ベンチャー運用会社の立ち上げ

技術革新の速度が早くなっている今日、金融業界でもその流れを受けて、新しいアイデアと技術を使った新しいサービスが日々生まれています。いわゆるフィンテック(Fintech)です。

資産運用業界もその例外ではなく、多くの資産運用会社がフィンテックの流れに乗って新しいサービスを模索しています。

中でも目立つのが、AI(人工知能)を使用して投資判断を行う運用サービス。
AIが人間より多くの情報を処理してより効率的な運用を行うことを目指したり、投資家のニーズをより深く把握して、個々の投資家に合わせた投資を行ってくれる、といったサービスが登場しています。
AIのレベルが向上すると、より高度なサービスも期待できそうで、業界に属する者としてこの流れには注目しています。

そしてFintechは各分野で新規参入を促していますが、資産運用業界にもやはり多くの新規事業者が新しい技術を使ったサービスを提供しようとしています。
そしてその新規参入事業者の中にはベンチャー企業も多くいます。

Fintechにもベンチャー企業にも関心がありますので、興味深く動向を見ていたら、まさにFintechで資産運用業を始めたい、というベンチャー企業からお話しませんか、というお声がけを受けました。
昨今の状況に関心を持っている者としては是非お話を聞いてみたかったので、早速お会いすることに。

今回お話を伺ったのは、その名もズバリ「ロボット投信」という会社。
創業者の方からお声がけいただいたのでマンツーマンかと思っていましたが、なんと4名の方がいらっしゃって恐縮してしまいました(笑)

ちなみに資産運用業(業法である金融商品取引法上は投信運用業といいます)を始めるにはコンプライアンス担当者の確保が必須のため、コンプライアンス経験者は重宝されるようで、大変ありがたいです。
正直自分から望んで得たキャリアではないですが、これも縁、運ということなのでしょうか。

ロボット投信さんの出来立てオフィスで、自己紹介のあと、簡単にビジネスモデルを説明いただきました。

ロボット投信という名前もあり、AIを使った運用のみを強みとしてビジネスをしていくのかと思っていましたが、実は強みはそれだけではなく、彼らの開発したサービスを活用して販売チャネルにも工夫をしているとのこと。

資産運用会社では運用の質や運用資産が一番大事と思われがちですが、資産運用会社の経営という観点では販売チャネルこそが最重要だと思います。
素晴らしい運用を行っても、運用資産自体の規模が大きくならないと会社の収入は増えませんので
その点にも工夫をされているというのはよく考えらえているという印象を受けました。
※個々の投資信託には、信託報酬(運用・管理費用)がその投資信託の日々の残高(純資産)の●●%と定められていて、それが運用会社の収入になるため、運用成績が良いだけでなく、その投資信託自体が多く売れて預かり資産が増えないと運用会社の収入は大きくは増加しないことになります。

ちなみに一般的な投資信託を販売するチャネルとしては、証券会社や銀行などの販売会社に販売してもらう形式と、投資信託の運用会社が自ら投資家に販売する形式があります(会社によっては両方行っている場合もあります)。

運用会社が直接お客さまと接するという点では直接販売する方が適しているとも言えますが、販売網やシステムは証券会社や銀行の方が投資していますので、預かり資産の額は販売会社経由の方が格段に大きいです。
個人的には直接販売には夢があると思うのですが、収益性やコンプライアンス上の観点からは販売会社と提携したビジネスモデルの方が経営が安定しやすいですし、ロボット投信さんもその点をよく考慮されていましたので、さすがだなと思いました。

ロボット投信さんの売りは、低コストで充実した顧客サービスやマーケティングを行っていくことのようです。
ウェブサイトにも掲載されている、すでに開発している資産運用業務に関連するサービスを活かしていくとのことでした。
顧客サービスやマーケティングで差別化を図るというのはよく聞く話ですが、それを実現している事例は資産運用業界ではあまり見かけませんので、興味深くお話を伺いました

また、運用においても低コストで個々の投資家のニーズや市場環境に合わせた運用サービスを提供していくとのことです。
システムを使ってETFを組み合わせるアセットアロケーション型の運用はすでに多くの事例がありますが、ロボット投信さんはそれ以外にも投資家のニーズ・嗜好をくみ取るサービスを考えているようです。

先行事例についてもいくつか説明いただき、個人的にもワクワクしました。
その投資信託が設定されて、投資するのが今から楽しみです。

創業者の野口さんは私と同世代ですが、自分の理想をしっかりと持ち、素晴らしい仲間を集め、前に進んでいく姿がまぶしかったです。
同世代の星として、また次世代の資産運用業界の牽引役としてこれからも応援していきたいと思います。

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