(自分なりの)リーダーシップ再考

一金融業界人から見た安倍首相のリーダーシップ

アベノミクスと金融業界

7月8日に発生した安倍元首相の銃撃事件は私のような選挙くらいしか政治と関わりを持たない人間にも大きな衝撃でした。
安倍元首相の政策や政治家としての振る舞いについては賛否両論あり、マスメディアやインターネット上でも議論されていることは存じていますし、私自身が不勉強でそこまで情報を持っていないのでその政策や人物像について評価することはできませんが、自らのビジョンを明確に打ち出し、アベノミクスやQUADといった経済・外交政策を力強く進めていったことは印象に残っています。

個人的な印象として政治家が主導で金融機関の具体的な業務に関する政策を進めることはあまりなく、日常業務を遂行する中で政治家の存在を感じることはありませんでしたが、安倍政権はアベノミクスの三本の矢の一環として2013年に策定された「日本再興戦略 -JAPAN is BACK-」において機関投資家に向けたスチュワードシップ・コードの策定に取り組み、その後上場企業に向けたコーポレート・ガバナンス・コードを打ち出すなど、機関投資家の具体的な業務にあり方にも大きな影響を与えています。
そして、現在のところスチュワードシップ・コードもコーポレート・ガバナンス・コードも度重なる改訂を経て機関投資家や上場企業の業務のあり方に影響を与えています。
これらの施策を安倍首相が発案したかどうかはわかりませんが、その制定過程で大きな影響力があったと推測されますし、ここまで機関投資家や上場企業の具体的な業務のあり方に関心を示す首相がいたことには改めて驚きます。

 

一金融業界人・社会人から見た安倍首相のリーダーシップ

安倍首相のこれらの政策への関与についても一金融業界人から見てすごいと思いますが、一人の社会人としては自らのビジョンを明確に持ち、それを高々と掲げ、そしてその実現のために力強く邁進していくという姿に彼のリーダーシップのすばらしさを感じます。

社会人として仕事をしたり博士論文を書いたりする中で、私も小なりといえども「うちの会社(業界)はこういう課題があり、こういうことをしていかなくてはならない」と発信する機会がありました。
しかし、小さなことでも自分なりの考え方を打ち出すときには「自分の考えが間違っていないか?」、「反対されたらどうしよう?」などと考えてしまい、自分を信じる難しさを思い知らされます。小さな業務や論文レベルでもそのように感じてしまうので、首相としてビジョンを掲げるときのプレッシャーや不安は想像するに余りあります。
万人の利益になる政策などはそうそうありませんし、また不透明な未来のために打ち出すビジョンに明確な正解はないかもしれません。国内には多様な意見や利害関係を持った人間がいて、その中で具体的なビジョンを掲げるということは批判が生じることは必至です。

しかし、安倍首相は自らの明確なビジョンとともにアベノミクスやQUADなどの政策を打ち出していきました。そして多くの批判も浴びながら多くの政策を実現させています。政治家としての振る舞いがうまかったこともあるでしょうが、何より自分を信じる力がないとここまでの成果は出せなかったのではないでしょうか。
私には政策の是非を語ることはできませんし、彼の人柄もメディアやインターネットで流れている以上のものは知りませんが、彼の首相としての政策の打ち出しと実現の過程を見る限り、彼のリーダーシップはまさに首相としてふさわしいものだったと感じます。

 

自分なりのリーダーシップ・「こうしたい」

今回の事件を機に安倍元首相のリーダーシップを振り返ることになりましたが、それに憧憬がある以上自分はどのような形でリーダシップを発揮できるのかということも避けて通ることはできないでしょう。

この件とは別に最近もリーダシップについて考える機会がありましたが、その中でリーダシップはマネジメントではないし、またリーダシップにも色んな形があるということを再確認しました。
つまり管理職でなくてもリーダシップを持つことはできるし、人前に出て人を引っ張っていくのが得意な性格でなくてもリーダーシップを発揮することはできるということです。

しかし、どのような形でリーダーシップを発揮するにせよ、人を動かす以上どのような方向性に向かいたいのか、チームとして何を成し遂げたいのかという明確な「こうしたい」は必要と思います。これはまさに安倍首相が体現していることでもあります。
自分の仕事に当てはめていけば、会社としてどのようなコンプライアンス体制を築くのが望ましいのか、何をすべきなのかをはっきりと認識したうえで、上司や同僚を巻き込んでいく、あるいはそのような会社の動きに能動的に乗っかっていくということが求められそうです。

また、自分は性格的には内向的な方ですが人と議論したり飲んだりするのは好きなので、そういうことをきっかけに仲間を作っていくことはできそうです。ただそれも明確なビジョンがなければ人を動かすことにはつながらないので、明確な目的をもって人と付き合うときは、明確なビジョンという土台が必要なのでしょうね。
もちろん、人付き合いするときにそんなことばかり考えていると窮屈でいやらしい話になるので、あくまで自分が何かしたいと考えているときの話です。

性格や方法論は深く考えていくともっと違う方向性が見つかるかもしれませんが、いずれにせよリーダーシップを発揮する対象に対する自分なりの明確なビジョンが前提になるということは間違いなさそうですので、まずは自分の仕事ややりたいことについては明確なビジョンを作り上げることから始めたいと思います。

特に仕事については自分のキャリア的にもそろそろリーダーシップをとっていく意識が必要になってきますので、「自分の会社のコンプライアンスはどうあるべきか、そのためにこうしたい」ということについては人にもしっかり説明できてブレないような目標を見据えるようにしたいと思います。
またプライベートでもやりたいことはありますし、そのために人の協力を仰いだり人を巻き込んだりすることも必要になってくるでしょうか、そっちの方面でも何がしたいのか、それがどのようなものを生むのか、ということははっきりさせながら進めていくようにしたいところです。

この度の事件で図らずも安倍首相の金融実務への影響や自らのリーダーシップについて考える機会になりました。
安倍首相のご遺志を継ぐなどと大それたことを言うことはできませんが(それほど強い政治的なスタンスがあるわけでもないですし)、せっかく業界の発展のために道筋ができたのですから、多少なりともそれを意識して業務に携わっていきたいですし、また彼のリーダーシップについても少しでも見習うことができたらいいと思います。

 

最後になりましたが、安倍首相の金融実務への関心とそのリーダーシップに感謝しつつ、ご冥福をお祈り申し上げます。

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2022年度スクーリング

2022年度スクーリング

奈良大学通信教育部ではテキスト科目以外にスクーリング科目というのがあり、実際に大学のキャンパスに行って授業を受けることができます。
スクーリング科目では実際に文化財に触れたり奈良の歴史的な場所を巡るなど実地ならではの経験ができることが魅力で、私も実際に文化財に触れることを楽しみにしていました。
中でも文化財修復学は文化財が修復されている過程を見たり体験することができそうで特に関心がありました。

しかし、2021年のスクーリング科目はコロナ禍ということで全て在宅で行うことになり、送られてきた資料を見たりZOOMで授業を受けたりという感じで、体験をするという感じに乏しいのが実際のところです(ZOOMで授業を受けた文化財学演習Ⅰは実際に手を動かすことが多く面白かったです。また同じ先生が担当されていた歴史地理学も授業はなかったものの自分で手を動かして考えさせるなど工夫されていて楽しかったです)。

今年はコロナ感染者数が落ち着いてきたのでスクーリングも再開されるかと期待していましたが、先日この夏もスクーリングは在宅で行うという通知が来ました。
非常に残念ですが、この夏も相当暑いと思いますし、その中でマスクをしながら授業を受けるのは特に屋外では熱中症の危険もあるので仕方ないかと思います。コロナにならなくても熱中症になったら元も子もないですしね。

せめて卒業式くらいはキャンパスで開催されることを祈ります。。。

 

2022年スクーリング科目履修

スクーリング科目は夏と冬に開講されるため、キャンパスでスクーリング科目を受講するためには冬に履修するという方法もあります。
しかし、冬は冬でコロナ感染者数が増加する可能性もありやはりキャンパスでの開講は望み薄な気がしています。加えて卒業に必要な単位は早めにそろえて卒業論文や本業の法学の研究に集中したいので夏に履修登録していた科目をすべて履修することにしました。

この夏に受講するのは文化財学演習Ⅲ(必修科目)、日本史特殊講義、考古学特殊講義、文化財修復学、奈良文化論の5科目です。
これらの単位を取得して先日受験したテキスト科目3科目が合格していれば、卒業論文以外の卒業要件は満たすことになります。

スクーリング科目を一つも実地で受講できないのはさすがに寂しいものがありますが、せめて卒業式だけでもキャンパスで迎えることができることを信じてスクーリング科目と卒業論文を頑張りたいと思います。

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卒業論文草稿(1)

論文作成はドラフトから

先日テキスト科目の単位習得試験を終えたので、これからは本腰を入れて卒業論文に取り掛かることになります。
論文の作成をどのように進めるかは人によって異なると思いますが、自分の場合大まかな構成をノートに書きだしてイメージができたらとりあえずWordで論文の骨組みを作ってみて、そこから文章を肉付けしたり構成をいじったりしています。

今回も同様の進め方で論文を作成しようと思い、ざっくり論点や構成をノートにまとめて、それをもとにWordで章立てをしていきます。
ちなみに卒業論文は様式が細かく指定されているので、大学のウェブサイトから様式をダウンロードして使用することにしました。
全ての論文はこの瞬間から始まりますが、毎度この瞬間はテンションがあがります。どんな冒険が始まるのだろう、と冒険家がワクワクするような感じでしょうか。

では、卒業論文の旅に出発です。Bon Voyage!!(…て自分に言うのは変ですかね?)

 

様式にてこずる

論文には縦書きと横書きがあり、日本史関係の論文や書籍では縦書きが多いですが、奈良大学の卒業論文については指導教官によって決まります。私の場合は縦書きです。

日本史の論文なので縦書きであることは普通なのですが、これまで書いてきた社会科学系の論文は全て横書きで、かつ奈良大学でのレポートもほぼすべて横書きだったので、書いていて違和感を感じました。
唯一の縦書きであった平安文学論は用紙が横長でしたが、卒業論文は用紙が縦長なのでやはり違和感はありますね。
しかも縦長の用紙で縦書きになるとページが複数になったときの表示が左から右になり、縦書きの本を読んでいるときとページの位置が逆になっているのもやりにくかったです。これはWordの設定を変えると右から左にできるので対処は出来ますが、横書きの表示にも影響するので別の横書きの資料を作るときに設定を戻すのがめんどくさそうです。探せばいい方法があるのかもしれませんが。あってほしい。

また、卒業論文ではコンテンツの記載の順序も明確に定められていて、本文→注→参考文献となっています。確かに日本史の論文ではそのような順序になっているように思います。
当初はWordの機能で作った文末脚注の後に本文の記述は出来ないので文末脚注の後に参考文献を書くには文末脚注機能を使えないのかと思っていましたが、こちらはセクション区切りを使用することで脚注機能も使えるということです。よかった。。。
ただ、文末脚注だと脚注を入れるたびに文末に飛ぶので参照に手間がかかるのが難点です。自分が論文を書くときは脚注をすぐに参照できるように同一ページの脚注にしていましたが、なぜ日本史の論文は文末脚注形式なのか不思議です。
ちなみに私が目を通してきた法学系の論文は脚注と文末脚注が半々という感じなので法学の分野にも文末脚注派は結構多いようです。この辺りは掲載媒体の指定などもあるかもしれません。

文章を作る前からいろんなことに躓いてしまいましたが、これも経験ですし早めに確認しておいてよかったと思います。
とりあえず基本的な設定はできましたので、気を取り直して論文作成に励みたいと思います。草稿提出まであと3か月程度。気が付けば少しずつ期限が迫っているのでいつまでも時間があるとダラダラしないように気をつけたいと思います。

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最後の試験ラッシュ(だといいな)

2022年度最初の単位習得試験

今週末(6/18・19)は奈良大学通信教育部で今年度最初の単位習得試験がありました。
私の場合昨年度にレポートが合格していた史料学概論・東洋史特殊講義・書誌学の受験が可能ですので、善は急げと今回まとめて受験することにしました。
さすがに一日で終わらせるのはきついので、土日に分けることに。土曜日に史料学概論と東洋史特殊講義、日曜日に書誌学にしました。

これが全て合格すれば試験で習得が必要な科目は終わりなので、一気に決着をつけたいところです。

 

土曜日の試験

土曜日は史料学概論と東洋史特殊講義。それぞれ1時限目(10:00-)と2時限目(11:00-)にしました。自宅で受験して当日中に回答すればよいので時限はあまり関係ありませんが、早く問題を確認した方が回答時間が長く取れるので朝起きることができるのであれば早い時限を選択するのがセオリー(?)だと思います。

1時限目の史料学の問題は正倉院文書の伝来とその歴史的意義について。
正倉院文書とは正倉院に保存されている奈良時代の古文書群で実務的な文書が1万点以上ある貴重な史料です。
歴史書などの編纂物はどうしても作成者の作為や間違いが避けられませんが、実際に使用された文書は作為はなく実務そのものを示しているので、編纂物の隙間を埋める史料だといえます。
そんなことをつらつら書きました。

試験の回答を書いていいのか、という疑問はありますがこれくらいは履修している方なら誰でもわかっていることなので大丈夫でしょう。当たり前ですがこれだけでは絶対不合格ですし(笑)

2時限目の東洋史特殊講義の問題は科挙についての説明。
中国史において古代と中世の境は唐代中期頃にあるといわれ、その背景にはその頃に安史の乱で貴族層が没落して、代わって皇帝が官僚層を活用して直接民衆を統治する君主独裁体制が確立したことがあります。
そしてその官僚層を登用するためのシステムとして科挙があり、その結果として一般庶民からも多くの人材が登用され、かつ世襲が高い確率で排除されることになりました。

これも試験の回答を一部書いていますが、これくらいのことはテキストの「科挙」という文字が書いてあるところを少し読めばわかることなので大丈夫でしょう。これも実際にはそれなりに論考しています。

それぞれA3の回答用紙の大部分を使った回答になりました。
回答を考えたら後はひたすら回答用紙に書き写します。丁寧な文字を書こうとすると筆圧が強くなるので疲れます。2科目で大体1時間半くらいは書いていた気がします。
できれば郵便局で出したかったので窓口が閉まる18時をめどに頑張りました。そのおかげで無事ギリギリ郵便局に駆け込むことができました。やれやれ。

 

日曜日の試験

日曜日は書誌学のみ。書誌学はレポートの評価が低かったため、試験では十分に時間を取って回答したいと思い、一日をフルに使える2日目にあてました。
ちなみに日曜日は郵便局の窓口が15時までなので実はそんなに余裕はありません(窓口での投函にこだわらなければ一日中時間をかけても大丈夫です)。

セオリー通り(?)1時限目にしているので、試験問題発表の10時を待ちます。
さて、気になる問題は・・・。

次に掲げる用語について説明せよ。

指定された8つの用語についてそれぞれ説明するのですが、用語についての説明ですし、一つ一つに割ける文字数も多くはないので淡々と説明します。用語によって説明の濃淡はありましたが順調に回答することができ、こちらも無事に窓口で提出できました。

これにて今週末の試験ラッシュは終了。
頭も腕も疲れましたが、気持ちよく眠れそうです。

テストが終わったので、これからは卒業論文の草稿作成に注力していこうと思います。
こちらも順調に進んでくれたらいいのですが、どうなることやら。

どちらにせよ、これが最後の試験ラッシュであることを祈ります。。。

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西洋史特殊講義(1)

西洋史特殊講義の内容

奈良大学の通信課程では4年次のみ履修できる科目があり、そのうちの一つが西洋史特殊講義です。テキスト科目の中で強い関心があるのはこの科目が最後でこれを取ればあとはスクーリング科目も余裕をもって履修できるので、今年度はこの科目だけは早めに単位を取得して卒業論文や任意で履修している一般教養科目の勉強に手を付けたいと考えていました。
読みたい本も積読になってますしね。不思議とコミックスだけは積読にならない…(汗)

テキストは4月には来ていたので少しずつ読んではいたのですが、テキストの分量がかなりあってなかなか進んでいませんでした。いや、ただの言い訳です。
しかし気が付けば6月も中旬。卒業論文草稿提出までも4か月を切っているし、他にもしなければいけないことがあるのであまりダラダラもしていられません。
ということで、6月にやる気に火をつけて何とか先日レポートを提出することができました。

西洋史特殊講義のテキストは『近代イギリスの歴史』。西洋史概論のテキストと同じミネルヴァ書房のシリーズです。

 

本書の主題はタイトルの通り近現代の英国史、具体的には16世紀以降の英国の歴史ですが、一応若干ではありますがそれまでの歴史を説明してくれていますので英国史になじみがなくても読みやすいと思います。

本書では16世紀から2010年くらいまでの英国史を取り扱っていますが、ざっくりいうと英国国教会ができたりエリザベス女王が即位したころから英国がEUに加盟したりイラク戦争で国内世論が割れた時期までになります。
ただ一言で英国史といっても元々はイングランドとスコットランドは別の国ですし、逆に今は別の国となっているアイルランドは連合王国の一部だった時期もあり、このような国では各地域の人たちが自らのアイデンティティと自国の歴史をどのように結び付けているのか興味深いところです。

それはさておき、16世紀から20世紀だと及び500年間の歴史ですが、外国の歴史ですし歴史の流れにインパクトを生じさせる要素も日本とは異なりますので、テキストを読み進めるのは大変でした。西洋史ということで登場人物の名前を覚えるのも一苦労です。
ただ、日本が国際社会に登場し英国とも関係を持つ19世紀後半以降はある程度わかるのでテキストもそこまでを中心に読んでみることにしました。時間の制約もありますし。

自分でも十分に咀嚼できているわけではないですしわざわざこんなところで説明するものでもないので学んだことの詳細は省きますが、読んでみたところでは英国史は日本以上に歴史のメインストリームに宗教が影響を及ぼしていること、英国史は海との関係が非常に深いこと(ノルマン・コンクエストやオランダとの覇権争い、イギリス帝国の展開など)、18世紀から19世紀にかけての英国は技術発展と融合した金融イノベーションがすごかったことなどが印象に残りました。
日本は英国と同じ海洋国家で共通点も多いと思いますが、これらの点は日本と似ているようで異なる英国らしい点だと感じました。
日本の歴史上も宗教が絡んだ事例は多くありますが、武家政権の時代になってからは歴史を左右するとまではいかないと思いますし、海を通じて中国などと交流したり攻撃をされたこともありますが、海洋国家としてプレゼンスが高まるのは近代まで待つことになったり、とこれらの点は英国の方が特徴的な気がします。

名誉革命とか産業革命とか、エリザベス1世とか断片的に英国史の用語は知っていましたがそれらは全く結びついていなかったので、多少なりとも体系的に学ぶことができたのはよい機会でした。
金融業界人の端くれとして英国史の概要くらいは知っておきたいものだと歴史好きの金融人としては思ったりもします。資産運用業界でも英国の有力運用会社は多いですので。

 

レポートの内容

レポートのお題は、何らかの分野で16世紀から21世紀初頭の間に英国が変化したものについてその前後の状況を整理して論ぜよ、というものでした。
変化を論じるためには当然その前後の状況を認識した上でその変化した要因や経緯も理解していないといけないわけで、それ自体が学習成果とのことでした。

テキストでは政治体制や国際関係、宗教、経済、文化など多様な分野について述べられていたのでネタになるものはたくさんあるのですが、それらの内容についてはやや漠然とした理解しかできていないので、一番関心がある金融分野の変化について述べることにしました。

現在でもロンドンは世界の一大金融センターですが、18世紀にはロンドンは世界の金融センターの地位を占めていました。英国は18世紀にはオランダから覇権国家の地位を奪っていましたが、金融の中心地はまだアムステルダムにありました。
しかし18世紀後半にアムステルダムで恐慌が起こったりナポレオン戦争でオランダが占領されたりした影響で18世紀末頃には金融センターもアムステルダムからロンドンに移ることになりました。
それとは別に17世紀後半から18世紀には近代的な株式や国債の仕組みができ、証券取引所も誕生したりして、現代の金融の仕組みの基礎がこの時期に出来上がります。
1720年には有名な南海泡沫事件が起きたりしますが、それも健全な規制のために必要なことであったかもしれません。現在でも充実した規制の基礎には不祥事があるので。

また18世紀後半には産業革命期に入り、工業化が進み資本の蓄積が進むとともに巨大資本を必要とする産業が登場します。それは英国内だけでなく米国や大陸諸国にも当てはまることで、英国はこれらの国に積極的に資本投下を行い、英国の金融立国化がこの時に確立します(いわゆる「世界の銀行家」)。
なお、この時期に世界初の投資信託もイギリスで登場しますが、この投資信託も海外への資本投下を目的としたものでした。その名もThe Foreign and Colonial Government Trustで、そのものズバリです。ちなみにこの投資信託は1868年に設定されたものですが、現在も運用が続けられています。

そして19世紀には電信の登場やイギリス帝国の拡大によって物流・金融はより国際化・大規模化していきます。その中でイギリス帝国、そして世界の情報の中心となるロンドンは金融市場としてさらに重要性を増していくことになります。

・・・とざっくりいうとこのような内容をレポートとしてまとめ上げました。
もちろんテキストには経済史・金融史についてこのように詳細に説明はなされていないので、関連する書籍を読みました。レポートの要件も関連文献を2~3冊読むことだったのでちょうどよかったです。というか、どの分野でも踏み込んで理解するにはそれくらいは読んだ方がよいと思いました。

私が参考にしたのは下記の書籍です。

 

 

前者は金融以外の経済についても幅広く説明があって当時の英国経済と金融の状況をリンクさせやすかったです。
後者は金融史にフォーカスしていますが、その分投資信託を含め各種金融制度がどのように発展してきたのかが詳細に説明されていて、こちらも非常に面白かったです。ちなみにこちらの著者の板谷敏彦氏は実務家でもあり『日露戦争、資金調達の戦い』の著者でもあるので金融実務家には是非お勧めしたい一冊です。

苦労しましたが、何とかレポート提出を終えて一安心です。
この週末は昨年度から持ち越した史料学概論・東洋史特殊講義・書誌学の単位習得試験ですが、これらの単位を修得できれば卒業に必要な単位は(スクーリング科目と卒業論文で)揃うので、気合を入れて乗り越えたいところです。

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美術…史?

良い絵画はよき

タイトルに美術史とか書きましたが、もう美術「史」は関係ないですね…。ただのオタク記事です。

先日、ハマっている軌跡シリーズの版画を買って喜んでいる記事を書きましたが、やはり好きな絵画が自宅にあって好きな時に眺めていられるのは楽しいものです。

最近は自宅で仕事をすることが多いですが、仕事の合間に少し絵画を眺めるだけでも気分が変わります。多分風景画を眺めたりしても同じ効果が得られそうです。

前回は軌跡シリーズ三作品の主人公が一堂に会する『三つの軌跡』という作品を購入しましたが、今般以前から欲しかった作品が我が家のコレクションに追加されました。

『暁鐘のクロスベル』。軌跡シリーズ4つ目のタイトルとなる「創の軌跡(はじまりのきせき)」の一幕をモチーフにしています。

暁鐘のクロスベル。タイトル通りクロスベルの新たな一歩を描く。

創の軌跡は閃の軌跡の後日談にあたり、過去の軌跡作品から多くのキャラクターが登場して織りなされるストーリーになりますが、『暁鐘のクロスベル』は零の軌跡・碧の軌跡の主人公であるクロスベル警察特務支援課のメンバーがクロスベル独立のために立ち上がるシーンを描いています。まさに「暁鐘」です。

私がこの作品に惹かれたのは、もちろんイラストとして素晴らしいこともありますが、特務支援課の面々が「零・碧の軌跡」の時代からずっと大小色んな困難にぶつかりながら一つずつ「壁」を乗り越えていく姿に強く共感して非常に思い入れのあるキャラクターだからというのもあります。

特務支援課はもともと警察組織の傍流として設置され、窓際感すら感じさせる組織で当初は誰からも期待されていなかった存在ですが、新米警察官として小さな事件を一つずつ解決していくうちに市民の信頼を勝ち取ったり、大きな事件を解決していくようになり、最後にはクロスベルの英雄的存在になっていきます1この点が創の軌跡のストーリーのポイントにもなってきます。
また特務支援課はリーダーのロイド・バニングス(上の絵の中で旗を持っている青年)を含め基本的に4名のメンバー(+上司)で構成されますが、他の3人が特定分野で非常に高いスキルを持っているのに対し、ロイドの専門性は捜査能力という警察官としては必須ながら他のメンバーに比べると地味(?)なところがあります2ただしゲームでの能力は捜査官としても戦闘員としても高いですし信頼を寄せられています。
ロイド自身も若干それを引け目に感じているふしがあるのですが3時折自分の成功は他人によるもので自分はまだまだという自己評価がみられます(閃の軌跡Ⅱ外伝など)。、彼は捜査能力に加え、持ち前の情熱とリーダーシップ、優しさで見事にチームを引っ張っていきますし、他のメンバーもそれぞれの能力をいかしてチームやロイドを助けていきます。
このように、誰にも期待されていないところからコツコツ頑張るところや際立った能力がなくても努力を積み重ねてチームを引っ張るところがサラリーマンである自分の琴線に触れる気がします。
また、ロイドは空の軌跡・閃の軌跡の主人公と比べて血筋が普通であることも一般人である自分には共感するものがあります。もちろん空の軌跡・閃の軌跡ともに主人公は魅力的ですが。

あと、多くのRPGの主人公と異なり武器がトンファーというのも独特でいいですね。その理由が攻撃ではなく防御と制圧を主眼とするというところも警察官としてのポリシーにあふれていて素晴らしいです。

「三つの軌跡」。左がロイド、中央が閃の軌跡主人公のリィン、右が空の軌跡主人公のエステル。

ついロイド語りをしてしまいましたが、ロイドたち特務支援課が(碧の軌跡の後の)数々の困難を乗り越えてクロスベルの独立を勝ち取るところは特務支援課ファンとしては随一のシーンですし、このイラストを眺めているだけでも零・碧の軌跡(+閃の軌跡)の物語が頭に浮かんできます。よきです。

せっかくなので、「三つの軌跡」と「暁鐘のクロスベル」を並べてみました。

版画を二つ並べるのもいとをかし。背景のカーテンもよき。

もう、軌跡ファンとしてはたまりません。ずっと眺めていられそうです。
背景のカーテン(イースⅧの主人公のアドルとダーナ)もいい感じです。

 

フィギュアもよき!

ここまで絵画のよさを語ってきましたが、もう一つの文化財(?)である立像、もといフィギュアもまたよきです。

大きいフィギュアもいいですが、ねんどろいどとよばれるSD風のフィギュアが好きで日本ファルコム作品(イース・軌跡シリーズ)のキャラクターのねんどろいどについては積極的に集めてきました。

日本ファルコム作品(イース・軌跡)のキャラクターのねんどろいど

まだ十分とは言えませんが、とりあえずイースと軌跡シリーズの主人公を含め、ある程度の数のねんどろいどを揃えることができました。
イチオシのロイドについては制服バージョンのねんどろいども存在し、ネットで販売されているのも確認しているのですが(2022年5月末現在)、レアであるためか非常に価格が高く手を出せずにいます。そのため今は海水浴バージョンで我慢です。

これらのねんどろいどは、基本的にヤフオク、メルカリ、eBay、淘宝、駿河屋ウェブサイトで購入しました。
eBayは海外の、淘宝は特に中国に特化した通販サイトで国内で見つからない商品が意外に安価で見つかることがあります(ゲームソフトを海外で販売する際の特典としてねんどろいどが付属する場合があるため)。

先日はNintendo Switchで発売された那由多の軌跡を購入しましたし、まだSwitchで登場していない黎の軌跡を待つなど軌跡愛はまだまだありますので、引き続き版画やねんどろいどの蒐集も財布と相談しながら進めていきたいと思います。

黎の軌跡はSwitchに移植される前に続編がPSで出てしまいそう…

  • 1
    この点が創の軌跡のストーリーのポイントにもなってきます。
  • 2
    ただしゲームでの能力は捜査官としても戦闘員としても高いですし信頼を寄せられています。
  • 3
    時折自分の成功は他人によるもので自分はまだまだという自己評価がみられます(閃の軌跡Ⅱ外伝など)。
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