文化財学演習Ⅱ

奈良大学といえば…

奈良大学には歴史関係で多くの強みがありますが、奈良大学に所属していない歴史好きの人が「奈良大学といえば?」と聞かれて答えるのは千田嘉博教授ではないでしょうか。
(無論千田先生以外にも各分野で有名な先生はいらっしゃいます)

千田先生は城郭研究の第一人者であり、テレビでも城郭・歴史関係の番組に頻繁に出演されているのを見かけます。また大河ドラマ『真田丸』では考証を担当されていたことでも知られています。

私にとっても奈良大学は千田先生が所属されている大学というイメージが強く、奈良大学への入学を決めたのも、もしかしたら千田先生の授業を受けて生の千田先生にお会いできるかもしれないというミーハーな理由があったことは否めません(笑)
実際、同じような動機の人は少なからずいそうな気がします。

ということで、もちろん履修科目を決めるときには千田先生が担当される科目も履修して直に千田先生のお顔を拝見するのを楽しみにしていたのですが、残念ながらコロナ禍が収束していないということで夏と同様に在宅での受講ということになってしまいました。
履修登録をしていても受講せず来年に回すこともできるのですが、単位はできるだけ早くとりたいこと、来年度もいくつかスクーリングの授業を履修する予定で、スクーリング科目を増やすと実地での受講となった場合に時間的にも経済的にも負担が大きくなることから、在宅での受講で時間的・経済的な負担が小さいことをむしろ奇貨として今回は在宅で受講することとしました。ポジティブ思考大事!

 

授業の内容

在宅での受講となるため、今回は事前に送付された資料を使用して、動画を見ながら学習します。スクーリング科目でやはり在宅での受講となった文化財学講読Ⅱと同じパターンです。そういえば文化財講読Ⅱの記事は書いていなかった…

まだ資料をパラパラとめくっただけですし、また内容について詳述はすべきではないと思いますので詳細は省きますが、千田先生のご専門であるお城あるいは考古学にフォーカスした内容ではなく、文化財学の意義や基本的な留意事項、及び研究を行うにあたっての姿勢など文化財学の基礎的な事項を広く扱っているような印象を受けました。

研究にあたっての姿勢については、学生と社会人の違いとしてもよく言われることですが、決まった答えにたどり着くのではなく、まだ答えがないことを明らかにするということを述べていらっしゃいました。
学部生といえど、また通信制といえどただ学ぶだけの学生ではなく、一人の研究する主体として扱われているのは背筋が伸びる思いです。

なお、授業で使われる資料の内容自体は戦国時代のものが多いようで、私を含め戦国時代好きの人には楽しめそうな気がします。千田先生というと戦国時代の印象が強いですし、千田先生の授業を受けているという気になれたらいいなと期待しています。

 

卒業論文の内容を考える

一研究主体としての学部生の研究活動の集大成が卒業論文であり、文化財学演習Ⅱでは現時点で考えている卒業論文の研究テーマについて報告することが課題となっています。
実際の卒業論文のテーマとは異なっても大丈夫なのでまだテーマが固まっている必要はないのですが、卒業論文という一大プロジェクトが近づいてきたのを感じます。

卒業論文の内容は長らく考えていますが、将来的に歴史に関する活動を続けていくことを考えるとそのベースにもなるためなかなか決められずにいます。

後北条氏が好きで小田原に住んでいて、これからも小田原に縁のある活動をしようと思うと北条氏関係を扱いたいところですが、小田原城関連だと先行研究が多すぎますし、また北条氏の民政に関心のある身としてはそちらの方面で研究をしたいと思っています。
一方、北条氏の民政については文献史料は豊富にあるのですが文化財としてはすぐに思い浮かぶものが小田原上水(早川上水)くらいしかなく、こちらも研究が進んでいそうな気がしていて自分に何ができるのだろうという感はあります。

ただ、水問題は現代に至るまで人類にとって重要なテーマであり、水資源を争った事例は枚挙に暇がないことを考えると、北条氏の民政の証としての水資源管理は研究テーマとしてありかもしれないと今書いていて思いました(笑)
金融業界で重要なテーマとなっているESG・グリーン投資などとも関連付けられるかもしれませんし。

ちなみに現在は主に税金で整備されている社会インフラが税金など公共の資金で整備されるようになったのは戦国大名の施策に遡るらしく、それまでは受益者負担、すなわち地域の住民などの自己負担で整備されていたようです(黒田基樹『戦国北条家の判子行政』第七章)。このような施政の転換についてもやはり北条氏の記録が充実しているようで、私でも何らかの成果が出せそうな気がしてきました。

もっとも、書棚にある戦国大名の土木事業に関する書籍を読んでみると建築関係の専門的な用語や見方が多く出てくるので、そちらの勉強も必要になってきそうな気がして課題は山積ではあります。まあ、勉強を避けては卒論も研究もできないので腰を据えて取り組むしかないですね。

とりあえず卒論のテーマのイメージができたところで動画を見て研究テーマ報告に取り掛かりたいと思います。
今月中には史料学概論のレポートも済ませたいところですが、こちらも今後の研究を進めるうえで重要な内容なのでテキストを精読しなければならず、時間が足りるか心配です…

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西洋史概論(2)_レポート提出

苦手な科目は学習に時間がかかる…

奈良大学で学習する歴史は考古学あるいは日本史に限らず、東洋史や西洋史など海外の歴史も含まれます。東洋史などは中国の現代史までカバーします。
その中には自分が今まで関心を持っておらず土地勘がない分野も含まれます。そのような分野もカリキュラムの中で強制的に学ぶことになるのは大学という枠組みの素晴らしいところだと思いますが、やはり学習に時間がかかります。

4月末くらいに本格的に学習を開始して半年ほどは学びやすい科目を中心にテキスト購読やレポート・試験を進め、順調に単位を取得していました。特に今年は試験が在宅であったこともあり、かなり余裕があったと思います。
しかし、苦手な科目、関心の薄い科目を後回しにしたツケは当然回ってくるわけで、10月頃に美術史概論に学習を始めてからはテキストの内容が頭に定着しないし、レポートでも何を書けばいいのか整理に時間がかかりました。

それでも美術史概論は日本の歴史上の作品がテーマだったので少しずつ前進しましたが、その後の西洋史概論はさらに苦戦しました。
以前の記事でも書いたように西洋史になじみがないので似た名前の人物が多数登場すると誰が誰かわからなくなってしまうということがよくあります。
加えて地理関係も日本ほどわかるわけではないので、歴史上のイベントがイメージしにくいというのも理解を妨げていた要因だと思います。

それでも何とか年内にはレポートを提出するという目標を達成するために何度もテキストを読んだりノートで整理したりして、一応レポートを提出することができました。
テキストを読み始めてレポートを提出するまで2か月以上。これほど苦戦するとは思いませんでした。

ただ、先ほども書いた通りこのような機会がなければ古代ローマに関する書籍を複数精読して、歴史上の人物の名前や業績を整理したうえで理解することはなかったでしょう。また、苦労したからこそ記憶に長く残るということもあると思います。
やはり自分の関心のないことも学ぶことになるカリキュラムは視野を広げるうえでも大事だと思いました。

 

後期ローマ帝国の統治体制

西洋史概論のレポートは古代ギリシア・古代ローマについて与えられた7つのテーマから一つを選び、6400字程度で論じることとなります。
そのうち私が選んだテーマは後期ローマ帝国体制についてでした。「後期ローマ帝国体制」と一言で言っても論点は様々ですが(なおキリスト教の普及については独立した別のテーマになっていました)、私はそのうち統治体制に焦点を当てて論じることとしました。

古代ローマは王政から共和制、元首制から帝政へとその政体を変えつつ、最終的には東西ローマ帝国に分割され、西ローマが476年に帝政を終え消滅し、その後は東ローマ帝国が単独で残り、1453年(いわゆるコンスタンティノープルの陥落)まで続くと理解していますが、後期ローマ帝国体制はそのうち元首制が終わった時期(セウェルス朝断絶時)から西ローマ帝国の消滅までを論じています。

後期ローマ帝国体制の統治体制も多くの論点があると思いますが、私が着目したのは元老院議員の地位の変遷分割統治体制の導入です。
よく知られていますが、ローマ帝国という国家は基本的には元老院議員がリードする政体でした。元首制の時代に入ると特定の人物(アウグストゥス)に権限が集中するなど実質的には帝政ともいわれながら形式的には共和制の体をとっており、元首も元老院議員の構成員でした。我が国の総理大臣が国会議員であることと似ているかもしれません(首相は立法府の長ではありませんが)。その中で元老院議員は影響力を維持していました。
そして元老院議員は超富裕層であり、多くの人に施しを与える名士でもあったため市民からの支持もあったといえます。
何より、ローマ帝国の(主権者の)呼称であるSPQR(ローマの元老院と市民)という文言に元老院の存在感が現れています。

しかし、その元老院の位置づけは後期ローマ帝国の統治の変化と合わせて変わっていきます。言い換えると、ローマ帝国の統治者であった元老院の位置づけの変化自体がローマ帝国の統治体制の変化を表していることになると思います。

また、広大なローマ帝国を一人で統治するのは限界があるためウァレリアヌス帝やディオクレティアヌス帝によって分割統治体制が導入されましたが、当然この体制は良くも悪くもローマ帝国の統治に大きな影響を及ぼしたため、この点の論述にも力を入れました。

最初に分割統治体制の導入について考えた時には思い切ったことをするものだと思いましたが、実は分割統治という事例自体は意外にあるような気がします。
例えば日本でも室町時代には京都の室町幕府と鎌倉の鎌倉府(鎌倉公方)で東西を分割統治していたことを思い出しました。
現代では企業経営におけるカンパニー制が分割統治のイメージなのかもしれません。

 

・・・とつらつらと書き連ねると意外に簡単に6400字になりました。決して人名が長いからではないと思います(笑)
使用した参考文献がテキスト含め3冊しかなかったのでそこをどのように見られるか不安ではありますが(奈良大学の掲示板を見るとかなり参考文献を読んでいる方が多い印象です)、紹介されている参考文献リストでそれ以外に図書館で借りられるものがなかったので、とりあえず参考文献は3冊という状態で提出しました。
それでもそれなりに内容はある…はず。

自信満々とは言えませんが、難関だった科目のレポートを年内に提出することができ、のんびりと年越しをすることができそうでよかったです。
残る概論系科目は史料学概論のみ。こちらも重量級のようですが関心のある内容なので楽しんで取り組みたいと思います。

2021年は法学も歴史学も大いに学習が進んだ一年でした。
2022年も実りある年になりますように!!

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西洋史概論(1)_躓いた英雄

西洋史概論の内容

奈良大学通信教育部の履修科目のうち学習のコアともいえる概論科目は考古学・東洋史・西洋史・美術史・史料学の5科目あり、そのうち考古学・東洋史・美術史はいいペースで単位を修得をすることができましたが、西洋史概論で想定以上に時間をとられています。

高校時代は世界史を履修しておらず西洋史自体になじみがなかったうえ、人の名前が覚えられないことも理由の一つだと思います。
今でも海外の同僚の名前は日本人の名前に比べて定着するのに時間がかかるうえ、古代の人物は名前が似ていたりして混乱することが少なくありません。ウァレリアヌス帝とウァレンティニアヌス帝(さらにウァレンティニアヌスの弟はウァレンス帝)とか、コンスタンティウス帝とコンスタンティヌス帝(大帝)とかどっちがどっちだっけ?とわからなくなることがしばしばです。
しばしばすぎて、しばしば柴犬ー--☆とか言いたくなります(わかる人だけわかってください笑)。

それはさておき、西洋史概論は古代ギリシャと古代ローマ時代が学習の対象となっており、「大学で学ぶ西洋史(古代・中世)」という書籍がテキストになっています。「大学で学ぶ」とはテキストにぴったりです。

 

本書では古代と中世がカバーされていますが、西洋史概論の学習範囲はその前半です。
ただ本書に加えて参考文献を読むことが推奨されており、私はレポートで後期ローマ帝国を扱う予定のため、その時代を扱った書籍を追加で2冊読みました。

 

 

どちらも頭の整理に役立ってくれましたが、特に『軍人皇帝のローマ』は人物像の描写も多かったので読んでいて面白かったです。
両方とも図書館で借りたのですが、自分で買って持っておきたいと思いました。

しかし、それでもやはりレポートの筆は進みません。まだ時代の流れが頭に定着していないうえ、論点をどのように絞って書くか構成ができていないため、書き進めることができていない感じです。

そんな時はアウトプットしてみると頭の整理になるかな、ということで後期ローマ帝国について勉強しながらふと思ったことをつづってみます。

 

東西の躓いた英雄

多くの人の人生は成功と失敗が入り混じっていると思いますが、人生の大半が成功でも最後の最後に大失敗をしてしまい評価を大きく下げてしまう人も歴史上見かけることがあります。
日本史好きの人にとって真っ先に思い浮かぶ人物の一人はおそらく今川義元ではないでしょうか。彼は今川家の内乱を制し、着々と領国を拡大・発展させながら最後に桶狭間の戦いで織田信長に敗れ戦死したことから、長らく公家大名などの汚名を着せられていた人物として知られています。
その織田信長も、あるいは総理大臣まで務めながら逮捕された田中角栄も最後は躓きながらもそれによって評価が下がっている感じはしないので彼らと今川義元ら最後の失敗で評価が下がってしまった人物の差は何なのか気になるところです。

このような人物は後期ローマ帝国にも存在しました。そのうちの一人が前述のウァレリアヌス帝です。いまだに名前が覚えきれていない彼は軍人皇帝時代を制してローマ皇帝になった人物ですが、当時活発だった異民族の侵入への対応に加え、息子ガリエヌスとの東西分割統治体制の導入や能力本位の人物登用などローマ帝国の発展に貢献した名君ということができると思います。
しかしながら、東方のササン朝ペルシアとの戦い(エデッサの戦い)に敗れあろうことか捕虜になってしまうという大失敗を犯し(その後の消息は不明)、それがローマ帝国の分裂につながったことからその失態が強調され評価を大いに下げることになりました。

ウァレリアヌスの動向は何度も読んだのですが、彼の活動を見るたびに今川義元との共通性を感じ、記事にせずにはいられませんでした。二人とも合戦で失敗しているというのは「勝敗は兵家の常」という言葉の非情さを表しているのかもしれません。
ともあれ、このような共通性を知るのも歴史を学ぶ面白さだと思います。

 

英雄の後継者

英雄が最後に躓くとその後は大混乱になるというのは想像に難くありませんが、これもまた今川義元とウァレリアヌスに共通しています。
今川義元の場合、その後を息子の氏真が継ぎましたが奮闘むなしく領土を徳川家康と武田信玄に奪われ戦国大名としては滅亡しています。
ウァレリアヌス捕囚後は西方皇帝の息子・ガリエヌスが単独統治することにはなりますが、結局ローマは三分され、ガリエヌスは奮闘するも最後は部下のクラウディウスに暗殺されるという悲惨な最期を迎えます。
領地を失い命を長らえた氏真と領土は残し命は残せなかったガリエヌスという対照的な点はありながら、両者とも奮闘しつつも時代に流されたというのは似ています。

また、これは偶然かもしれませんが氏真もガリエヌスも芸術に造詣が深かったようです。そのため二人とも文化に耽溺してその身を滅ぼしたなどと評価されることもあるようですが、それとは関係なく生き残るために努力していたのであり、結果が全てとはいえ低く評価されるのは気の毒だと思います。
ガリエヌスは結構勇敢な人物だったようで、勇敢さと芸術への造詣を持ち合わせているというのはかっこいいと思います。

ガリエヌスの功績としては機動軍の編成や元老院議員を軍事職から排除した「ガリエヌス勅令」などもあり(「ガリエヌス勅令」についてはその位置づけに議論があります)、これもローマ帝国の統治体制に大きな影響を与えているのでガリエヌスに敬意を払う意味でもレポートに書きたいと思います。

今回もアウトプットしたら頭の整理になった気がします。改めてアウトプットの威力を感じました。
歴史も法学もまだ学習は続くので、インプットとアウトプットを繰り返してしっかり吸収したいと思います。

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美術史概論(3)_歴史じゃないけど…

絵というのはいいものだ

美術史には一切関係ないのですが、絵画のことで書きたいネタがあったので、無理やり「美術」の枠にはめて書いてみます。

自分は芸術について比較的関心が薄く、お金を出して美術館やコンサートに行くこともあまりないのですが、直感的にいいだと思えるものは好きで、例えばゲーム音楽やアニソン、キャラクターものの絵は結構好きでお金をかけることも少なからずあります。
芸術的にどうかということは関係なく、自分が好きなものはいいものだ、という感じです。そもそも何が芸術的であるか、何がいいものかというのは絶対的なスコアがあるわけではなく極言すれば個々人の好みなので自分が好きなものは芸術的だ、くらいに思っていていいのかもしれません。

そんなわけでここ数年はLINEキャラクターの「ねこぺん日和」グッズに大量課金し、ねこぺんの絵画も結構自宅に飾られています。

自宅に飾られているねこぺん日和原画。LINEスタンプでもよく使います(©もじじ)。

以前東京で開催された原画展でねこぺん日和の絵画をたくさん買って飾ってあるのですが、いまだにたまらなく癒されます。

いわゆる芸術作品に対する感性は薄い人間ですが、そういうセンスのある方が芸術作品にのめりこむ気持ちはこんなものかと少しわかる気もしました。

ちなみに絵画でいうと世界名作劇場シリーズのものも多いのですが、こちらも見ていると昔の純粋な気持ちが思い出されてよきです。

 

好きな絵が近くにある喜び

そんな我が家に先日新しい絵画が届きました。

『閃の軌跡Ⅳ』より『三つの軌跡』(©Nihon Falcom Corporation)

本ブログでも何度か紹介している日本ファルコムさんの軌跡シリーズの一つ、『閃の軌跡Ⅳ』をテーマにした『三つの軌跡』という作品です。
軌跡シリーズの『空の軌跡』・『零/碧の軌跡』・『閃の軌跡』の主人公が一堂に会したファンにはたまらないショットです(ストーリー上も登場します)。

個人的にはこの一枚に大きな思い入れがあります。
というのも、冒頭で触れたねこぺん日和や世界名作劇場の絵画はどちらかというとグッズの延長線上という意識で購入しましたが、こちらの作品はグッズというよりある種の芸術作品という意識で買いました。

この作品は絵画・版画を専門に扱われている会社が主催されているイベントで購入したのですが、そこに飾られている作品の美しさに目を奪われました。
もちろん日本ファルコム作品という題材がよかったというのはありますが、ライトの当て方で雰囲気が変わったり、奥行きのある感じがあったり、自分がイメージしていた軌跡の風景とは異なる感じで、ほぉぉー・・・と引き込まれていました。

作品の制作過程についても少し話を聞きましたが、かなり手間暇・時間をかけて制作されていてなるほどなー、と思いました。
手間暇かかっているものはいいものだ、と考えてしまうあたりが素人かもしれませんが(笑)

ただ、よかったから購入するぞ!とはなりません。
作品自体に手間暇がかかっていること(+取扱会社のビジネスモデル?)もあり、結構なお値段です。
このお値段こそが芸術作品の証っ!とすら思わなくもありません。
値段で価値を判断するのは本末転倒ですが。

多分ローンを組まない買い物としては人生においても一・二を争う金額だったと思いますし、購入するかしまいか会場をグルグル回っていました(笑)
会場には営業担当者もいましたが、私には最初以外は誰もついていなかったので一人でグルグルグルグルグルグル・・・

そして会場を何周したか数えられなくなったころに、素晴らしいクォリティの絵の中で軌跡シリーズの主人公たちと一緒にいられることの喜びを考えて購入を決めました。
ちなみに『創の軌跡』のワンシーンを描いた『暁鐘のクロスベル』という作品も欲しかったのですが、2枚同時に買うことは金銭的に厳しく、どちらかを買うなら3作品の主人公が揃っている『三つの軌跡』の方を優先しようと思って選びました。

始めて購入する「芸術作品」ということで、飾るためにイーゼルも用意しておきました。
イーゼルに飾った写真を営業担当者さんに送ったら、やっぱりイーゼルがあると雰囲気が出るというコメントでした。イーゼル買ってよかった。
高価な絵を飾っているという意識があると部屋の雰囲気も少し変わった気がします。絵の存在感もありますしね。

ちなみに美術史概論は仏像がテーマだったのですが、軌跡シリーズの像、すなわちフィギュアもファンとしてしっかり購入。第二弾まで購入しているのですがまだお迎えできているのが女性キャラだけなので写真はやめておきますが、こちらも芸術作品といえそうなクオリティです。
なお第三弾も企画されているそうで、誰になるのか楽しみです。

 

 美術はいいもの

自分が好きなものを紹介するためだけに美術史概論という科目を引っ張ってきましたが、美術作品がどのように日常の風景を変えるのか、なぜ美術作品が愛されてきたのかということが何となく実感として感じることができたのは美術史の理解を深めるためによかったかもしれません(無理やり)。
ただ、絵画や仏像などをたくさん自宅に飾っていた昔の有力者も、案外私と同じように好きなものに没頭していただけで、それがたまたま芸術作品だっただけなのかも、と少々思ったりもします。

ともあれ自分の芸術的なセンスは置いておくとしても、これをきっかけに自分の周りに自分なりの美術・芸術作品を増やして癒される空間を作り上げていきたいです。
まずはお金をためて『暁鐘のクロスベル』版画を買いたい(特にクロスベルで活躍する零/碧の軌跡のメンバー推しなので)。。。

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試験結果(2)

試験ラッシュを乗り越えて

先日の記事でも書いた通り、10月末に東洋史概論・美術史概論・平安文学論の3科目の単位修得試験を受けました。

複数科目を受けると土日がほぼ潰れてしまうのが残念ですが、アウトプット自体も勉強になるし、回答用紙を郵送し終えたあとの解放感も好きなのでよしとします。
業務上受験が必要でない資格試験とかも勉強したり受験したりしているときにどうしてわざわざこんなことをしているのだろうと思うこともありますが、試験が終わった後の解放感も理由の一つかもしれません。

まだいくつか履修科目が残っていますが、その数だけ解放感があると思うと楽しみです。

 

試験結果

さて、試験結果ですが次のようになりました。

とびぬけた点数はありませんが、それなりの成績で単位を修得することができました。
特に美術史概論は苦手な分野だったのできちんと点数が出てよかったです。まじめにテキストを読んでいると身につく、というのは今後の学習でも大事にしたい教訓です(それだけにテキスト選びが重要になりますが)。

 

現状と今後の学習

今回の試験結果を受けて、現在の単位修得状況は次のようになっています。

概論系科目(4単位):考古学概論・東洋史概論・美術史概論
各論系科目(2単位):言語伝承論・平安文学論・民俗学・観光論・文化財学講読Ⅰ
スクーリング科目(2単位):歴史地理学・文化財学演習Ⅰ・文化財学講読Ⅱ

4年時に卒業論文に取り掛かる資格が概論系科目2科目の単位修得なので、これで来年卒業論文を作成することができます。
ちなみに卒論とは言いつつ、卒論を先に仕上げその翌年以降(5年次以降)に卒業に必要な単位をそろえて卒業することもできるようです。

ただ、最近は卒論のテーマを何にしようか迷っています。
当初は後北条氏関係のテーマにしようと思っていたのですが、本業の資産運用業界でESG(環境・社会・ガバナンス)投資がメインストリームとなりつつあることや学生時代からCSR(企業の社会的責任)に関心があったこと、自分の学ぶ歴史学も社会の役に立てたいという考えから公害や災害、エコ関係も考えられないかと思っています。
特に最近磯田道史先生の「天災から日本史を読みなおす」という本を読んで歴史上の事例を学ぶことで現在においてもリスクの軽減や仕組みの改善につなげられるかもしれないと感じています。

 

 

これらのテーマを文化財という枠の中でどのように取り扱うかも考えなければならないのですが、それもまた楽しいものだと思います。
奈良大学通信は卒業論文が書きたくて入ったという人もいるみたいですが、その気持ちはよくわかりますね。

卒業論文とは別に履修科目の単位修得も忘れてはいけませんが、今は西洋史概論の学習をしています。
科目で扱う内容は古代ギリシア・ローマで、レポートはその中で好きな時期を選んで論ずることになります。
私は後期ローマ帝国について論じようとしていますが、名前や政治の展開がうまく覚えられず、まとめるのに四苦八苦しています。
美術史概論よりはやりやすいと思ったら、美術史概論の方がまだやりやすかったというオチ。。。

でも美術史概論も同様ですが、苦手な分野ほど頑張って勉強するので終わった時には以外に頭に入っているような気がします。
一応外資系企業にいるので西洋史にはなじんでおきたいし、これもプロフェッショナルへの道だと思って頑張ります(笑)

 

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美術史概論(2)_自習

知識が増えると生活の彩りも増える

先日所用で三重に行ったのですが、せっかく関西に行くのなら奈良大学でいろいろ学んでいることだし関連する場所にも行ってみようと思い、京都に足を延ばすことにしました

外国人観光客にも人気の京都を楽しむなら今のうちに行っておいた方がいいというのもありますが、それ以上に美術史概論のテキストで触れた仏像を実際に見てみようと思ったことが大きいです。

神社仏閣は好きでよく訪れるので仏像も目にはしますが、仏像自体を積極的に観察しようと思ったのは初めてのことです。
最初は単位のためとか、一応知識としては頭に入れておこうと考えて履修した美術史概論ですが、関心が薄くても能動的に学ぶとそれはそれで関心が出るもので、知識が増えると関心や好奇心を感じるポイントもその分増えて、見える景色も変わってくるものだと思いました。生活に彩りが出る、ということもできるでしょうか。

ということで、半日という短い時間でしたが奈良大学の科目の延長の個人学習(?)をご紹介したいと思います。

 

美術史概論・自習編

東寺(教王護国寺)

京都には何度か訪れたことがありますが、京都駅の北側ばかり行っていて南の方には行ったことがないので、今回は南側を動こうと考えていました。

その中で是非とも行きたかった場所の一つが東寺(教王護国寺)でした。
というのも、美術史概論のテキスト『日本仏像史』では平安時代の仏像として東寺のものが多く取り上げられていて、せっかくなのでテキストと実物を見比べてみたかったのです。あと、テキストの説明を見ながら実物を見てみたかったのもありますね。

京都には観光日前日の夜に到着する予定だったので、東寺の近くのホテルに泊まったのですが、たまたまライトアップのイベントが開催されていたので、ホテルに荷物を置いてすぐに行ってきました。

ライトアップされた東寺の五重塔

調べてみると京都だけでも複数のお寺でライトアップのイベントが開かれているようでした。紅葉の季節ですから、どのお寺・神社でも幻想的な景色が広がっていそうです。
私が見た景色も写真よりもっときれいだったので、もう少しうまく撮影したかったです(汗)

それはさておき、翌朝改めて仏像を拝見しに東寺へ。

五重塔や御影堂もよかったですが、お目当ては講堂の仏像群です。

東寺の行動と美術史概論のテキスト。テキストのおかげで有意義な学びに。

講堂の仏像はいくつかテキストの中で説明があったので、テキストの写真や説明と見比べながら実物を観察しました。
テキストの写真と実物では印象が異なりますし、テキストの説明も実物を見るとそうかなあ?と必ずしも腹落ちしなかったのですが、これも実物を見たことによる学び・収穫だと思います。
もちろんテキストの説明を否定するつもりはないのですが、美術という分野では自分で何かしら感じることも大事でしょうし。

萬福寺

今回の京都観光で行きたかった場所は東寺と宇治の平等院鳳凰堂でした。
そのため、東寺から京都駅に戻り、JR奈良線で宇治に向かったのですが、途中で黄檗駅という駅があることに気づきました。
黄檗駅というと、江戸時代に広まったとされる禅宗の黄檗宗と関係があるのかと思い調べてみると、黄檗宗の総本山の萬福寺があるということなので途中下車して伺うことにしました。

萬福寺総門

萬福寺の魚梆

萬福寺にもテキストで紹介されている仏像がありました。十八羅漢の蘇頻陀尊者という仏像で、テキストでは生々しい容貌・ねちっこい衣文表現という説明がされていましたが、確かに濃い表情で衣服もひだが多い印象を受けました。そしてそれは中国由来の黄檗宗独特の表現で一般的にはならなかったそうですが、確かに他の仏像とは全然違う感じでした。
もっとも、日本の仏像も昔から中国の影響を受けているので、黄檗宗のものが当然に異質な存在になったわけではなく、長い時間を経て日本でも日本独自の仏像のあり方が確立していたというだけなのでしょう(テキストでも奈良時代においてすでに唐風は盲目的な追従の対象にはならなかったことが指摘されています)。

また、萬福寺の魚梆(ぎょほう)も名物のようで御朱印にもなっていました。
たたいて時間を知らせるものらしく、ちょうど僧侶の方が叩いているのを見かけました。

平等院鳳凰堂

萬福寺の後は本命の平等院鳳凰堂へ。
宇治駅を降りて少し歩くのですが、その途中にはお茶のお店がズラリ。さすが宇治。

そしてお目当ての平等院鳳凰堂。思ったよりは大きくありませんでしたが、池の前に悠然と佇む様はまさに世界遺産。ただでさえ美しいのに紅葉に彩られているので、ずっと見ていても飽きません。

平等院鳳凰堂。正面から見たら10円玉の景色に。

鳳凰堂の中に入るのは待ち時間が長かったのでパスしましたが、鳳凰堂に保管されている品々は見学可能でした。テキストでは雲中供養菩薩という仏像群(たくさんあります)のいくつかが紹介されていて、それと見比べながら見ていました。雲中供養菩薩はその名のとおり雲に乗っている菩薩が色んな楽器を弾いたりしている仏像なのですが、ユニークなので興味深かったです。記念にポストカードを買ってしまいました(笑)

伏見稲荷大社

仏像見学という意味ではこれで終わりなのですが、京都の南側というと千本鳥居で有名な伏見稲荷大社も外せません。

こちらも奈良線が最寄り駅なので、宇治から京都駅に帰る途中に寄りました。

千本鳥居。迫力がすごい…

千本鳥居はその名のとおり鳥居がひたすら続く鳥居のトンネルですが、之だけ鳥居が並んでいると圧がすごいです。

 

言語伝承論・自習編

JR奈良線で宇治に向かっていると、木幡駅という駅があるのに気づきました。
その駅を見て思い出したのが言語伝承論のテキスト。というのも、取り上げられている歌に木幡を詠んでいるものがあり、著者が木幡駅の駅名標の写真を載せているのが印象に残っていました。
ちなみに駅名標という言葉を今調べて初めて知りました(笑)。

せっかくなので、自分でも一枚撮影。

言語伝承論のテキストにも載っていたJR奈良線の木幡駅の駅名標。

ちなみに取り上げられていた歌は下記のものです。

青旗の 木幡の上を 通ふとは 目には見えども 直に逢はぬかも 
(万葉集 巻二の一四八)

この歌は天智天皇の皇后・倭太后が天皇の危篤にあたって詠んだ歌で、天皇の魂が木幡を通っているのは見えるのに物理的には会えないという辛い感情が表されているとされています。

ここでなぜ木幡という地名が出たのかというと、木幡は交通の要衝で太后の下に通う天智天皇の魂を表現するに相応しいからという理由があるそうです。冒頭の青旗は語呂として木幡と合うということで用いられています。

言語伝承論も勉強する前はそれほど関心を持っていませんでしたが、勉強しておいてよかったと思いました。どこで何がつながるかわからないものですね。

 

平安文学論・自習編

宇治といえば宇治茶のほかに源氏物語の舞台となったことでも知られています。
源氏物語の終盤の「宇治十帖」が宇治を舞台にしていて、宇治川付近では源氏物語のモニュメントがたくさんありますし、近くには源氏物語ミュージアムもありました。

源氏物語ミュージアムは時間の関係で行けなかったのですが、源氏物語のモニュメントを見ながら平安文学論で源氏物語の婚姻関係も勉強したことを思い出しました。
ちなみに試験も源氏物語のヒロイン・紫上の法的なステータスについて述べるというもので、なぜ紫上は妻ではなく妾であるのかを論じました(試験は無事合格しました)。

宇治十帖をモチーフにしたモニュメント。

平安文学論では古典そのものを読み込んだわけではなく、源氏物語もしっかり読んだことがないのでこれを平安文学論の自習といっていいのかわかりませんが、まあ少しでも関心を持てたということでヨシ!

 

学びは旅行を楽しくする

ということで、駆け足で京都の南側を巡ってきました。

奈良大学で学んでまだ半年程度ですが、それでも京都の旅行を有意義にした学びが多かったことを実感しています。
特に美術史概論・言語伝承論・平安文学論と履修前は関心が薄かった科目の学びが貢献していて、そのような分野を学ぶことができたということが特に収穫のようにも思えます。

そして、学んで知識をつけると旅行が楽しくなるということも改めて感じました。
これは歴史や芸術に限らずどの分野にも言えることだと思いますので、これからもアンテナを高く張って旅行のスパイスにできるように意識していこうと思います。

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