退職時の悩みはみんな同じ?

退職時に一番きついこと

退職時の最大のハードルは初動にあり!?

私が社会人になりたてのころは(私の周りでは)転職することは一般的ではなく、家族をはじめ周りのほとんどの人が同じ会社で勤務していましたが、最近は退職・転職が以前よりは一般的になっているのではないかと思います。

それを雇用の流動性とポジティブに捉えるべきか、雇用・労働環境の悪化と捉えるべきかはさておき、転職というカードは労働者が持っておくべきカードだと思います。
選択肢を持っている人は強いですから。

かくいう私も結構な回数の退職・転職を経験していますので、転職することのメリット・デメリットについては理解しているつもりです。
そして、退職に伴う大変さも。

退職をするとき、基本的にはまず直属の上席に伝えるのがマナーです。同僚、上司の上司など第三者に先に伝えるのはマナー違反で後々面倒になります。
そして、この上司に退職の意思を伝えるというのが最初かつ最大のハードルだと思います。

上司との関係が良好な場合、当然自分にも後ろめたい気持ちがありますし、上司が嫌な思いをすることもわかるので、非常に気が重いです。いい上司ならこちらの気持ちを汲んで気持ちよく送り出してくれる、と信じたいところですが、それはそれでやはり辛いものです。

上司との関係がよくない場合、これで縁が切れるぞ、とテンションが上がるかもしれませんが、切り出した瞬間の反応を想像すると恐ろしいものがあります。怖い上司ならなおさらでしょう。一時の我慢と思うしかありませんが、まあ憂鬱です。

よほど図太い人はわかりませんが、多くの人はまず上司に伝えるというステップが厳しく感じるのではないでしょうか。私もそう思います。これができたら転職のハードルはほとんどなくなったも同然です。

米国では日本より転職が一般的だと思うのでこういう心理的なハードルは低いのだと思いきや、やはり上司に伝えるのは気を遣うようです。
転職に関するテーマは米国でも関心が高く、Harvard Business Reviewでもたびたび取り上げられているようで、たまたま見かけた下記の記事でも転職時に気を付けることが述べられていました。

曰く、まず退職の意思は上司に伝えよ、転職の理由が上司にあってもそれを言う必要はなくキャリアゴールが変わったなどというべき(特に米国は転職先から元の勤務先へのリファレンスチェックの可能性があるため)、転職するならなるべく早く伝えるべき(会社の対応、円滑な引継ぎ、本人の心理的なプレッシャーの軽減などのため)、とのこと。
気をつけることは日本と変わらないものだということにかえって関心を持ちました。

上司に退職の意思を伝えるときの心持ち

しかし、改めて読むとこの記事は肝心なことに触れていないように思います。
すなわち、「上司に伝えるのにどのような心持でいればよいか」ということ。
上司に早く伝えたいのは誰だって同じですが、それが嫌だから困るので。
これに正解はないと思います。よほど会社・上司が自分のことをやめさせたいとかでなければ上司にとってはメンバーが一人減るのは面倒事なはずなので。

私の経験からアドバイスをするとしたら、初動は無理やり自分の背中を押す、ということでしょうか。
一瞬だけ理性を吹っ飛ばして上司に声をかける、あるいはメールの送信ボタンを押す。
声をかけてしまったら「何でもありません」とはいえないので、「ご相談したいことがあるのですが」と声が出ると思います。メールも同様。

一度そのように動いてしまえば、後は勝手に状況が動きます。
上司を個室に呼び出せば上司も察するでしょうし、個室で上司と相対すればこちらも退職のことを切り出さざるを得ません。
初動のときに一瞬だけ理性を吹っ飛ばして上司に声をかければ終わりなのです。

ちなみに理性を吹っ飛ばすというのは「勇気を出す」というのとは違う感覚です。
勇気を出すというのはドキドキしながら声をかけるイメージですが、理性を吹っ飛ばして話しかけるというのはその一瞬だけはノーガードで後のことを何も考えずに行動する感じです。
何も考えないとその一瞬はストレスがないので、後回しになりにくいと思います。

罪悪感を小さくすれば話は進めやすい

退職の意思を伝えるのが辛い理由には罪悪感というのも大きいと思います。忙しい職場であれば自分が抜けた後に上司や同僚が苦労するのが想像できますし、関係者への引継ぎなども余分な負担になります。
自分が退職しなければ…と考えるのは責任感がある人なら当然でしょう。

とはいえ、退職・転職を決めた以上そんなことを考えても仕方がありません。
ただ、罪悪感を小さくすることは退職の意思を上司に伝える際の心理的な負担の軽減につながると思います。

私は上司に退職の意思を伝えるときには、転職先に迷惑をかけない限り会社の要請をすべて受け入れるつもりでいました。
メンバーの負担軽減のために極力業務をしてほしいということであれば有給休暇の消化は控えましたし、引継ぎも最大限丁寧に行ったつもりです。

退職の前にはできるだけ有給休暇を消化してしまいたいというのが人の性かもしれませんが、自分の希望を前面に押し出すと上司やメンバーとの関係がこじれ、最悪の場合転職先に自分の悪い評判が伝わってしまうかもしれません。

したがって、上記の記事にもありますが円滑な引継ぎのために最大限協力するという姿勢を伝えるのが円滑な話し合いにつながりますし、上司に切り出す際の安心感(あるいは自分は悪くないという自信)も得られるのではないでしょうか。

逆に言えば、退職する意思があるのであれば計画的に有給休暇を消化していくべきともいえるかもしれません。状況が許せば、ですが。
かといって有給休暇をちょくちょく取得している人を疑わないように(笑)

 

真摯に、丁寧に、かつドライに

上司に退職の意思を伝えたら後は引継ぎをするだけです。
退職日が決まっていれば最終出社日はほぼ自動的に決まるので、逆算で引継ぎスケジュールができれば後はそれに沿って動けば問題はないと思います。

ただ、時々退職して次の会社で働き始めてからも前の会社の仕事をさせられているという話を聞きます。
雇用関係もない状況で業務を行うのは本人にとっても会社にとっても大きなリスクがあると思うのですが、お構いなしな会社もあるのでしょう。
転職する側もすがられたら嫌とは言えないこともあるのかもしれません。

これも日本らしいなあと思いきや、実は海外でもある話のようです。
再びHBRから。

海外でも罪悪感が仇となってズルズルと前の会社の仕事を引きずってしまうことがあるようです。やはり罪悪感は危ないですね。

もちろん引継ぎ時に漏れなく自分の作業やノウハウ(ファイルの保存先や関係者の連絡先など)を伝えることは難しいので、一定期間は前職からの問い合わせに対応する必要はあると思います。
私の場合もそういう経験はありましたし、記事中にもあるようにそれは一般的だと思います。

しかし、これが長期間にわたったり、依頼内容が業務そのものになってくるとそれは異常事態と言わざるを得ません。
給料が出るわけでもないのに時間を割いたり責任を負うことは自分だけでなく転職先の会社にとっても問題がある行為です。

まともな会社だとこういうことはないと思うのですが、引継ぎをする際には記事にもあるように極力文書化することと期限を設定することは留意すべきだと思います。
期限を明示することは難しいですが、文書化は自分でできるのでこちらは力を入れるべきだと思います。文書化すればマニュアルにもなって喜ばれるでしょうし。

で、常識的な期間を超えても作業を依頼してこられたらドライに「十分に引き継ぎ対応をしましたし、もう現在の勤務先での業務に集中したいので連絡しないでください」と伝えた方がいいのでしょう。
引き継ぎの記録があれば変な脅しや風評にも対応できるでしょうし。
というか、そういう非常識な会社とはさっさと縁を切るべきだと思います。

ということで、結論としては退職時のストレスを極力減らすには、次のアドバイスを送りたいと思います。
一瞬だけ理性を吹っ飛ばす
極力現職に協力的な姿勢を示して罪悪感を小さくする
最大限の協力をしても依存してくる(利用しようとしてくる)ならドライに切る

 

退職・転職を経験した人ならわかると思いますが、最終出社日に退社するときの空はとても明るいです。夕方でも夜でも明るいです。
苦しい状況において退職が常にベストな選択肢とはいいませんが、退職すべき時に退職のプロセスを終えると非常にポジティブな気持ちになります。
退職を明るい未来につなげたいと思う方にこのアドバイスが少しでも役に立てば幸いです。

あ、こんな記事を書いているからといって私が今退職を考えているとかではないですからね!

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