Social Finance Week

少し前まではオランダも結構暑いと思っていたのが最近急に肌寒くなってきました。
そしてカレンダーを見るともう9月下旬。オランダ生活も残り3か月を切っています。
5つある選択科目もすでに2科目は授業が終わり、授業の数もあとわずかです。

と、留学生活も終盤に入った今日この頃ですが、今週は留学の目的の一つであるソーシャルファイナンスのネットワークについて実りの大きい一週間でした。

木曜日は”Company and Ecology”の最後の授業だったのですが、その授業では、「授業のテーマに関連することについて自分の情熱や考えを具現化する」という課題が出されていて、その形にしたものを展示することになっていました。

自分の場合はやはりソーシャルファイナンスだなあと思いつつ、それをどう形にしたものかと思案していたところ、たまたま絵画用のキャンバスがあったので、絵にしてみることにしました。

ちなみに絵筆をとるのは高校の授業以来ということで、10年くらいは絵を描いていません。そして、そもそも絵を描くのは特段得意という訳でもないです。小学生の頃はよく漫画を描いていた記憶がありますが。

ともあれ、何かしら制作しないことには課題をクリアできないので、絵筆をとってみることに。
イメージとしては、利益に基づいた”greed”なファイナンスから、より良い未来を築くためのサステナビリティの観点に基づいたファイナンスへの転換ということを考えてみました。

そしてできた絵がこちら。

絵
ソーシャルファイナンスをイメージした絵。

下がウォールストリートのようなオフィス街で行われている、利益・儲けのための強欲な金融(greed finance)、上が環境や再生エネルギー、人的資本のような持続可能な将来のために必要なものを対象とした金融(social finance)のイメージです。

もちろんメインストリームであるgreed financeの意義を否定することはできませんし(そもそもgreedという表現が正しいか否かも難しいところです)、今後もこのようなアグレッシブさが金融業に求められるということは変わらないでしょうが、一方でそれだけだと本当の意味で人類・社会の発展に必要なところにお金が回らないケースもあるのではないかと感じています。
例えばNPOなどは政府・企業を補完して社会の改善に貢献していますが、一方で必ずしも資金は潤沢にあるわけではありません。そしてこれは既存の金融の枠組みでは対応できないでしょうし、また政府の財源も限りがありますので、組織の運営の観点と併せてあまり依存することもできません。
そこで、greed financeを全否定はせずとも、ある程度social financeの方に転換していく必要があるのではないかと感じてこのような絵を描きました。

画才があったからか(笑)、あるいはストーリーに共感してもらえたのか、結構クラスメイトの間でも評判がよかったようで一安心でした。

そして同じ木曜日の夕方には、クラスメイト(RSM Net Impact及びRSM finance club)がImpact Investmentのセミナーを企画して、オランダのソーシャルファイナンスに従事している方々をRSMに招いて話を聞く機会を作ってくれました。
そして幸運なことに、ずっと話を聞きたいと思っていた世界的に有名なオランダのSustainable BankであるTriodos Bankの方もいらっしゃってました。

セミナーはSRI(social responsible investment:社会的責任投資)の話がメインでしたが、セミナー後の懇親会では講演者に積極的に話しかけて、Triodosと融資先の関係や競争力の維持の仕方、CSRの評価の方法など具体的な話を聞くことができました。
その中で、ただ教えてもらうだけでなく今後につながるお話もいただいたりして、ネットワーキング、そして勇気を出して飛び込む力は大事だと改めて思いました。

そしてその翌日の金曜日には、日本人同級生の紹介でブリュッセルでSRI調査の業務に携わられている日本人の方を訪問しました。
大学生の時からSRIには強い関心を持っていて、これまでの仕事選びの基準もSRIに関与できるか、という視点だったので(結果として関与することはできませんでしたが)、SRIの実務の話を聞くことができたのは非常に貴重な経験になりました。

ESG(Environment, Social, Governance)の情報収集及び評価方法、クライアントとの関係というその会社のSRIビジネスの話に始まり、欧州のSRIを取り巻く環境、日本のSRIの課題など話題は多岐に亘り、気がついたら4時間ほど話していました。

面白いことにSRI業界はプレイヤーがあまり多くないためプレイヤー間の人間関係が似通っているため、共通する知り合いが多かったりします。話の中でもお互い知っている人の話が結構ありました。
もっとも、話が盛り上がるのはいいのですが、現時点では「SRI村」のような感じがしなくもないので、もっと多くのプレイヤーが金融のメインストリームを含む他分野からどんどん参入してSRI業界を活性化させていってもらいたいと思います。

eurosif
欧州のSRIネットワークであるEurosifの事務所(通りかかっただけですが)。

このような経験を通じて知識面でもネットワーク面でも大きく前進した一週間でした。
この一週間だけでも留学した甲斐があったと思います。

こうしてみると、ネットワーキングに必要なことは、
(1)アンテナを張っておく(勉強・情報収集)
(2)自分の関心事を常に発信しておく(チャンスを引きつけるため)
(3)チャンスがあれば迷わず飛び込む
ということに尽きるのではないかと思います。
あとは頑張ってネットワークを維持してそれを次のネットワーク拡大に繋げていく、ということでしょうか。

ということで、今回得られたネットワークや知識を大切にしながら、今後もオランダないし日本でネットワークの拡大、ソーシャルファイナンス関連の知識・キャリアの充実に努めていきたいと思います。

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