レ・ミゼラブル

世界の古典の中でもとりわけ愛読されているフランス文学の金字塔「レ・ミゼラブル」。

この2カ月ほど、この作品を読み続け、ついに読了しました。

大作だったので、読むのも時間がかかりました。

読後感は複雑です。

心が昇華していく感じがする一方、やり切れない思い、自分の中の「正義」の動揺などなど。

決してスッキリ、という感じではないのですが、高尚なものに触れた、という感じがします。

内容はストーリーとそれを補完する説明パートで構成されていて、特に補完部分が難しく、時間がかかったように思います。ストーリー自体はわかりやすいし、すぐ次が読みたくなるようなテンポのよさでした。

主人公ジャン・バルジャンの波乱に満ちた生涯と、善と悪で揺れ動く精神の昇華の過程が、フランス革命前後のフランスを舞台に描かれています。

もともと、ある種の善意で犯罪を犯し、長期の収監の末、精神的に荒み果てた彼が、一人の人物の出会いから心に潤いを取り戻し、聖人・天使としての道を進む様は、性善説ってやはりそうだな、と思わされます。

とはいえ、一直線に善を施すというわけではなく、その過程で悩み、良心に問い続ける様子の表現がまた素晴らしかったです。自分もこういうことはよくある、とつい自分に重ね合わせてしまいます。

アニメ世界名作劇場にも登場しますが、アニメでは、彼が育てた娘・コゼットが主人公となりますが、原作だとむしろジャン・バルジャンが主人公で、コゼットについては結構駆け足だった感じがします。

コゼットの愛する人・マリウスにはその思想や精神状態について結構紙幅を割いていましたが。

うまくまとめられませんが、ジャン・バルジャンの精神の昇華の過程に感動するだけでなく、(和訳された)表現には、今でもこれ使えそう!と感じるものがあり、本当によかったと思います。

この読後感は、山崎豊子氏の「大地の子」「沈まぬ太陽」くらいでしか味わったことのない、とても深く、考えさせられるものでした。

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