東日本大震災や阪神大震災などで、日本でもボランティアやチャリティに関心が集まってきました。
とはいえ、まだまだ伸びしろがあるのも事実で、海外では日本にないような活動の事例もたくさんあります。
また、歴史上でもチャリティの面白い取り組みがたくさん見られます。
これらの話はどれもハートフルで、爽快な気持ちにさせられ、今後の私たちのすべきことを考えるうえで参考になると思います。
ということで、今回のテーマは「チャリティ」です。
・ロベルト・クレメンテ賞
今シーズンはイチロー選手の安打数に注目が集りましたが、もちろん安打数に関して偉大なる業績を達成した大リーガーはたくさんいます。
メジャー最多安打と言えば、4000本安打のピート・ローズ選手、あるいは同じく4000本安打を達成している「球聖」タイ・カッブ選手が知られていますが、3000本安打を達成した人物は30人近くいるそうです。
そのうちの一人、ロベルト・クレメンテ選手は攻守ともに優れた選手として球史に名を刻んでいますが、それ以上に彼の名声を高めたのは、彼の献身的な姿勢だと思います。
1970年に彼の所属するピッツバーグ・パイレーツが球場を移転した際、古い球場を名残惜しんで、また彼の功績をたたえるため「ロベルト・クレメンテ・ナイト」と称するイベントが行われました。
その際、彼は自らに記念品を与える代わりにチャリティ団体に寄付してほしいと願い、数千ドルの寄付がチャリティ団体に行われました。
また、彼が3000本安打を達成した1972年、中米のニカラグアで大地震が起こりました。
地震の直前にニカラグアを訪れていた彼は直ちに支援物資を送りましたが、現地の腐敗した政府のため、被災者に届いていないことを知りました。そのため、彼は自ら飛行機に乗り込み、被災者のために救援物資を輸送しようとしましたが、不幸にもそこで飛行機事故に遭遇し、命を落としてしまいました。享年38。
その前年、メジャーリーガーの社会貢献をたたえる「コミッショナー賞」が創設されていましたが、1973年には、彼にちなんで「ロベルト・クレメンテ賞」と改名されました。
今では、この賞はMVPとも並ぶ名誉ある賞として知られています。
個人的には、社会貢献に積極的なイチロー選手にもこの賞を受賞する資格があるのでは、と思ったりしています。
ちなみに、この賞は各チームが候補者を一人出して、ファンやメディアの投票などを通じて決定するそうです。
ファンも結構選手の社会貢献活動に注目しているのだとしたら、さすがチャリティ大国だと思わずにはいられませんね。
・命の恩は必死に返す
1600年、関ヶ原の戦いにて、武運拙く敗れた石田三成は、再起を図るべく自らの領地に潜伏します。
当然徳川方は血眼になって三成を探すわけで、「三成を見つけたら恩賞、かくまえば重罰」と布告して三成のあぶり出しを行います。
となると、当然近隣住民も三成探索に必死になって三成もあぶりだされる・・・と思いきやそうではなく、意外にもある住民に三成はかくまわれることになりました。
その背景にはいくつかの説があるようですが、そのうちの一つに、かつて飢饉に陥った時に、三成が食料を提供して、飢餓から救ってくれたため、その恩返しとして命の危険を顧みず、三成をかくまった、という話があります。
三成もその義理堅さに感銘を受け、かえって自分を徳川方に引き渡すようにと促したそうです。
結局、三成は徳川方に引き渡されることになりますが、この話は今も美談として残っています。
三成は再起を果たすことはできませんでしたが、西軍武将の相次ぐ寝返りという状況の後に、かつての恩で命の危険を侵してまで自分を救おうとする人間に出会えたことは三成にとって心の癒しになったのではないでしょうか。
三成は善政を敷いたことでも知られていますが、その背景には政治力だけでなく、人間としての優しさがあったのではないかと思います。
自分も能力の向上のみでなく、人格の成長についても一層努力しなくてはならないな、といつも思わされるエピソードです。
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>Ayaさん
仰る通り、欧米に比べて日本は寄付文化が根付いていないという話はよく聞きますね。
一方で、歳末助け合い募金は長く続いていますし、コンビニなどの店頭では結構な額の募金がされていて、寄付が嫌い、というわけでもなく、システムがあれば意外に寄付もしてもらえるのではないかと感じています。
自分のキャリアもこういうところと絡めていければ面白くなるのでは、とこっそり思っています。