本日公開のジブリ新作「コクリコ坂から」を観てきました。
今回は宮崎吾郎監督ということで、「ゲド戦記」の評判が芳しくないということでしたが、幸か不幸か僕はその作品を見ていないので特段先入観はありませんでした。
「コクリコ坂から」は同タイトルの漫画を下敷きにした作品で、高度経済成長期の横浜が舞台となっています。
その港町の高校で、古いクラブハウスの存続を巡り、学生たちが高度経済成長期の空気を浴びながらアグレッシブに動き回ります。
そんな空気の中、主人公たちは出会い、活動を共にします。
そして、紆余曲折を経ながら、人間関係をはぐくんでいきます。
我々の世代にとって、高度経済成長期は活字やメディアを通じてしか触れることのできない、ある意味伝説化した時代ですが、その雰囲気が良く伝わってきました。
「となりのトトロ」が高度経済成長期の裏側を描いたとすれば、「コクリコ坂から」はそれを表から描いた作品、と言えるかもしれません。
海ちゃんと俊君の関係を温かく見守りつつ、学生たちの元気を見て、今の社会に足りないものはまさにこれなんだろうな、と思いました。
一方で、そのアグレッシブさから出る行動は、MBA学生たちのそれに似ているようにも見え、自分が留学する際にはまさにその意気が必要なんだと思わされました。
また、「古いもの」と「新しいもの」の関係もこの作品のテーマの一つだと思いますが、これについても考えさせられました。
新しい物を積極的に取り入れることは大事だけれども、過去のものを大切にし、受け継いでいくこともまた大事なこと。
あと、すごく印象に残ったのは、ある実業家が学生に哲学者の話を振られて、即座に「・・・か!」と答えたところ。特に欧州で顕著と聞きますが、実業家・ビジネスパーソンも教養を身に付けておくべきものかと思いました。
そういえば、一昔前の実業家は旧制学校の影響があるのか、教養も豊かである印象があります。
MBAだって勉強だけでなく、いろいろな人間味が大事と言われたこともありますので、心しておきたいと思います。中国古典はともかく、西洋哲学はあまりよくわかりませんが・・・。
内容に加え、音楽も秀逸でした。思わずサントラを購入してしまいました。
特に手嶌葵さんの「さよならの夏~コクリコ坂から~」はグッときますね。
今日たまたまアニメ産業に関する雑誌の記事を読んでいたのですが、やはりアニメは産業として、また私たちの心を豊かにするエンターテイメントとして大切にしたいものだと思いました。
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戦前、それも昭和10年代に旧制中学や帝大の学生だった人たちの
基本的な哲学的教養はカントとニーチェだったそうですね。
中曽根康弘さんなんかはその典型だと思いますが。
一方で、その時代にはその時代の教養というものが、
僕にはあるように思えます。
カントとニーチェの思想はそのまま現在の「EU」的共同体につながりますが、
EUがある種の限界を見せている現在、それを超えるものが
必要な気がします。
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>えんじゅさん
レトロな雰囲気が好きなら是非ご覧になることをお勧めします。
戦前はやはりドイツ系の学問が主流だったみたいですね。語学もドイツ語を勉強したという人の話をよく聞きますし。
一方で、ご指摘の通り、EUやWTO、インターネットの存在などは新しいコンセプトの誕生を促しているとも言えますし、実際に新しい思想や実務が多く生まれているようです。
そのようなものを頭で理解するだけでなく、肌感覚で吸収できるようになればと思っています。