最近その活動に注目が集まるNon Profitable Organization (NPO)。
そのNPOに対するイメージというのは様々でしょう。
似たような言葉にNGOというものがあることも影響していると思います。
大きいものでは「オックスファム 」「国境なき医師団 」、小さいものでは、町のボランティア団体みたいなものまで様々です。
そのNPOの一つに、若者の社会参加を促すプログラムを運営していることで知られる「育て上げ」ネット という団体があります。
最近社会問題としてよく取り上げられるテーマとして「ニート」がありますが、ニートが必ずしもやる気がないのではなく、社会に送り出す準備さえすれば、問題の解決につながることに注目し、社会教育・職業訓練の機会を提供している団体です。
その団体の理事長をされている工藤啓氏はこの団体の創設者であり、その経験がまとめられたのが「NPOで働く」という本です。
NPOの立ち上げから軌道に乗せるまでの取り組みや人材の確保など、課題やその取り組みの経緯が具体的に書かれていて非常に参考になりました。
また、実際に働かれている方のこともたくさん書かれていますので、どんな人がどのように働いているのか、というイメージもしやすいと思います。
先日読んで同じく感銘を受けたライフネット生命・岩瀬大輔氏の「ネットで生保を売ろう!」と同じ雰囲気です。
この本を読んでいて思ったのは、頑張って取り組んでいれば、協力者はきっと現れる、ということ。
もちろん他力本願でよいというのではなく、必死に取り組んでいれば、またその過程で人との出会いを大切にすれば、人の輪が広がっていくということ。
それを積み重ねていけば、いろんなケースで道が開けていくということもあるみたいです。
これはこの団体のケースに限らず、いろんな人がこういう経験をしているみたいで、見習わなければいけないと思いました。
一方で、行政の委託事業の問題点やNPO団体の経営の難しさについても考えさせられることがありましたが、また、多くの課題を知恵を絞って乗り越えていくたくましさにまた感嘆させられました。
将来はNPOも含め、ソーシャルビジネスを支援することで社会の改善に貢献したいと考えている自分にとって、NPOの実態について具体的に教えてくれる好著でした。
最後にNPOの事業の意義について「放置すればタックスイーター、支援すればタックスペイヤーとして社会の担い手になる」という言葉に強く共感しました。
また、著者は「優れた政策立案のためには3割は当事者がかかわるべきだが、全く関わっていないケースがある」という指摘をされており、これもなるほどと思いました。
将来的に、社会問題の改善に貢献するためのキャリアの選択肢が増え、自分もその一端に携われるようにいろいろ勉強したいと思います。
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