近年、企業活動の機動性向上のため、多くの会社が執行役員制度を導入しています。
執行役員は会社法上の取締役ではありませんが、いわゆる役員として、企業活動の執行に責任を持つ役職です。
執行役員制度を導入することで、業務の執行責任は執行役員に負わせる一方、取締役はその監督に注力し、また取締役会が少人数で機動的に開催できるようになっていると理解しています。
このような執行役員制度ですが、監督・経営の責任が取締役にある以上、業務執行上生じた大問題について取締役(いわゆる「経営陣」)に最終的な責任があると思います。
だからこそ、例えば金融庁の監督指針などでは金融機関の内部統制について経営陣の関与と責任を明記していますし、株主代表訴訟でも経営陣が訴訟の対象になると考えていいのではないかと思います。
このことと尖閣のビデオ流出に係る責任問題について、政府・与党が執行役員(海保長官)の責任問題ばかりを声高に叫び、取締役(国交相)の責任をことさら矮小化しようとしているのに違和感を感じます。
責任と権限は表裏一体のものであり、こういう時に監督者としての責任問題に向き合わないのであれば、監督者としての権限を自ら否定するようなものではないかと思います。
また、そういう上司に部下がついていくのか、という感情問題としての疑問も生じます。
ともあれ、政府・与党には国民・民間企業の模範となるような対応を見せてもらいたいと思います。