昨日は、特定非営利活動法人アジア・コミュニティ・センター21 さんが主催されたマイクロファイナンスのセミナーに行ってきました。
講師として、フィリピンのマイクロファイナンスの先駆けで最大手であるCARD の創設者のアリス・B・アリップ氏がいらっしゃってました。
また、インドの農村開発団体の方、カンボジアの貧困層向け育児支援団体の方、そして、Living in peaceの理事でマイクロファイナンスファンドを立ち上げられた杉山章子氏がパネリストとして参加されていました。
フィリピンのマイクロファイナンスの先駆けであるCARDは1986年に、20ペソと一台の古いタイプライターだけで始まったそうです。
そして、その20ペソで多くの支援団体に申請書を書いては送り、そしてお断り・・・の繰り返しだったそうです。
しかし、1988年に日本のアジア・コミュニティ・トラスト が初めて支援してくれたことで軌道に乗ったそうです。
今ではCARDは8つのマイクロファイナンスを手掛ける組織を擁するコングロマリットになり、その中にはNGO、銀行、共済保険協会(生命保険)、人材研修機関、ビジネス開発サービス財団、情報技術会社が含まれます。
ここでも返済率は高く、99.47%にもなるそうです。
また、この会社に関心を持つ人も多く、月平均3.7人の調査・研究を受けているそうです。
特に興味深かったのが融資・集金のモデル。
融資は貧しい女性のみに行い、男性には行わないそうです。
その理由は、女性は与信を収入にとにかく結び付け、収入を家族のために使うけれど、男性はそれをギャンブルやお酒に使いがちであるためとのこと。
また、グラミン銀行と同じく顧客をグループ単位にまとめ、その中でリーダーシップをとらせたり資金の活用に関する教育を施したりするそうです。
そのほか、営業を行う地域についての事前調査には力を入れる一方、審査は簡素にしているようです。その一方で、顧客に対して事前に家庭訪問を行っているのだとか。
この点について気になったので質問したかったのですが、失礼にあたるかもしれないという遠慮と、英語が不自由であるという遠慮で結局聞けませんでした。惜しいことをしました。
政治とマイクロファイナンスについても話されていました。
曰く、政治は時折マイクロファイナンスに介入し、返済を不要にすべきとも言ってきたりするそうですが、基本的にスルーして事態が沈静化するのを待つそうです。優秀な広報部員もいるので、とおっしゃっていました。
また、杉山氏はミュージックセキュリティーズ およびリビング・イン・ピース のプロジェクトでできたマイクロファイナンスファンドについて説明されていました。
これまでマイクロファイナンスについて個人投資家が投資する機会は限られていたし、投資信託でもこの種のものはなかったと思いますので、非常に画期的だと思いました。
以前に呼んだ論文 でも、マイクロファイナンス投資はポートフォリオにおける資産分散に資するという話があったため、面白いと思いました。
杉山氏は、このようなファンドに対する投資家について、利回りよりも社会性を求めていると指摘したうえで、投資というビークルがマイクロファイナンスに参加しやすくしているとおっしゃっていました。
リビング・イン・ピースは金融関係者がパートタイムでその能力を活かして活動する団体で、自分もコンプライアンスという基盤が一応あるので、こういう団体で活動してみたいと思っていたのですが、ずうずうしいかと思ったことと、相手がまだ若い女性だった(女性に話しかけるのは苦手です・・・)ということでついに名刺交換もお話もできませんでした。悔しい・・・
今度お会いしたら是非お話してみたいと思います。
マイクロファイナンスに携わっている方からお話を伺うのは初めてだったので、非常に充実した時間でした。
今度は気おくれせずに頑張って直接話も伺ってみたいと思います。
ちなみに、今朝フィリピンの人と英会話をしたので、その時にこの話をしたら、、CARDのことは知らない、と言われました。
一応全国に支店があるみたいだから、機会があったら探してみて、と言っておきましたが、ちょっと意外でした。