自分は現在投資信託委託会社でコンプライアンス(法令順守)の業務を担当していますが、この業務を始めて結構な時間が経ちました。
以前はコンプライアンス以外の業務も経験してみたいと思い、MBAを取得したりしていろんな可能性を探ってきましたが、それ以降もコンプライアンスの仕事をすることになり、こうなればコンプライアンスの専門家として生きていくしかない、と腹をくくるようになりました。
コンプライアンスの仕事とはその名の通り、会社の業務が法令に則って行われるようにルールを整備したり、チェックを行ったりする仕事です。
法令順守というからには法令を理解したうえで業務を遂行することが求められるのですが、判断の基準には法令そのもののほか、業界のルールや社内規程、それに加えて業界の慣行などがあり、これらを理解したうえで判断を行う必要があります。
しかし、投資信託は複雑な仕組みの制度であることに加え、昨今では海外の運用会社に運用を委託したり、海外の投資信託を組入れたり、あるいは日本の運用会社が海外で販売されている投資信託の運用を行うなど、海外との関係も深くなっていて、さらに複雑になっています。
そのような要因もあり、法令の文言をそのまま読むだけではなく、それを投資信託のビジネスの実態にいかに沿う形で解釈するかということが重要になっています。
そのようなこともあり、業界としても各種のルールや慣行ができているわけですが、それが本当の意味で法令の趣旨にかなっているか、あるいは投資家に対して責任を果たすことになっているか、ということは判断が難しいケースもあります。
もちろん、当局や業界のルールや指示に従っていればペナルティを受けることはない、という意味ではそれらを把握しておけば会社に対するコンプライアンスの責務は果たされるのですが、それが本当にあるべき姿であるのか、もっと良いあり方はないのか、ということを問い続け、改善を目指すことも業界のプロフェッショナルとして重要なことです。
そこで自分自身も、投資信託ビジネスのあり方について長らく課題であると考えていたテーマについて研究すべく、法学の博士(後期)課程に入学することにしました。
博士課程とは一般的には研究者の卵を要請する課程であり、これまでの研究の集大成を博士論文として昇華させることが求められています。
一方、自分はといえば、学部は経済学部で、修士課程は経営学(MBA)と、法学について体系的に教育を受けたことはなく、また修士論文も書いたことがないという、法学については素人とっても過言ではない状態です。
しかしながら、法学と実務の橋渡しをすることによって業界の発展に貢献するという目標を果たすには博士課程が適しており、その考えを入学試験においても理解していただき、法学の博士課程に入学することになりました。
専門的な教育を受けていないということで苦労をすることも多々ありますが、自分の目標を達成し、キャリア的にも新しい挑戦ができるように頑張っていきたいと思います。
願わくば、標準期間の3年間で博士号を取得したいと思いますが、それ以上の時間がかかっても今後の目標のために最後まで頑張りたいと思います。
今後、博士課程での体験についても綴っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。