清朝・大官の幻影-李鴻章と丁日昌

日清戦争後、下関条約の締結の清側代表として知られる李鴻章。

実は、中国の企業グループ「商招局集団」の祖でもある人物なのですが、実際のところ、どんな人物だったのか関心があり、彼について書かれた読んでみることにしました。

本書は、李鴻章が太平天国の乱に奮闘する時期及び、その後の列強との交渉の最前線に立つ時期が中心になっています。

元々李鴻章は科挙に合格した高級官僚候補だったのですが、太平天国の乱が勃発したため、軍人としてのキャリアを、同じく科挙合格者で儒教の大家で名将として知られる曾国藩の下で積むことになります。

一般には李鴻章と並ぶ洋務運動の推進者とされる曾国藩ですが、本書では西洋の文明に対し否定的な立場で、使えるものは使うという李鴻章と対照的に描かれています。

また、李鴻章が南部で活躍するなかで出会ったのが、西洋文明に通じた丁日昌であり、彼は当然ながら西洋文明・技術の信奉者であり、曾国藩・李鴻章・丁日昌のコントラストがわかりやすくなっています。

また、曾国藩・李鴻章が時代遅れとなりつつあった清・中華という枠組みから離れられなかったのに対し、丁日昌はその枠組みを壊す方向で動いているのも対照的です。
もっとも、これらは後世の後知恵に過ぎないのかもしれませんが。

読後の感想としては、李鴻章の生き方について触れられたことは確かですが、勉強不足もあり、登場人物の設定はどれほど史実に忠実なのかわからなかったのが残念でした。

ちなみに、著者は元ソニー取締役。多忙の中、歴史の勉強をされていたことは本当にすごいと思います。

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