学生の頃から、企業の社会性に注目して投資を行う社会的責任投資に関心があり、いつかは自分でもその考え方を広めていきたいと思っていましたが、大学の同窓会から若手の卒業生に対してプレゼンをする機会をいただき、挑戦してみることにしました。
「『社会を変える』資産運用」と題して参加者を募集したのですが、実際のところどれだけの人が「社会を変える」資産運用(投資)に関心があるのだろうと少々不安でした。
ふたを開けたら参加者がほとんどいない、というのはやはりさみしいものです。
そんな不安を抱えていましたが、プレゼン数日前に申し込み状況を聞いたら約20名の参加者がいるとのこと。
逆に生半可なプレゼンはできないと思い、急遽参加者の方のリクエストも踏まえたコンテンツを追加。
20名もの人の前で話すのは久々なので気合も入ります。
そして、いよいよプレゼン本番。
当日は強い雨だったのでドタキャンも多いかなと思っていましたが、キャンセルはほとんどなく、多くの方がいらっしゃいました。
これはプレゼンター冥利に尽きましたし、俄然気合が入ります。
多くの方にお話を聞いていただき、感激でした。
プレゼンの内容は一般的な資産運用の話と、それに社会性を加えた「社会を変える」資産運用の話でした。
前半は、一般的に資産運用とはどういうもので、どういうツールがあるのか、という説明をしました。
具体的には、日本の家計の金融資産配分や金融資産ごとのリスクを概観したうえで、①株式、②債券、③不動産、④投資信託、⑤新しい金融、に分けてそれぞれどのような金融商品かということを具体例を示しつつお話しました。
金融の「自分のお金を誰かに使ってもらう」という側面に重点を置いたプレゼンでしたので、「新しい金融」ではFintechに触れつつ、ビットコインなどではなく、p2p/ソーシャルレンディングやクラウドファンディングを紹介。
クラウドファンディングの具体例として、iPS細胞の研究で知られる山中教授が自らマラソンをして研究資金の調達をしている事例を紹介しました。
当代一流の学者が自ら資金調達をする研究環境の是非はさておき、我々一個人がそのような研究をサポートできるというのは素晴らしいことだと思います。
後半は本題の「社会を変える」資産運用の話に。
上記の①~⑤の投資に、いかに社会性というテイストを加えるか、という話をしました。
そもそも「社会を変える」とか「社会性」といった観点は主観にすぎないので、個々人が社会を変えると信ずるに足る投資先に投資をすれば、それが「社会を変える」資産運用になるという話をしたうえで、一事例として下記のような話をしました。
①株式:経済産業省選定の「なでしこ銘柄」や社会性に注目した株価指数の採用銘柄に投資する。
②債券:世銀債など、資金調達の目的が発展途上国の支援など明確なものに投資する。
③不動産:環境認証のある物件やシェアハウスなど?(不動産投資はよくわからないのでなんとなく話してます)
④投資信託:いわゆる社会的責任投資(SRI)ファンド。事例としては鎌倉投信や朝日ライフアセットの「あすのはね」を紹介しました。
⑤新しい金融:p2pやクラウドファンディングで社会を変えそうな相手を自分で選んで投資するほか、Social Impact Bondの紹介もしました。
⑥預金:我々の預貯金は金融機関が企業などに貸し出しているので、”Fair Finance Guide Japan“でメガバンクの社会性を比較しして金融機関を選ぶのも「社会を変える」資産運用につながるという話をしました。また、社会性をミッションに掲げて経営を行うトリオドス銀行(オランダ)についても紹介しました。
ただ、ざっくりと上記の話をしても、具体的にどのような投資先を選べばよいのか、という疑問が出そうなので、ヒントとなるキーワードとして「SDGs」・「CSR」というキーワードを紹介し、このような観点から投資先を選んでみては?という提案をしてみました。
当初は以上が「社会を変える」資産運用のプレゼン内容だったのですが、事前のリクエストを見てみるとNISAや不動産投資など、むしろ一般的な資産運用に対する関心が強いことが判明。
お越しいただく皆さんのニーズに少しでも応えるべく、急きょNISA(ジュニアNISA・つみたてNISA含む)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の話を追加。
日常業務でこのような資料を読み込む機会があったのが幸いしました。
どこでどういう経験が役に立つかわからないものですね。
プレゼンの後は参加者の皆さんと一緒にランチ。
お話している中でもいろんな質問をいただきました。
残念ながら自分自身が普段資産運用の話をしているわけではないので、あくまで一般論として積立投資の有効性やリスクの考え方、NISAの使い方などをお話しました。
FP(ファイナンシャルプランナー)の勉強をしていれば、もう少しいいお話ができたかもしれません。いつか取り組んでみたいものです(何度か挫折していますが…)。
ちなみに参加者20名のうち半分程度が女性でした。
女性が資産運用について語るという企画はウェブサイトや雑誌などで時折見かけますが、改めて女性の資産運用に対する意識の高さを感じました。
これからも老若男女問わず多くの人に「社会を変える」資産運用に関心を持っていただき、金融の力で多くの人が幸せになるようになればと願っていますし、その中で何らかの貢献ができればと思います。
※ちなみに後日拝見したアンケートの結果では、参加者の方の満足度はそこそこ高かったようです。とはいえ、「そこそこ」の結果というのはプレゼンターとしては忸怩たる思いもあるので、いつかリベンジできたらと思ってます(笑)