もうすぐ終戦記念日、だからというわけでもないですが、ときどき日本の歴史を振り返ってこれからの自分の果たすべき役割を考えることがあります。
我々が日本の歴史において最も考えなければいけないのは、やはり明治維新-終戦、終戦-現在、ということになるのではと思いますが、近現代史に限らず、我々が歴史を振り返る際には、現在の視点から、よく言えば俯瞰的、悪く言えば後知恵的な視点になりがちだと思います。
しかしながら、歴史を私たちの教訓、ケーススタディの教材として用いるのであれば、当事者の視点から歴史を見直す必要があると思います。
あるようでなかった当事者からの視点で描いた歴史の書籍ですが、最近読んだ本がまさにそれでした。
東京大学の歴史学の教授が、若い人にも歴史について考えてもらいたいと、とある高校で出前授業を行った様子がまとめられています。
授業の中では、講師が生徒に、各当事者はどのような状況の下、どのようなことを考え、どのような帰結があったのか、ということを逐一聞いていきます。
それを読みながら、この人物はこんな制限でこんなことを考えたのか、と歴史の糸が解きほぐされ、別の糸と絡み合っていき、そこから歴史が作られていくのを感じました。
また、私たちが知らなかった人物像も明らかにされ、意外な人物が意外なところで頑張っているのが面白かったです。
そのほか、胡適や水野廣徳など、これまで知らなかった人物に出会えたのも大きな収穫でした。
新たな視点に新たな知識と、日本の近現代史を見つめなおすのにうってつけの一冊です。
- それでも、日本人は「戦争」を選んだ/加藤陽子
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