ガバナンスの形

昨今相次ぐ企業の不祥事が報道される都度注目されるキーワードの一つに「(コーポレート)ガバナンス」があります。

ガバナンスとは文字通り企業統治のあり方のことで、企業活動をどのようにコントロールするかということです。

似たような用語に「内部統制」がありますが、内部統制が企業の内部においてどのように企業活動をコントロールするかに主眼を置いているのに対し、ガバナンスは株主など社外の捨て行くホルダーの関与も大きな要素になっていることから、内部統制はガバナンスの一部と考えることができそうです。

 

ガバナンスというと大抵「コーポレート」という冠言葉がつくような印象がありますが、やはりガバナンスという問題は伝統的には企業統治という文脈で議論されることが多く、内部統制、株主やメインバンクの関与など、様々な側面から企業(特に株式会社)のあり方が俎上に上ってきました。

(もちろん公的機関やNPO、軍事組織などのガバナンスについても多くの研究があると思いますが。)

 

このように従来はガバナンス論の主戦場は株式会社でしたが、最近は投資信託についてもガバナンス論との接点が出てきました。

投資信託の運営についても様々な意思決定があるなかで、投資家のための意思決定を担保するためにガバナンスはどうあるべきか、ということです。

 

投資信託はその形態において契約型投資信託と会社型投資信託に分類されます。

一般的に投資家がイメージする投資信託(銀行や証券会社で取り扱っている「●●ファンド」)は契約型投資信託であることが多いです。

一方、不動産に投資するREIT(リート)などは会社という形態をとり、会社として上場しています。このような形態は投資法人と呼ばれ、実際に意思決定の会議体も存在します。

 

後者の投資法人の場合、個々の投資信託が投資法人として意思決定を行っているため、株式会社のガバナンスの延長線上で議論することができると思われますが、前者の契約型投資信託の場合、個々の投資信託の意思決定を(投資信託とは別の法人格である)資産運用会社が行っているため、意思決定の妥当性の検証が難しいことがガバナンスとして問題があるのではないか、とされているようです。

 

もちろん、資産運用会社は投資家(受益者)に対する忠実義務を負っているため、個々の投資信託に関するすべての意思決定は、その投資信託の受益者の利益に忠実に行われています。資産運用会社のコンプライアンス部門も当然忠実義務に則り各業務のチェックを行っているはずです。

また、投資信託の内容などに重大な変更があったり、投資信託を償還する場合は株主総会のように受益者に対して意思決定を求めます(基本的には書面決議という形です)。

 

そう考えると、契約型投資信託においても意思決定の妥当性は担保される仕組みになっていると思われますが、意思決定機関と意思決定対象(投資信託)が一対一の方が透明性が増すということなのかもしれません。

私が考えていることくらい識者は考えているはずですし、透明性・わかりやすさの観点で改善できることはまだあるでしょうから、議論の深化を待ちたいところです。

こういうところを常時アップデートするのが、いいコンプライアンス担当者だと思うので、引き続きフォローしていきたいところです(笑)

 

 

といって、常時ガバナンス論の動向を見ているわけでもないのですが、ガバナンスで面白いと思うのは、組織の形・特徴は結構多様で、それに応じてガバナンスのあり方も千差万別であるということです。

 

個人的に一番面白いと思うのは相互会社。

相互会社というのは保険会社にのみ認められた会社形態で、保険の加入者が株主のように会社構成員(社員)となりますが、実際の意思決定は加入者代表の総代(総代会)が行います。

その総代は社員(保険加入者)が選んでいるという立て付けですが、実際には保険会社の意向が働いているようで、そういう意味では保険会社が自ら監督者を選出していることになります。

その一方、相互会社は上場していないため、株主も存在せず、基本的には投資家からのプレッシャーはないといえそうです。

 

また、相互会社に特徴的なのは自己資本で、株式会社では株主が拠出した資本金が自己資本の中核となりますが、相互会社の自己資本は「基金」で、これは議決権のない債券であり、相互会社にとっては債務となります。

債務が自己資本となること、自己資本と会社の意思決定権が分離されているという点も興味深いところです(株式にも議決権のないものなどがありますので、相互会社に特有とまでは言えませんが)。

 

最近では第一生命など生命保険会社が相互会社から株式会社に移行する動きがありますが、依然として大手生命保険会社の多くが相互会社形態をとっていますので、まだまだ相互会社のガバナンスについては議論する社会的意義がありそうです。

 

 

それはさておき、最近読んだ本(柳川範之「法と企業行動の経済分析」)の中にも面白いガバナンスの話がありました。

ゴルフ場です。

 

以下は、本書の内容をベースに記載しています。

 

初心者ゴルファーの私はあまりゴルフにまつわることがよくわからないのですが、いわゆるゴルフ場の会員になるには「会員権」が必要になります。

会員権を取得すると、ゴルフ場で優先的にプレーができるようになるようです。

 

会員権を取得するには、ゴルフ場から直接購入するか、会員権市場で購入するか、のどちらかになります。この仕組みは株式市場と似ています。

 

会員権を購入するには、入会金や手数料に加え「預託金」を払う必要があります。

預託金はゴルフ場の建設や設備投資などに使われますが、一定期間後に返還されるものです。

会員権市場で購入する場合も、会員権の価格に預託金が含まれているため、預託金を拠出していることには変わりありません。

 

預託金はゴルフ場にとっては債務ですが、それによってゴルフ場の意思決定に関与するものではないため、通常会員はゴルフ場運営会社のガバナンスには関与しません。

 

しかし、その会員がゴルフ場運営会社のガバナンス当事者になるときがあります。

それは、ゴルフ場が経営危機に陥る
ときです。

 

経営危機に陥ると民事再生法などによる経営再建が模索されますが、そのためには再生計画が債権者にも容認される必要があります。

通常の場合、最大の債権者はメインバンクでしょうから、最大の交渉相手は銀行になると思われます。

タフネゴシエーターかもしれませんが、交渉相手が絞られますし、メインバンクは貸出先と一蓮托生というところもありますので、交渉しやすいともいえます。

 

しかし、ゴルフ場の場合、メインバンク以上にゴルフ場の会員の方が預託金(返還請求権)という形で債権を保有していたため、会員がガバナンスの当事者になりました。

特に個々の会員の債権額は小さく、会員数は多いため、再建策(=債権額の縮小)の合意を取りまとめるには相当の苦労が生じます。

 

債権債務発生時にお互い想定していなかった当事者が、ガバナンスの当事者になること、またガバナンスの当事者になるにあたってのニーズ(ゴルフ場の場合、預託金額縮小または請求権の一定期間凍結の代わりにプレー権の保証)が通常のケースと異なること、合意のとりまとめのプロセスが通常と異なることなどが興味深かったです。

 

ある意味、組織の数だけガバナンスの形もあるので、かなり奥が深い世界です。

 

ガバナンスを知ることは組織のあり方を知ることにもつながるので、これからもいろいろガバナンスについて学んでいきたいと思います。

 

なお、これらは、資料に基づくものを除きすべて私見です(コンプライアンス担当者らしい締め(笑))。

 

 

 

法と企業行動の経済分析
柳川 範之
日本経済新聞社
売り上げランキング: 271,279
カテゴリー: 読書 | コメントする

ベンチャー運用会社の立ち上げ

技術革新の速度が早くなっている今日、金融業界でもその流れを受けて、新しいアイデアと技術を使った新しいサービスが日々生まれています。いわゆるフィンテック(Fintech)です。

資産運用業界もその例外ではなく、多くの資産運用会社がフィンテックの流れに乗って新しいサービスを模索しています。

中でも目立つのが、AI(人工知能)を使用して投資判断を行う運用サービス。
AIが人間より多くの情報を処理してより効率的な運用を行うことを目指したり、投資家のニーズをより深く把握して、個々の投資家に合わせた投資を行ってくれる、といったサービスが登場しています。
AIのレベルが向上すると、より高度なサービスも期待できそうで、業界に属する者としてこの流れには注目しています。

そしてFintechは各分野で新規参入を促していますが、資産運用業界にもやはり多くの新規事業者が新しい技術を使ったサービスを提供しようとしています。
そしてその新規参入事業者の中にはベンチャー企業も多くいます。

Fintechにもベンチャー企業にも関心がありますので、興味深く動向を見ていたら、まさにFintechで資産運用業を始めたい、というベンチャー企業からお話しませんか、というお声がけを受けました。
昨今の状況に関心を持っている者としては是非お話を聞いてみたかったので、早速お会いすることに。

今回お話を伺ったのは、その名もズバリ「ロボット投信」という会社。
創業者の方からお声がけいただいたのでマンツーマンかと思っていましたが、なんと4名の方がいらっしゃって恐縮してしまいました(笑)

ちなみに資産運用業(業法である金融商品取引法上は投信運用業といいます)を始めるにはコンプライアンス担当者の確保が必須のため、コンプライアンス経験者は重宝されるようで、大変ありがたいです。
正直自分から望んで得たキャリアではないですが、これも縁、運ということなのでしょうか。

ロボット投信さんの出来立てオフィスで、自己紹介のあと、簡単にビジネスモデルを説明いただきました。

ロボット投信という名前もあり、AIを使った運用のみを強みとしてビジネスをしていくのかと思っていましたが、実は強みはそれだけではなく、彼らの開発したサービスを活用して販売チャネルにも工夫をしているとのこと。

資産運用会社では運用の質や運用資産が一番大事と思われがちですが、資産運用会社の経営という観点では販売チャネルこそが最重要だと思います。
素晴らしい運用を行っても、運用資産自体の規模が大きくならないと会社の収入は増えませんので※。
その点にも工夫をされているというのはよく考えらえているという印象を受けました。
※個々の投資信託には、信託報酬(運用・管理費用)がその投資信託の日々の残高(純資産)の●●%と定められていて、それが運用会社の収入になるため、運用成績が良いだけでなく、その投資信託自体が多く売れて預かり資産が増えないと運用会社の収入は大きくは増加しないことになります。

ちなみに一般的な投資信託を販売するチャネルとしては、証券会社や銀行などの販売会社に販売してもらう形式と、投資信託の運用会社が自ら投資家に販売する形式があります(会社によっては両方行っている場合もあります)。

運用会社が直接お客さまと接するという点では直接販売する方が適しているとも言えますが、販売網やシステムは証券会社や銀行の方が投資していますので、預かり資産の額は販売会社経由の方が格段に大きいです。
個人的には直接販売には夢があると思うのですが、収益性やコンプライアンス上の観点からは販売会社と提携したビジネスモデルの方が経営が安定しやすいですし、ロボット投信さんもその点をよく考慮されていましたので、さすがだなと思いました。

ロボット投信さんの売りは、低コストで充実した顧客サービスやマーケティングを行っていくことのようです。
ウェブサイトにも掲載されている、すでに開発している資産運用業務に関連するサービスを活かしていくとのことでした。
顧客サービスやマーケティングで差別化を図るというのはよく聞く話ですが、それを実現している事例は資産運用業界ではあまり見かけませんので、興味深くお話を伺いました

また、運用においても低コストで個々の投資家のニーズや市場環境に合わせた運用サービスを提供していくとのことです。
システムを使ってETFを組み合わせるアセットアロケーション型の運用はすでに多くの事例がありますが、ロボット投信さんはそれ以外にも投資家のニーズ・嗜好をくみ取るサービスを考えているようです。

先行事例についてもいくつか説明いただき、個人的にもワクワクしました。
その投資信託が設定されて、投資するのが今から楽しみです。

創業者の野口さんは私と同世代ですが、自分の理想をしっかりと持ち、素晴らしい仲間を集め、前に進んでいく姿がまぶしかったです。
同世代の星として、また次世代の資産運用業界の牽引役としてこれからも応援していきたいと思います。

カテゴリー: お話を聞いてきました | コメントする

笑顔は人を惹きつける

今年も夏真っ盛り。毎日通勤で汗びっしょりでサラリーマン的には(?)少々辛いです。
でも、そんな夏ですが、毎年たくさんのものをくれるので無下にもできません。
特に今年は甲子園に加え、リオデジャネイロオリンピックもあるので、より暑い夏になりそうです。

オリンピックの時は、テレビをつけたときに放送されている種目を見ていることが多いです。詳しくない種目だと(ほとんどの競技についてあまり知識がないのですが)、イメージと違った側面を発見することが多くて面白いです。

今大会でもいくつかの種目を見ましたが、特に印象に残ったのが女子48kg級ウェイトリフティング。
自分より小柄な選手が体重の2倍以上あるバーベルを持ち上げている姿自体が崇高です。

個人的なイメージではウェイトリフティングは筋力勝負の種目という感じでしたが、実際には選手間で多くの駆け引きがあります。
他の選手がどのくらいの重さを持ち上げるのか、限られた試技の回数の中で他の選手を出し抜くためにどの重さを選択するか、など多くの駆け引きの要素がありました。
もちろん、自分の持ち上げられる重さには限界がありますし、試技の際に心身の状態を最高にしなければならず、そのためには休憩の時間も大事で、そのあたりも持ち上げる重さを選択する要素になっているようです。

この種目では、ロンドンオリンピック銀メダリストの三宅宏美選手が、腰を痛めて痛み止めを打ちながらも奮闘し、見事銅メダルを獲得しました。

ウェイトリフティングは「スナッチ(バーベルを一気に頭上に持ち上げる)」と「クリーン&ジャーク(バーベルを一度肩まで持ち上げてから頭上に持ち上げる)」があり、各3回の試技ができるのですが、三宅選手はスナッチ3度目で成功し、しかも床に崩れ落ちそうなところをぎりぎり踏ん張っての成功で、本人もコメントされているとおり、奇跡とも思えるような成功でした。
その後、クリーン&ジャークでも好成績を残し、見事銅メダル。見てて本当にすごいと思いました。

その一方、もう一人印象に残ったのが金メダルを獲得したタイのソピタ・タナサン選手。
もちろん金メダルという成績も素晴らしいのですが、それ以上に印象に残ったのは彼女の「笑顔」。

多くの選手は試技に成功したあと、どちらかというと安堵の表情を浮かべていました(もちろん順位がかかっているときなどは皆さん笑顔でしたが)。
プレッシャーもあるし、そうでなくても力を入れて踏ん張っているわけですから、「ふーっ」という感じになるのが自然だと思います。

そんな中、タナサン選手は成功した後、安堵の表情というよりいつもニコッと笑顔でプラットフォームを離れていました。
その笑顔を見ながら、笑顔って素敵だなー、なんて競技とは別のことを考えていました(笑)

彼女の国、タイは「微笑みの国」とも呼ばれる、笑顔あふれる国民性で知られています。
タイ人の友人は非常に性格がいいし、タイに行った時も多くの人が笑顔でいたのは印象に残っていますが、タナサン選手の笑顔も、まさに「微笑みの国」の代表らしい、といえるのかもしれません。

「笑う門には福来る」といいますが、笑顔は本当に人を惹きつけると改めて感じました。

※あくまで個人的な印象ですし、また試技後の表情に優劣があるとは思っていませんので、念のため。そして、もちろん競技後の三宅選手の笑顔も素敵でした。

一方、涙で人を惹きつけるのが甲子園といえるかもしれません。
勝者の歓喜も素晴らしいですが、同じく練習に打ち込み、一球一打にかけてきた敗者の涙にも心打つものがあります。
だからこそ、プロ野球とは違った魅力があり、多くのファンが時として出身地に関係なく高校球児を応援するのだと思います。

ちなみにこの記事を書きながら、盛岡大付対九州国際大付の試合を見ていましたが、お互いに追いつき追い越し、また追いつきのシーソーゲームで、最後まで試合の行方が分からない素晴らしい試合でした。
毎度のことですが最後まであきらめない球児たちの姿勢にも感動します。

と、いろんな面でスポーツから心に栄養をもらった一日になりました。
スポーツにそこまで関心を持っているわけではない自分でもこんな気持になれるので、オリンピックが平和の祭典として、これから(も)世界中の人の気持ちをつなげてくれることを期待したいと思います。

また、自分もできるだけ笑顔を多くして、周りの人の気持ちを和やかにできたらと思います。

カテゴリー: ブログ | コメントする

起業家訪問-LandsSkip

最近は世間的に、というだけではなく、自分の周りにも起業したりフリーランスとして活躍する人が増えてきて、会社勤めの身としてはそういうことに憧れつつも、自分がどうしたいか、どうすべきか、ということをよく考えますが、そんなときに、起業家として活躍している知人がオフィスを移転したと聞いたので、見学がてらお話を伺うことにしました。

今回お話を伺ったのは、株式会社ランドスキップの下村社長。
最近はメディアへの露出も増え、注目されているベンチャー経営者です。

Landskip

ランドスキップのサービスは、オフィスや自宅などに居ながらにして世界の風景を連れてくる、その風景の中に入ることができるようにするというもの。
ゆらぎのある自然の景色によってユーザーに癒しを届けることを目指しているとのこと。

スペースのレイアウトなども影響するでしょうが、例えば壁に貼り付けたモニターやスクリーンに森や海、砂漠や湖などの景色が映し出されると、本当にその中にいるような気分になりそうです。
実際某社のオフィスの様子を見せてもらいましたが、その景色があるだけで雰囲気が全然違いました。

下村さんとは起業前から面識があり、せめてネットワーキングくらいは協力できないかと思い、友人のベンチャーCFOと技術系出身コンサルを誘って飲みながらいろいろ話したことがあります。
今回もその面子でお邪魔することになりました。

オフィスは表参道駅から徒歩数分。オシャレですね。
ベンチャー企業が共同で使用していると思われるフロアの一角にランドスキップはありました。

少し職場を見せていただいた後、応接間に。
IT系ながら(というのも語弊がありますが)自然を大事にするランドスキップの応接間はなんと和室!!これはインパクトがあります。
現在は普通の和室ですが、今後モニターを壁に設置して、ここにも自然の風景を持ってくるようです。その時にはまたお邪魔したいものです。

和室

その応接間では、ビジネス関係の話を1時間半ほどしていました。
やっぱりベンチャー経験者や技術バックグラウンドのあるコンサルがベンチャー経営者と話すと、深くて示唆のある話が多く出ました。

以下、4人で話し合った内容です(特定の個人の意見ではありません)。

【起業に至る経緯、働き方について】
・下村さんは文系出身でプログラミングの知識もほとんどなかったが、専門のプログラムを6か月で終え、必要なプログラミングのスキルを習得。
 仕事をしながらだったので非常にハードだったが乗り越えられた。
・オフィススペースは24時間空いているのでいつでも使えるし、いつでも働いている。
・現在は社員2名(下村さん含む)で、他の方はハーフコミット(ハーフコミットの人が動けるのは土日であることが多いため、土日のどちらかはオフィスにいる必要がある)。

【プロフェッショナルの働き方について】
・アウトプットさえ出してもらえれば、ハーフコミットでも支障はない。そのため、プロフェッショナルにフルコミットを求める必要もない(複数のプロジェクトを抱えるコンサルに近い感覚)。
・プロフェッショナリズムのある人間を縛るのはナンセンスで、仕事の仕方は任せるべき。気分の乗らないときに仕事させるより、本人が働きやすいやり方を選んでくれればよい。
・副業についても禁止する意味はないのではないか。利益相反については、背任はもとより犯罪であるし、アウトプットベースでの評価ができるのであれば、会社としても不利益はないはず(もちろん、同業他社に副業で行くなど、ケースバイケースの判断は必要だが)。
・逆に副業によって新しい知見や経験を得ることでブレークスルーにつながることもあるのではないか。
・最近では、ローンディールなど、大企業からベンチャー企業に出向するという形で人材育成、スキルの共有を進めるという動きもある。
・大企業でゼネラリストとして育成された人材となんでもやらなくてはいけないベンチャー企業は実は相性が良い。特に自分で手を動かす若い人は貴重な存在。
・経営に関する意思決定を実際に行うのもベンチャーでの貴重な経験。実際に「決める」仕事をする人は検討の深度が深い。

【リクルーティングについて】
・ハーフコミットする仲間に支えられているビジネスモデルだが、そのような仲間を集めるのは明確なビジョン。
・採用面接の際には仕事の話をしても、良いことしか話さないのであまり効果はない。
・仕事の代わりにその人自体を知るための話をしている。好きなことや節目の決断など。
 人として興味を持てればそれでいい。仕事ができなくても全人格の否定にはつながらない。
 仕事ができないなら手助けしたりできる仕事を探してあげればいい。
・ただ、何であれ好きなものに対して浅いことしか話せない人はダメ。

【ランドスキップのビジネスプランなどについて】
・最近大手企業と取引するようになってからビジネスが軌道に乗ってきた。
・顧客としてはオフィスやマンション(共有フロアに)が増えてきている。
・Apple TVやスカパーにプロダクトを供給することで固定ユーザーを獲得でき、収益の安定につながっている。
・地方自治体からの撮影依頼も増えている(観光につながる)。
・会社やビジネスの規模は大きければいいわけではなく、「Small & Premium」を目指したい。
・ベンチャーキャピタルは規模の追求を志向するので、出資を仰ぐなら自分のビジョン・夢と照らし合わせる必要がある。
・会社を大きくしなくても、事業提携・アライアンスなどでビジネスを大きくすることはできる。
・地方とITは相性が良い。そのようなビ
ジネスが地方であまり生まれないのは、プログラミングなどをきちんと教えてくれる人が少ないからではないか。

このように、ベンチャービジネスについて有意義な話をお聞きすることができました。
ベンチャー経営者とベンチャーCFO・コンサルという、良いシナジーが生まれたようで楽しい時間となりました。
また、同年代の人が活躍しているのを見ていると励みになります。

下村社長、ありがとうございました!

こうやってネットワーキングのお手伝いをしたり、ブログ記事を書いて情報発信をするのも楽しいので、これからもいろんな方とお話したり、面白い人と人をつなげていけたらと思います。

カテゴリー: お話を聞いてきました | コメントする

オトナの情報発信あるいは優雅なる学歴コンプレックス(!?)

自分が所属しているある同窓会組織では月に一度、若手の卒業生を集めてカジュアルなディスカッションの場を設けていて、そのテーマは有志が出して、有志自身がファシリテーターとして場をコントロールすることになっているのですが、今回は自分がその立場になりました。

提案したテーマは「オトナの情報発信」。
なぜこんなテーマにしたかというと、以前よりこのブログを含めて情報発信することが好きで、また投稿論文に積極的に応募したりしているのですが、それらをどのようにつなげたら自分のブランディングにつなげられるのか、ということを考えていて、同じような関心を持っている人と意見交換をしたいというのがきっかけでした。
キャリアに関していうと、我々は基本的には組織に雇われ、仕事を与えられることで職場・職務が決まりますが、専門分野についても情報発信を続け、業界内外での認知度を高めることで、組織に縛られないキャリア形成を行っていきたいという気持ちもあります。

で、テーマを掲げて同窓会のメールマガジンで参加者を募るのですが、この申込状況が結構ドキドキします。
「参加者多数で先着順になります、すみません!!」みたいな状況になればいいのですが、残念ながらそういう会ではないので、応募者0人だったらどうしよう?、いやむしろ1人の方が1対1で気まずいかも?なんて気をもんでいました。
まして、関心がありそうな人がどのくらいいるのか想定しにくいテーマなのでなおさらです。

結果的には4人の方が参加してくださり、5人でお話しすることになりました。
5人なら十分議論ができるので一安心です。

参加してくださったのは、IT系のお仕事をされている方(2名)、政治の分野で活躍されている方、OLをしながらも自分の関心分野で活躍したいと思われている方、そして私です。

この同窓会は複数の大学で構成される組織なのですが、自己紹介で話を聞いてみると、自分以外は某超名門大学のご出身とのこと。
なかなかのアウェー感で、軽く学歴コンプレックスを刺激されます(汗)。
もっとも、社会人やってると出身大学とか気にならないよねー、とフォロー(?)いただき、気を取り直しました。
実際職場の人の出身校とか知らないし、それでも何の不都合もないので当然といえば当然のコメントではありますが。
ということで、当校の後輩諸氏にもそのような気概で就職活動を乗り切ってほしいものです(?)
でも、ホントいい人たちでよかった。。。

「オトナの情報発信」という文言からイメージしたものというのは人によって違っていたみたいで、ブランディングやマーケティングに加え、インターネットでの議論のありかたや炎上など情報リテラシーやセキュリティという関心をお持ちの方もいました。
また、選挙権の引き下げに伴い、若年層にどのように政治関連の情報を届けていけばいいのか、という論点も提供されました。

皆さんそれぞれの論点に一家言をお持ちのようでしたので、ファシリテーターとしては特に困ることもなく、適宜コメントしながら適当に話を振っていけば議論が盛り上がったのでよかったです。

土曜カフェ
議論の様子。穏やかながらも白熱した議論。

しかし、盛り上がったにも関わらずしっかりとメモを取っていたわけでもなく、話した内容の記憶もあいまいなのですが、議論の一端をご紹介したいと思います。

----------------------------------------------
適切なコミュニケーションチャネルを確立することで自分の意図に即した情報発信を行うことができる。これを間違うと、本来ターゲットとしていない人にアクセスすることになってしまうので要注意。

メールマガジンをビジネスとして運営する場合、いろんな仕組みを活用すべき。
メール配信のプログラムを組むのはもちろん、AI・心理学なども応用できる。
大事なのは情報の受け手をコントロールすること。

コンテンツを売るときには煽りすぎてはいけない。
煽ってしまうと、自分が想定していた顧客層と別の人にコミットしてしまい、ビジネスの円滑な遂行の妨げになる恐れがある。

出版を希望するなら、ブログの更新を続けるのも一つの手段。
出版社の人がブログを見て出版につながるケースもある。

情報発信をビジネスで行うなら、グーグルの世界で勝負してはいけない。
顧客を囲い込み、その中で情報発信をすれば、顧客の比較対象も絞られるし、口コミで顧客が増えていく可能性も高い。
属性が少し違うビジネスとコラボすることで囲い込み・アクセスできる顧客を増やす(リストの共有)のも有効な戦略。
インターネットは広いようでクローズドな世界にもなりうるので、うまく活用するべき。

(良いか悪いかは別として)「メールは要らない」と申告してくる顧客ほどメールを送る効果が高い。

発信する情報の質が受け手を決める。
したがって、どういう人とつながりたいのか、どういう専門性をアピールしたいのか、などについてよく考えて情報を発信すべき。
レベルの低いものをだらだら書いていても質の高いファンはできない。

情報発信の質を判断する一つの基準は「公共の利益にかなうか否か」。
私利私欲で、自分の利益しか考えないような情報発信はいかがなものか。炎上マーケティングとか。一方、公共利益を装った私利私欲の情報発信もあるので見極めは難しい。

自分のブランディングが進めば、自分の名前に影響力を持たせられ、組織や他人からコントロールされにくくなる。
---------------------------------------------

断片的に書きましたので、誤解を招く表現もあるかもしれませんが、本音ベースで議論ができたので、考えさせられることも多かったです。

議論の内容も参考にしつつ質の高い情報発信に励み、自分自身のブランディングにつなげられたらいいな、と思います。

ワッフル

軽食も出るので、ワッフルをいただきました。

ちなみに、自分のブランディングの一環として投稿論文にも積極的に応募していますが、その戦略について参考にさせていただいているのが下記の書籍。

まだまだペーペーですが、いつかは一人前の専門家として業界内で認知されることを夢見て精進を続けます。

投稿論文でキャリアを売り込め
中野 雅至
日経BP社
売り上げランキング: 364,092
カテゴリー: その他生活等関連 | コメントする

RSM Tokyo Chapter 201605

私がオランダのMBA・Rotterdam School of Management (RSM)のプログラムを終えて帰国してから、3年が経ちました。
その間、いろんなことがありましたが、振り返ると時が過ぎるのは本当に早いと感じます。

幸いなことにその後もコンスタントに日本からも入学される方が続き、日本人ネットワークは綿々と続いています。
また、近年では卒業生も含めたネットワークの強化のためにRSM Tokyo Chapterも立ち上がり、卒業生の方々とのつながりも増えてきています。

先日も最近卒業された方が中心となって、RSM Tokyo Chapterで懇親会を企画していただきました。
他の卒業生の方とお会いする機会はなかなかないし、皆さんそれぞれの分野でご活躍されていてお話を伺うのが楽しいので(それゆえに毎度少々気おくれするのですが…)、今回も顔を出してきました。

今回参加されたのは約20名。2005年卒業から先日卒業された方まで幅広い時期の方が一堂に会する場となりました。

今回も例によって、皆さん輝いているなー、と思いながら話を聞いていましたが、RSM(卒業生)の特徴の一つは、比較的高い割合で自分のやりたいことを追求しているということだと思います。

プロフェッショナルとしての自分の能力を信じ、一国一城の主になった方。
若くして経営者へのステップアップを選んだ方。
ビジネスの世界から公共分野にキャリアの舵を切ろうとしている方。
自分のしたい分野の仕事をするため、安定性のないポジションでも厭わない方。
そして、現在の仕事のやりがいをイキイキと語る方。

彼らの選択の素晴らしいところは、必ずしも経済的な要素を第一としているわけではなく、仕事の内容自体に高いモチベーションがあるということではないかと思っています。
だからこそ仕事の話をするときに輝いて見えるのでしょう。

MBAというプログラムないし学位に何を求めるのかは人それぞれであり、各人の選択の是非や優劣を他人が問うことはできませんが、彼らが輝いて見えるのは、(苦労はあるにせよ)充実している証左であり、RSMのMBAが大きなインパクトがあったということなのだと思います。

一方、自分は「社会を良くする金融サービス」に貢献したいと思いながら、運用会社の一職員としての域を抜け出せておらず、まだまだプロフェッショナルとして、あるいはチェンジメーカーとして独り立ちできていないと感じています。

とはいえ、足元を固めないことには始まらないので、自分に必要な知識や経験を追求しつつ、自分の夢を忘れずに前に進みたいと思います。
そして、初心を忘れないように輝いている人たちに刺激を受け続けたいものです。

こういう刺激を受けられることだけでも、RSMに行ってよかったと心底思います。
ということで、次の懇親会を楽しみにしつつ、日々仕事や勉強に精進することにします。

カテゴリー: MBA | コメントする