西洋史概論の試験内容
今年度提出すべきレポートをすべて提出し、卒業論文関係の資料や本業の資産運用業関係の書籍をのんびりと読んでいたら、先月受験した西洋史概論の試験結果が返却されてきました。
先日も書いた通り西洋史概論のレポートの評価はかなり厳しく、何とか合格にはなったものの試験は大丈夫かと危惧していました。テキストは通読したとはいえ土地勘のない分野なので、知識が弱いところを問われると短時間で回答をまとめるのは厳しそうでした。
まあ事前に問題はわかっているので準備しておけばいいだけではありますが…
さて、当日。できるだけ時間をかけて回答したいので当然試験時間は1時間目(10:00-10:50)を選択します。在宅試験で当日中にポストに投函すればいいので、早い時間帯ほど時間をかけられるということです。
当日10:00、早速試験問題を確認。試験問題は「共和政ローマの発展について国制と対外関係について触れながら論ぜよ」というものでした。
古代ギリシアやキリスト教を論ずるのは難しいですが、古代ローマであればレポートで軍人皇帝時代(後期古代ローマ)を扱ったので、時代は異なるものの連続性もありますし比較的論じやすいテーマでした。問題を見た瞬間ほっとしました。
古代ローマ(西ローマ)は政体としては王政→共和政→元首政→帝政(→東西ローマ分裂)という変遷をたどります。すなわち共和政は貴族層が国王を追放して元老院主導の国体を形成してから、アウグストゥスが国家権力を集中させて政治を主導する元首政になるまでの期間となります。
したがって国制については元老院主導という政体の特徴、及び社会体制に大きな影響を及ぼす身分制度について論じることが中心となりました。
元老院主導というのは文字通り元老院が国家の意思決定の中心となるということで、国制組織としては元老院・政務官・民会があったところ、諮問機関にすぎない元老院が実質的に意思決定をリードしていることに共和政ローマの政体としての特徴があったと思います。もっとも民会も市民によって構成される立法機関として一定の影響力はあったようです。
身分制度についてはローマの中の身分制度とローマとローマ外の人たちの間の身分制度について論じました。前者は貴族と平民、後者はローマ市民とローマ以外の居住者との関係になります。前者については当初は貴族と平民の身分差の問題であったのが平民の中で経済格差ができるにつれてそちらの方が問題になったことが指摘できます。平民のうち富裕層は騎士身分として貴族層と同化する中、格差の解消のためにグラックス兄弟が改革に取り組んだことはよく知られていますが、この問題は共和政時代には解決を見なかったようです。
一方のローマ内外の居住者の法的権利の格差については同盟市戦争を経てイタリア半島の居住者全てにローマの市民権が付与されるという形で決着しており、格差の是正に成功しています。
これらの点が共和政ローマの国制・社会体制を規定するものであると考え、試験の回答にもこのような形で回答しました。
共和政ローマが発足したころ、ローマはまだイタリア半島の一都市国家に過ぎませんでした。しかし、イタリア半島の統一からカルタゴとの戦い、ギリシアや小アジア、その他の地中海沿岸地域へと勢力を拡大していきます。共和政ローマはオクタウィアヌス(アウグストゥス)の登場によって終焉を迎えますが、その時にはエジプトもローマ支配下になっており、共和政ローマの最大勢力圏は地中海の過半を覆っていました。さらに内陸でもガリアやイベリア半島を属州とするなど共和政ローマ時代の勢力拡大は著しいものでした。
この勢力拡大の背景には現地勢力との戦争があり、試験の回答では勢力拡大の動きとその背景となる戦争を論じることとしました。
この時代の勢力拡大の様子を見ると、共和政ローマは結構戦争をしていると感じます。そして戦争を続けるからこそ軍事力充実のために身分制度の改善も求められるわけで、この二つはリンクしていることも改めて考えさせられました。
試験結果
試験の回答は書きたいことをしっかり整理して書くことができたので単位の取得(60点以上)には自信がありましたが、どのような評価をされるのかはやはり気になります。
そして待っていた試験回答の結果は…
極上の結果とはいきませんでしたが一応優判定ということでよかったです。
でもあと20点分の論ずべきポイントがあったのかと思うと、心の隅っこで悔しい思いがあるような気もします。
それでも今年度最後の試験を無事に終えられたのはよかったです。
来年度はレポート提出済みの3科目を中心に試験を受けることになりますが、これらも躓かずに早めに試験を終わらせて卒業論文に集中したいところです。
ちなみに大学からは来年も当面は在宅試験となる見込みが伝えられており、確定ではないものの少々安心しています。
もっとも試験の準備で知識が身に定着することも多いので、本当は想定問題すべてを準備して試験会場で受験するというのが学習という面では望ましいとは思いますが、それを言うとヤブヘビになりそう…(汗)