毎朝、日経・読売・朝日新聞が合同で解説している「あらたにす」の新聞案内人のコラムを楽しみにしています。
その中でも、歴史作家として知られる加来耕三氏のコラムは読みやすいうえに教訓にもなるので、特に愛読しています。
その加来氏が9月14日に、柔道家の故三船久蔵十段の尋常ならざる柔道への執念について書かれていました。
三船十段は、「空気投げ(隅落)」をはじめとする多くの技を生み出したことで有名だそうですが、小柄な彼の「気合だけで相手を投げ飛ばしたい」というゴールを目指すために、紆余曲折はありながら練習と研究を繰り返し、試行錯誤の上、空気投げを発明したそうです。
しかも、最初は相手が飛んでいくさまが滑稽に見えたようで評価もされなかったようですが、強い相手を空気投げで見事投げたことにより、空気投げは評価されるようになったということです。
技術の進歩が進み、不十分なものはなくなってきたように思いますが、それでも我々に足りない、あったらいいなというものはたくさんあります。
おそらく、今後それらを生み出していくには一層の発想力・想像力が求められていくのだと思います。
そして、そういうものが求められるものほど、周囲には理解されにくくなるような気がします。
自分自身、物事を見るのに色眼鏡がない人間だとは到底思えませんが、新しいものを生み出そうとする挑戦にはできるだけ温かい視線を送るとともに、自分自身、情熱を注いで自分なりの新しいものを生み出すことができたらいいなと思います。
ところで、タイトルの一念岩をも通す、というのは漢の李広が虎だと勘違いして岩に矢を放ったら岩に矢が突き刺さったという故事から来ているそうです。
これまたいい勉強になりました。