というのはどのように研究し、捉えることができるのかということに親の実家(祖父母の家)が農家であった人間として興味があったというところです。

 

民俗学のカリキュラム

奈良大学通信教育部のカリキュラムは一部のスクーリング科目を除くと指定のテキストを読んでレポートを提出し、合格の評価が得られると単位認定試験を受けて単位を取得するという流れになります(随時質問は可能)。
もちろんレポートの出来が悪いと再提出になりますし、単位認定試験も合格点に達しなければ不合格です。

民俗学の指定テキストは「新版 民俗調査ハンドブック(上野和男ほか編)」。
書名のとおり民俗学において研究の主要な方法であるフィールドワークの方法について詳細な説明がなされています。

 

民俗学は主にムラにおける庶民の生活習慣を研究対象としていますが、一言で生活習慣といってもその構成要素はたくさんあります。
家族やムラにおける人間関係、住居、衣類、村落の構成、信仰、食文化、伝統芸能、人生儀礼など数え上げるとキリがなさそうです。

そして、それぞれのテーマに応じて調査の方法も異なってきます。
村落の居住者に話を聞くという点はどのテーマでも共通するようですが、ムラにおける人間関係について調査するのであればその点を突っ込んでインタビューする必要がありますし、信仰や伝統芸能を調査するのであれば、関連するモノ(信仰の対象となる物体や祭祀に使う道具など)やイベントを注意深く見ておかなければなりません。
もちろんセンシティブなテーマであれば聞き方にも細心の注意を払わなければいけませんし、祭りなどのイベントは開催する時期やロジスティクスが決まっていますので、そのあたりに配慮することも必要です。

このテキストはハンドブック、いわゆるマニュアル的な内容で民俗学の大家である柳田国男や折口信夫の研究内容など民俗学の研究成果について体系だった説明があるわけではありません。したがって、私自身まだ彼らの研究内容について全く知らないのでこれから勉強していく必要があります。

しかし、民俗学を学ぶ上で最初に知るべきは民俗学がどのようなものを研究対象として、それを具体的にどのように調査していくかということだと思います。
そのようなベースがあれば民俗学の研究成果を学んでいく中でより村落における生活習慣の実態やどのように調査がなされたのか・していくべきかということが腹落ちするのではないでしょうか。
そう考えると、いきなり柳田国男の研究成果を学ぶより民族の研究対象と方法論を学ばせるというテキスト選定はよかったと思います。実際、記載内容が具体的なので読んでいて自分で調査を行うイメージが描きやすかったです(もっとも自分のような内向的なタイプには向かない学問かもしれませんが…汗)。

 

レポート提出

テキストを読んだらレポートを書くことになります。レポートのテーマは科目ごとに指定されていて、民俗学の場合は民俗学の研究分野を一つ選んで自分が考えたことを述べるというものでした。

テキストに書いてあることだけではなく自分の考えもまとめることになるため、必然的に自分がどのように関心を持ったかを考えることになります。
レポートを書いていて改めて思ったのは、現在の生活習慣・風習は現代技術・科学に支配されているようでいて、案外過去の伝統の名残が残っているということでした。

科学技術が高度に発達した中にいて、さらにそれなりに教育を受けている人が多い時代にあって、我々は科学的・合理的に生活を組み立て行動すると考えがちだと思います。
自分自身、科学的でないことは信じない、という意識はあります。
一方で、科学的には全く合理的ではない無意味な行動をとることもあったりします。
神社仏閣にお参りをするといった信仰的なものもそうですが、抜けた乳歯を投げたりへその緒をとっておくといった風習も自分を含め多くの人が経験していると思います。
将門塚や穴守稲荷の鳥居の祟りというのも馬鹿にはできませんしね。

もちろん自宅に神棚があったり地域のお祭りが昔から続いているという例も民俗学の研究対象である民俗風習であり、その意味で民俗学は現在を研究対象としているともいえそうです(だからこそ存命の人にインタビューをするわけですし)。

そのような気付きをレポートに書いて提出したところ(もちろん上記の内容はレポートのごく一部です)、無事に合格という評価をいただき、単位認定試験の受験資格を得ることができました。

単位認定試験の試験問題は事前に公開されている問題群の中から当日指定されるのですが、その中にはこれまでの民俗学の研究成果を問うものもあり、柳田国男や折口信夫といった大家の研究については多少なりとも学習する必要がありそうで、そのうち図書館に行って書籍を読んでみようと思います。

ともあれまず一つレポートをクリアすることができて一安心です。
まだまだ科目は多いし単位認定試験もあるのですが、土地勘がなくても頑張ればクリアできるという自信をもってこれからの課題も乗り越えていきたいところです。

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