研究内容発表

博士課程では、指導教官について博士論文を執筆するということだけが要件なので、ほぼ自分(と指導教官)だけで完結させることが可能なのですが、自分の考えを説明して、色んな人から意見をもらうこともよい論文を執筆するために必要だと思います。

そういうこともあってか、私が所属する指導教官のゼミ(同じ指導教官につく人が集まって意見を言い合う授業)では、それぞれが研究内容や検討内容を報告し指導教官や所属する(社会人)学生が質疑応答をすることになっています。

先日、今年度初回のゼミがありましたが、新入生ということで早速研究テーマを発表することになりました。

私が博士課程で研究しようと思っているテーマは「投資信託委託会社(資産運用会社)の忠実義務」という内容で、投資信託業界のある実務慣行に基に、投信会社の忠実義務について考えていこうと思っています。
※投資信託委託会社(投資運用業者)は投資家のために忠実義務・善管注意義務を負うことが、金融商品取引法第42条で定められています。

同じ指導教官に付くということは、ある程度似通ったバックグラウンドと関心事があると思っていましたが、やはり金融関係のお仕事をされている方がほとんどでした。
とはいっても業態は様々で、投資信託委託会社に勤めている方は他にはいませんでした。
ちなみに職位は若手から役員の方までいたのですが、学校という場ではフラットに話せるというのは非常に魅力的な環境だと思います。

それはさておき、いざ発表です。
投信業界の人はいないため、最初に投資信託の仕組みや取り上げる実務慣行を簡単に説明したうえで、それがなぜ忠実義務の観点から整理されるべきなのか、ということを話しました。
投資信託の実務自体がなかなか業界外の方には理解されにくいこと、また業界内ではかなり議論はされている問題であり、論点がクリアになっていることもあり、質問についてはしっかり答えられたと思います。

発表自体はそれでよかったのですが、業界内で議論がかなりされていることから、博士課程で掘り下げていくには少々テーマが狭いのでは、という指摘をされました。
博士課程というのは、仰々しく言えばこれまでの人類の知見に新しいものを加えることが求められますが、業界内で錚々たる経験者が議論を深めていく中で、博士号に足る新たな知見を加えることは容易なことではありません。

そういう指摘もあったので、研究の方向性については熟慮する必要がありそうですが、まずは研究の第一歩を無難に踏み出せたのはよかったです。

今後、研究で苦悩するのは間違いないと思いますが、頑張って日本の投信業界に、博士号に値するような新たな知見を提供し、少しでも業界の発展に貢献していけたらと思います。

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