Fintechの可能性

先週の木曜日は無事に退社できたので、関心のあったFintechの授業に出ることができました。

今回のテーマは、「Fintechは銀行の市場をどのように侵食(代替)できるか」というもの。

まず、銀行の役割と強みについて議論があるわけですが、ざっくり言えば、銀行とは「預金プラットフォームと審査機能を武器に資金需要に応える」存在といえます。

そのような銀行に、Fintechはどのようなインパクトを与えるのか。

審査というのは、貸手と借手の間における情報の非対称性を解消することであり、そのために様々な情報を基に借手の信用性・信頼性を評価することです。
判断の根拠となる情報は多種多様で、定量的なものもあれば定性的なものもあり、また検証がしやすいもの(情報の硬度が高い)もあればそうでないものもあります。

例えば、ある人が信頼できるかどうか、ということを判断するにあたっては、勤務先や家柄で判断する方法もあれば、その人の言動で判断することもできます。
このうち、前者が情報の硬度が高く、後者が低いということになりますが、これまでは言動や身なりといった情報は身近な限られた人しかアクセスできず、したがって、知り合いでない人はその人の信頼性を判断することが難しかったという状況でした。

交友関係を築くだけならそれでもいいのですが、ソーシャルレンディングのように、知らない人にもお金を貸す(ためのプラットフォーム)というビジネスを考えるなら、このような情報の非対称性は解決しなければならない問題です。
財務諸表もない(あっても信用できるかわからない)、人柄もわからない、プロジェクトがうまくいくかもわからない(成功しても分配するかもわからない)、ではなかなか資金の提供はできません。

しかし、最近ではインタビューや動画から人格も定量的、統計的に分析ができるようになっているようで、このような情報が硬度の低い情報の分析を可能にし、ソーシャルレンディングなどのP2Pビジネスにおける情報の非対称性の解消に貢献することが期待されています。

このような人格、言動の分析は金融に限らず、人事や教育、結婚相談所など、幅広い分野での活用が見込めそうで、今後の展開が楽しみであると同時に、自分の知らないところで自分がどう分析されて、どう扱われるのかを考えると、少々身震いする気持ちもないでもありません。

また、Fintechの隆盛は監査などの周辺分野にも影響を与えることが想定され、それらのあり方についても深く考える必要があることが示唆されました。
もちろん監査だけでなく、インサイダー取引や相場操縦などの市場モニタリングやコンプライアンスについても同様のことがいえそうです。

Fintechの個々の動きというより、Fintechは何を変えるのか、という本質を考えさせられたひと時でした。
個々の動きを知ることも面白く、大切なことですが、やはり本質について考えるということは、Fintech時代に自分はどのように対応するべきなのかということを考えるにあたって最も重要なことだと思うので、大変勉強になりました。

続きが今から楽しみです。

カテゴリー: 法学博士課程体験記 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です