運用会社はどんな仕事をしているのか

NISAに続き、ジュニアNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)の対象の拡大、と個人が投資するための環境が整備される中、投資のためのツールである投資信託についても注目が集まっているのではないかと思います。

一方、投資信託は自動車や食品のように目に見えるものではないので、その特徴や品質がつかみにくいし、そもそもどうやってできている商品なのかというのもわかりづらい、というのが一般的な投資信託に対する印象ではないでしょうか。

同じ金融商品でも、株式や債券は政府や企業などの発行体とリンクしているので、発行体の印象は持ちやすいかもしれませんが、投資信託だと「●●アセットマネジメント」や「○○投信投資顧問」といった運用会社の名前が前面に出てくるので、やはりイメージが持ちづらいように思います(日系だと有名な金融グループの名前が冠されていることが多いので比較的イメージを持ちやすいかもしれませんが外資系になると全く印象がなくなりそうです)。

自分自身、資産運用業界に入る前は運用会社がどのような仕事をしているのか具体的なことはあまりわかりませんでした。

しかし、実際に運用会社がどのような仕事をしていて、どういったことに気を配ってお客さまにサービスを提供しているかを知ってもらうことは、投資信託に対して信頼を寄せてもらうために重要なことだと思います。

といったことは常日頃考えていて、以前にも投資信託委託会社の仕事を紹介する記事を作成したことがありますが、より具体的に運用会社の業務を紹介してくれている本に出合いました。

「外資系運用会社が明かす投資信託の舞台裏」、とそのものズバリな書名ですが、大手外資系運用会社のドイチェ・アセット・マネジメントが、運用部門のみならず、営業や管理部門・サポート部門など各部署の役割を丁寧に解説してくれています。

運用会社の業務の紹介で運用部門の話をしているものはよく見かけますが、ミドル・バックの役割についても一般向けに丁寧に説明している本を見たのは初めてで非常に新鮮でした。

投資信託の品質は運用部門だけでなく、投信計理(投資信託の値段の算出)やディスクロージャー(情報開示)、お客さまサポートなど裏側から支える様々な業務に支えられているのが実情ですが、そういうところもきちんとお客さまにアピールする姿勢は管理部門の人間としては非常に好印象でした。

一般投資家の方や運用会社への就職を希望する方が運用会社の業務について理解を深めることができるだけでなく、運用会社で働いている人が運用会社の業務の全体像を整理するためにも役に立つと思います。

もっとも、コンプライアンス部門の話はほとんど出てこなかったので、コンプライアンスの人間としてはもうちょっと書いてよー、というところでしたが(笑)、それを差し引いても素晴らしい内容でした。
どこかで運用会社のコンプライアンスの仕事について一般向けに書く機会があれば手を挙げてみたいです(まずはブログから?)。

ともあれ、本書が投資信託(業界)に対する理解と信頼の向上につながり、より多くの方に投資信託を身近なものとしていただければ、業界人としても嬉しいものです。

外資系運用会社が明かす投資信託の舞台裏
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