最近就職活動や今後のキャリア形成について悩みながら歴史のことを考えると、色んな人物の人生に自分を重ねていることが多いです。
自分なりに色々頑張ったり挑戦したりするけれど、なかなか認めてもらえないという今の状況を見つめていると、よく思い出すのが中国の戦国時代の外交官・蘇秦です。
蘇秦といえば有名なのが、うだつが上がらない頃は親戚にも冷たくされていたけれど、立身出世したら途端に親類がぺこぺこしているのを見て「自分が少しでも豊かだったら今の自分があっただろうか」と感慨にふける話です。
上記の通り、絶頂期は六国の宰相を兼ねる蘇秦ですが、弁論を学んだ後自分の考えを色んな国に売り込みますが全然相手にされないまま放浪を重ね、親類にも嘲笑されるという時期がありました。
これは蘇秦の同門である張儀も同様で、彼も放浪したり暴行を受けたりして嘲笑されても「舌があれば大丈夫」と心配する妻に言い、最終的には大国・秦の宰相に昇りつめます。
今、自分自身が就職活動で彼らと似た境遇にありますが、蘇秦や張儀のような遊説の大家でさえこのような時期があったのだから、と思うと自分もまだまだ頑張らなければ、という気にさせられます。
そして彼らのように諦めなければいつか自分を必要としてくれる組織があるはずと言い聞かせています。
そしてこれからどういう人間になっていこうか、と考える時に思い出すのが、真の始皇帝のブレーンとなってその覇業と新国家形成を支えた宰相・李斯です。というのも、彼の人生はMBAをとってキャリアアップをしていく人の人生と非常に似通っているからです。
彼ははじめ小役人として食料庫の管理をしていたのですが、倉庫の中で悠々と穀物を食べているネズミと厠で人間に戦々恐々としているネズミがいるのを見て、「人生は環境で変わる」と一念発起し荀子の門を叩きます。これがMBAその他の高等教育にあたるでしょう。
学業を終えた李斯は縁にも恵まれ秦の始皇帝のブレーンとなり出世していきます。
MBAを終えた学生たちがキャリアアップをするのと似ています。
その際に同門の韓非を陥れたりするところも競争という点では似ているかもしれません。
途中追放の危機もありましたが、それも無事に切り抜けついには丞相の地位に至ります。
MBA風にいえば超大手優良企業のCEOといったところでしょうか。
しかし、始皇帝が亡くなってから彼の運命は変転します。
奸臣・趙高の恫喝に屈して始皇帝の遺命に背き、暗愚とされる次男・胡亥を二代皇帝にしてしまいます。
二代皇帝の治世下、各地で反乱が起き秦帝国の土台が揺らぐ中、趙高に謀られて謀反のぬれぎぬを着せされて一族もろとも処刑されてしまいます。
現代風にいえば、悪い部下にそそのかされて違法行為に手を出した挙げ句、その人間に裏切られて自分だけ逮捕され、一切の社会的地位を失ってしまうという感じでしょう。
若かった頃の李斯は理想に燃えるところがあったでしょうし、始皇帝の下で彼はその才覚をフルに発揮して秦帝国を隆盛に導きます。
しかしながらちょっとした心の隙が彼の運命を栄光から急転直下に導いてしまうことがあるという恐ろしさを彼の人生は示しています。
今は蘇秦・張儀のように苦労しているけれど、自分にも春がくるかもしれない。
そして春が来ても初心を忘れると、李斯のように運命が激変するかもしれない。
自分に彼らのような才覚があるかどうかはともかく(そして自己弁護をするつもりもないですが)、彼らの人生に思いをいたしながらこれからも自分のキャリアを考えていきたいものです。
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