RSM同窓会@オランダ大使公邸

時間が経つのは早いものでGWがあっという間に終わって梅雨の季節が近づいてきているようです。服装も夏物が多くなってきました。

そんな中スーツでネクタイを着けて就職活動をしていると心身ともに堪えます。
まさか帰国後半年してもまだ就職活動をしているとは…
情けないと言えば情けない限りですが、どこにある良縁を信じて歩いてます。
いつかある人にタフそうに見えないなんて言われましたけど、こんな状況でも前を向いて歩いているのは結構タフだと思う…

それはさておき、先日RSMの同窓会が開催されましたので参加しました。
前回に引き続き今回もオーガナイザーということで雑用などをしていました。
こういうときは時間がある無職という立場がありがたいものです(汗)

今回はなんと在日オランダ大使公邸での開催です。
オランダ大使館にRSMの卒業生がいたため、その伝手でオランダ大使公邸での開催へとこぎつけました。ご縁というのはかくもありがたいものです。

当日は天気もよくパーティ日和でした。


オランダ大使公邸。緑が豊かです。

会場に着くと、まずはお世話になるスタッフの方々にご挨拶。
英語だったり日本語だったり。

大使館側では、日蘭友好の機会ということで関連グッズを用意していただきました。
ミッフィーの生みの親、ディック・ブルーナさんがデザインした特製ピンバッジです。


ミッフィーそっくりのまなざしがかわいいです。

RSMの連帯感を高めるべく、RSMグッズを会場に展開したりもしました。
こういったブランディングには学校も色々協力してくれるようです。


RSM特製のぼり(!?)

定刻に近づくと参加者の方がどんどんいらっしゃいます。
参加者は約30名。この規模の学校にしてはなかなかの盛会だと思います。

そしていよいよ開会。
まずはラーディンク・ファン・フォレンボーヴェン在日オランダ王国大使のスピーチ。
実は大使もRSMが所属するエラスムス大学のご出身だそうです。

スピーチの中ではこれまでの日蘭の交流の歴史のほか、アベノミクスやTPPなどの日本経済、歴史認識の問題などホットなトピックについても触れられていました。

TPPに関しては「なかなか信じてもらえないがオランダはアメリカに次ぐ世界第二位の農産物輸出国なので、日本もオランダから学ぶこともあるのではないか」と仰っていました。ちなみにオランダの面積は九州と同じくらいなので、いかにオランダの農業が進んでいるか伺えます。

歴史認識の問題については対中国・韓国の文脈で捉えられがちですが、日本から離れたオランダでも強い関心を持たれていることが印象的でした(太平洋戦争中にオランダ領が日本に占領されたことが背景にあります)。


オランダ大使のスピーチ。多くの話題に触れていただきました。

次にRSMの卒業生で現在起業をされている方のプレゼンテーション。
何を考えてキャリアを積んできたのか、その背景やキャリアの転換点における考え方などを話していただきました。
自分自身キャリアの転換点にあり、アントレプレナーシップにも関心があったので、大変関心を持ってお話を聞きました。

その後は参加者と懇談。卒業生の方だけでなく大使ともお話しすることができました(ミーハー)。

卒業生の皆さんも楽しまれている様子で、会を催してよかったと感じました。
自分自身も大使や卒業生の方とお話しして学ぶこともあったので良かったです。

今回はディナーを大使館にごちそうになりました。
ちなみにビールはハイネケンでした(笑)
料理もお酒も大変美味しかったです。ごちそうさまでした!

最後はみんなで記念撮影。
今後もこれくらい盛り上げていきたいものです。

せっかくなのでMBA2013でも。


I love RSM MBA 2013!

こうして無事にRSM同窓会を終えることができました。
最初は大使館を巻き込むなんて、と思っていましたがやってみると案外できることってあるものなんだと思いました。
RSM(エラスムス大学)の持っているネットワークは我々が知っている以上に大きいと思いますので、これから色んな機会を探っていきたいと思います。

ゆくゆくはエラスムス大学同窓会とかオランダの他のビジネススクールを交えたイベントができたらいいかも、と個人的には思っていたり。

その前に早く仕事を決めたいですが…(汗)

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良心に従って生きる

早いもので4月も終わり、世間様はゴールデンウィークを楽しまれている頃でしょうか。
私も働いていた頃は楽しみで仕方ありませんでしたが、無職の今となっては毎日がゴールデンウィークみたいなものなので特段のありがたみを感じないというなかなか厳しい状況です(汗)
さすがに4月が終わっても進路が決まっていないとは帰国時には想像もしていませんでした。

とはいえ新年度に入っていい流れを感じていますので、その流れに乗って良縁に巡り会いたいものです(外資系企業の場合、3月に新年度の予算が本国に承認されるため4月から募集が始まるポジションも多くなるらしいです)。

浪人生活をしていると時間だけは有り余っているため読書をする時間も増えました。
ジャンルは歴史、ビジネス、NPO、自己啓発など様々です。

本は図書館で借りることが多いのですが、図書館を歩いていると見たことのある名前が目に入ってきましたので、その本を読んでみることにしました。

その名前は根本博。旧陸軍の中将で、太平洋戦争時はモンゴル方面の司令官を務め、戦後は蒋介石を助けるべく台湾に渡り、共産党と戦った人物です。

彼の数奇な人生に関心を持ちつつもその詳細を知らなかったのですが、その人生を追いながら彼が非常に素晴らしい人物であることを知りました。

感銘を受けたポイントはいくつもありますが、特に下記の点は印象に残りました。

1.  自分の判断に対する自信、その判断に対して責任を取る姿勢
終戦時、日本軍は勅命において武装解除を命じられるのですが、彼はソ連軍に相対していたところ、武装解除をしては配下35万の将兵や民間人の命を守ることができないと判断し、責任を一身に負うことを明らかにして武装解除しないことを決定し、ソ連軍と交戦しながらも中国軍(国民党)の協力も得て無事に多くの日本人を帰国させることに成功します。
彼の判断が正しかったことは満州方面の武装解除後の悲劇を見れば明らかですが、実際にそのような判断を下し、また一身に責任を負って行動に移すことができるかと言えば容易ではないでしょう。

もし自分がこのような立場にあったらどのような行動をとるでしょうか。
唯々諾々と上司の命令に従って保身に走るか、敢然と自らの判断と責任のもと行動するのか。彼のようにありたいとは思いますが、決して楽な意思決定ではなさそうです。

2. 我が身を省みない恩返し
太平洋戦争が終結すると中国では国民党と共産党が内戦状態に入り、最終的に共産党が勝利を収め、蒋介石率いる国民党は台湾に追いつめられ絶体絶命の危機に陥ります。
共産党が勢いに乗る中で国民党は壊滅の危機にあったのですが、彼は中国からの撤兵時に国民党の協力があったことを忘れておらず、今こそ恩返しの時と、風前の灯であった国民党とともに戦うことを選びます。当然命を失う可能性は低くはありません。

恩返しが必要なのは誰でも知っていますし、恩人が苦しい時にこそ恩返しをしたいとは多くの人が感じることでしょう。
しかし、その時に自分にも危険が及ぶ場合、それでも恩返しできるでしょうか。
恩人の連帯保証人になれるか、その人の子を代わりに育てられるか、社会的地位を捨ててもその人のもとに駆けつけられるか。
これもまた自分がその立場になったら、と考えると簡単ではなさそうです。

3. 常識に逆らう
軍隊には鉄拳制裁がつきもの、というのはよくある話ですが、実際には将兵の士気は下がるし、組織内の調和・結束という点でも必ずしも利はないと素人ながら感じたりします。
過去の名将の例を見ても、軍の中の調和を保ち、将兵の扱いに配慮していた人物が多いのは、やはりそういう要素が軍隊の強さに影響するからだと思います(無論そうでない名将も多くいるでしょうが)。

特に旧日本軍の場合鉄拳制裁やいじめというのはよく聞く話ですが、根本中将はそのような制裁をやめさせたそうです。
陸海軍問わず鉄拳制裁はある種の慣習・常識になっていたと思いますが、それを一切排除するというのは言うは易く、行うは難きでしょう。

自分の判断に基づき断固として行動するという素晴らしい事例でした。

これらに共通しているのは、彼が自らの良心に従って行動したということだと思います。
我々は(少なくとも私は)良心を持ちながら、色んな事情でそれを後回しにしてしまうことがあるのですが、彼はそれを最優先したわけで、それこそが彼を彼たらしめたのだと思います。言い換えれば、良心に基づいて生きることこそが彼のリーダーシップだったのではないでしょうか。

私も良心に従って生きる勇気を持つことができれば彼のようなリーダーになれるかもしれない、と勇気づけられる思いです。

彼の事績は台湾の歴史を巡る複雑な経緯もあって必ずしも知られていないのが残念ですが、このような人物がいたことは誇りに思います。

ともあれ、台湾と日本を巡る深い縁やリーダーシップについて考える大変良い機会になりました。
浪人生活というのも悪くないですね(笑)

この命、義に捧ぐ~台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡~/集英社
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浪人生活…

早いもので新年度が始まって半月が経ちました。
3月中には就職を決めて無職という状態は避けたかったのですが、結局まだ良いご縁がなく就職活動が続いています。
興味のあるポジションは色々あるのですが、そういうポジションは競争が激しく魅力を感じてもらうのは容易ではありません。

そうこうしているうちに正式に無職という立場になり、また留学仲間達も次々と新しい道へと進んでいく中で自分だけが取り残されている状況になってしまい、さすがに焦燥感を感じるようになってきました。

しかしながら、その中で得るものもたくさんありました。

苦しい時にこそ見えてくるのが人の親切さ
苦しい心中を慮って励ましの言葉をかけてくれたり、専門的なアドバイスを頂いたり。
残念ながら未だにその親切さに答えられていないのが心苦しいところですが、早く良いご報告をすると共に、いつか恩返しさせていただきたいと切に思います。

また色んな企業、職種・業種のポジションを検討することで新しく考えたこと、見えてきたことも多くあり、自分の視野や考え方が広がった気がします。
それに伴って希望するポジションやキャリア展望も変化があったりして、柔軟に考えることの重要性を痛感しました。
あるものを手に入れる方法は1つとは限らず、色んなやり方があるんだということに気づくと、自分の選択肢が広がり、人間としても一皮むけたような感じがします。

あとは人と違う状況に置かれてもある程度平然としていられる落ち着きも収穫です。
これまで受験のために浪人したこともなければブランクもなく、とりあえず普通のレールを歩いてきましたが、留学・浪人(無職生活)というレールを外れ、かつ先も見えないという、一般的(というと語弊があるかもしれませんが)な状況からかけ離れた状態になり、周囲からは心配されています。
確かに人と(悪い意味で)違う状況というのは不安です。回りの目も気になります。
しかし、人と違う状況にいるから見えてくるものもありますし、そういう状況になるリスクをとってこそ得られるチャンスもあると思います。
そう考えると、大事なのは人と違う状況になることを恐れたり、そうなったときに不安になることではなく、むしろそういう状況を乗り越えること、そしてそのためにある程度平然としていることなのではないかと思ったりもします。自己弁護が入ってますが(笑)

・・・と気丈に書いてみたものの、やはり早く次の進路を決めたいものです。

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惜別の時

先日卒業要件を満たして卒業が決定したのですが、今般ついに卒業式の日を迎えることになりました。
もっともオランダに行く余裕はなかったので式に参加はできませんでしたが。

卒業式はロッテルダムのWorld Trade Centerで行われました(卒業式の様子はこちら)。
式にはロッテルダム市長のほか、日本人同級生の尽力でデン・ハーグの国際司法裁判所で裁判所長をされていた小和田恒氏も講演をされたそうです。
その行動力にはいつも驚かされ、刺激を受けてきました。
他の日本人同期にも言えますが、本当にたくさん学ばせてもらいました。

その後、ガウン姿のクラスメイト一人一人卒業証書を受け取り、最後は定番ですが角帽を投げていました。

卒業式

こういうの一度やってみたかったのですが、大学卒業の時も卒業式に出ていないのでどうも縁がないようです。次は博士課程の時にでも…?

ともあれ、これで名ばかりながら正式にMBAとなりました。
学生の身分を失ったので無職ということでもありますが…(汗)

親戚や世間様に対しては少々肩身の狭い立場ではありますが、電力王・松永安左衛門翁曰く「大病・投獄・浪人こそが成功の条件」ということですので、ゆっくり考えを巡らせるいい機会と考えることにしています。

他の日本人同期はそれぞれ自分の道を歩き出していますが、自分は就職活動で一進一退しているだけで何事もなしていないことに忸怩たる思いを抱いていましたので、卒業にあたり自分で小さなプロジェクトを立ち上げて動き始めることにしました。

これから自分がどのような方向に行くのかわかりませんが、自分なりに納得のいくように時間を過ごしたいものです。

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アンテナ on ソーシャルファイナンス(2)

2つめのイベントはG4マルチステイクホルダー委員会の発足委員会
昨今サステナビリティ・CSRへの関心の高まりを受け、多くの企業がサステナビリティ報告書ないしCSR報告書を作成していますが、そのような情報開示についてGlobal Reporting Initiative (GRI)という団体がガイドラインを作成しています。
このガイドラインは何度か更新され、2013年には第4版が発表される予定でこの第4版はG4と呼ばれています。

GRIは1997年にボストンで設立されましたが、現在はオランダのアムステルダムに事務局を置いて活動しています。そのため、私もオランダでお話を伺おうと思っていましたがその機会を得ることはできませんでしたので、今回説明を受ける機会があったのは幸いでした。

多くの企業がGRIのガイドラインに沿って報告書を作成していることもあり、この説明会も会場いっぱいに人が入っていました。
定員は100名だったので参加者もほぼ100名、年齢層としてはシニアと若い人がくっきり分かれている感じでした。なお、女性は3割程度だったと思います。この分野では女性の存在感が大きいように思うのは私だけでしょうか。

説明会は、GRI・G4に関するものと、投資家が非財務情報をどのように認識しているのかという説明の二部構成でした。


説明会資料。

GRI-G4の最新状況については、GRIの説明やG4開発の背景・現在の状況について触れられました。
G4という呼称が示す通り、最新版で4度目のガイドライン策定になるのですが、本格的にガイドラインが普及したのはG2からだったそうです。
そしてG2は全世界で57か国・864社が利用し、中でも日本企業が最多ということでした。日本企業・日本社会のサステナビリティに対する関心の高さが垣間見られます。

一方、各社のCSR報告書を見ていますと、GRIのガイドラインに沿っているという事情もあるのですが、どうしても総花的・羅列的になってしまい、大事な情報が埋もれてしまいがちです。
そのため、G4では何でもデータを示すのではなく、企業にとって重要であることを明確にしたうえで情報を開示することを促す方針ということです。

他には世界中でサステナビリティ報告書が進化していること(特に中国や韓国、その他発展途上国でも質の高いサステナビリティ報告書が増えているとか)、初心者・経験者双方にとってユーザーフレンドリーなガイドラインが求められていることなどがG4開発の背景にあります。

そのG4開発は現在最終段階にあり、2013年5月に公表される予定です。
そしてG4発表に合わせてアムステルダムで国際会議が参加されるそうで、日本からも代表団が派遣されるとのことでした。
派遣団には自分で手を挙げて参加することもできるらしく、もしオランダにいたら参加したのに…と少々残念な思いです(笑)

続いて大手金融機関の方から、投資家の立場から見たG4の影響について説明がありました。
日本では金融危機を転機にSRI(社会的責任投資)市場が停滞している一方、欧州では逆に金融危機を弾みとしてSRI残高が拡大していることが示されました。

またSRI・ESG投資(環境・社会・ガバナンス)が拡大した背景として、短期主義に対する反省の他、投資家の責任ユニバーサルオーナーという概念を指摘されていました。

ユニバーサルオーナーというのは、「機関投資家はポートフォリオを通じて経済全体の一定の持ち分を所有している」という考え方で、言い換えればポートフォリオは経済全体の損益を反映しているということになろうかと思います。
つまり環境汚染などの外部性についても幅広い銘柄を保有している機関投資家は結局のところ負担せざるを得なくなるということです。

そのため、機関投資家は環境などサステナビリティに配慮した企業に投資することによって外部性を軽減しポートフォリオ全体(=社会全体)への悪影響を低下させるとともにリスクヘッジにもなると考えることができます。

機関投資家に勤務していたこともありましたが、こういう考え方をしたことはなかったので非常に印象に残りました。

また欧州を中心としてESG投資に関連する規制が強化されている点も挙げられていました。
特にルクセンブルグではクラスター爆弾、地雷製造に関わる企業に投資することは禁止されており、違反すると禁固・罰金という刑罰が科されます。
ルクセンブルグの場合欧州のみならず世界中の機関投資家がルクセンブルグ籍の投資信託を設定するなど影響が大きく、当然ルクセンブルグ籍投資信託を設定する日本の機関投資家もこの規制の対象となるため、否が応にも意識せざるを得ないということになります。

クラスター爆弾以外にもこのような事態になりうるテーマは他にもあるため、機関投資家は法令順守という点でもESGに意識を払う必要がありそうです。

そして、このような点を織り込んで投資判断を行うためにもG4の趣旨にもある通り、企業側がESG情報・リスク情報の開示を的確に絞り込んで発信するとともに、IR活動と一体化した情報発信が重要というご意見でした。

今回は情報開示ということで金融機関側だけでなく事業会社にとっても直結する内容で、非常に勉強になりました。
自分がこういう会社に入ったらこういうことをしたいということを具体的にイメージすることができて面白かったです。

事業会社がESGに積極的に取り組んでそれをIRと一体化させて投資家に発信し、投資家・金融機関がそれを適切に評価して資金を融通しさらなる成長の原動力となる…という好循環が強化され、持続可能な成長モデルにしていきたいものだと次世代の一員として強く思います。
自分がどの立場になるにせよ、この意識は忘れないようにしたいもので
す。

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アンテナ on ソーシャルファイナンス(1)

3月もはや中旬。今年度ももうすぐ終わりです。
そんな中就職活動は大幅な前進を見せてはいませんが、何とか匍匐前進を続けています。
RSMのクラスメイトや日本のMBA仲間も続々と次のステップを決めているので少々焦りが無いでもないですが、大事な節目ですので納得のいく進路を見つけたいものです。

先の見えない状況というのは結構厳しいもので、つい目先のことにばかり気が行ってしまいますが、自分の関心のある分野に対するアンテナは張り続けていなければいけないと思い、サステナビリティ・ソーシャルファイナンスに関連する2つのセミナーに行ってきました。

まず、21世紀金融行動原則シンポジウム
21世紀金融行動原則とは業態の異なる多くの金融機関が資金をより持続可能な事業に流すようにしようという理念を掲げたもので、2013年3月現在186の金融機関が署名をしています。
これまで貸出/リース・保険・証券/運用・不動産といったワーキンググループに分かれ議論を深めてきたようで、今後の動向が注目されます。

参加者も結構多く、金融機関や関連事業者が積極的にサステナビリティを本業と関連付けようと模索しているのかが伺えます。


21世紀金融行動原則総会・シンポジウム会場

会議の中では金融機関のCSR・環境関連の素晴らしい取り組みについてもいくつか紹介されていました。それぞれ自社のビジネスや資産を有効に活用したもので、大変参考になりました。

その中に第一生命の保育所事業についても紹介されていましたが、保育所の設置は当然のことながら一般のテナント誘致とは異なった規制・配慮が求められ、それらをクリアするために様々な工夫がなされたそうで、聞いていて感じるところ大でした。

またUNEP FI (Finance Initiative)の特別顧問、末吉竹二郎氏が講演されました。
氏の姿を生で見ることができたのはソーシャルファイナンスを志す人間として感動するものがありました。単なるミーハーですが(笑)
当シンポジウムの中では2012年6月にブラジルで開催された「国連持続可能な開発会議(通称リオ+20)」にスポットライトが当たったこともあり、この講演の中でも主に自然資本について触れられていました。

講演の中で特に印象に残ったのは「フカヒレスープを出さない」という話。
多い統計だと現在年間約7300万匹のフカが捕獲されていてフカの個体数減少が深刻化しているうえに、残酷なことにフカヒレのために捕獲されたフカはヒレだけ切り取られてあとは海に捨てられるそうです(講演では触れていませんでしたが、ヒレを切られたフカはその後溺れてしまうとか。なお日本ではサメのほぼすべてを利用するので事情が違うとも。)。
これらの背景からワシントン条約会議では3種類のフカの捕獲が規制されるとともに、シャングリラやペニンシュラといった一流ホテルがフカヒレスープを出さなくなるといった状況になっているそうです。
もちろんフカヒレだけではなく、漁業資源の73%は持続可能な線を超えているという指摘もあり、海産物好きの自分としては他人事ではありませんでした。

なお、リオ+20では世界の金融機関が自然資本宣言を発表しており、37の金融機関が署名しています(日本の金融機関では三井住友トラストホールディングスが署名)。
特にRobeco、ASN Bank、Rabobank、Unicredit、SNS Assetなどオランダの金融機関が目立ち、さすがソーシャルファイナンス大国だと感じました。

その後各業界の代表者と環境省担当者を交えたパネルディスカッションがありました。
その中で特に2つの意見が印象に残りました。
一つは今後金融業界が経済の持続可能性を高めていくためには業態を越えた連携が必要である、という意見。
もう一つは、地方の中小企業であっても、取引先が国際的な大企業である場合はその企業の調達が国際ルールに従うことになり、結果としてグローバルな動向が影響を及ぼすため、地域の金融機関もその取引先も注意をしなければいけない、という意見。

特に後者の意見は就職活動でいろんな業種を考えている身として参考になりました。
最近はグリーン調達や倫理調達ということを意識している企業も多いでしょうし、またグローバル化が進む中、輸出入の機会が増えたらその分国際ルールが絡んでくることも増えるでしょう。もしかしたらTPPなどもこの動向に影響してくるかもしれません。
そう考えると、環境問題や国際ルールは地方の小さい企業であっても必ずしも無縁であるとは言えないし、そこに金融機関のサービス提供の余地がありそうです。
そういう意味では、金融業界内の連携にとどまらず、事業会社をどのようにこの流れに取り込んでいくかということも議論の焦点になるかもしれません。

ともあれ、今後もこの金融原則を取り巻く動向について注目したいところです。

(2)に続く
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