商社といえば、日本経済の縮図とも言われ、様々な事業を手掛けており、商社不要論が唱え続けられる中でも日本経済をけん引してきた存在ですが、そんな商社の審査部門の仕事に関心があり(幅広い事業をどのようにチェックしていくのだろうか、とか社内でどんなやり取りをしているのだろうか、とか)、ちょうど商社の審査部について扱っている経済小説があったので読んでみました。
タイトルはそのものズバリ「商社審査部25時 知られざる戦士たち」。
著者は商社で審査を担当されている、まさにその道のプロです。
ある企業の再生をめぐって、再生企業、裁判所、その他債権者等を巻き込んだ案件を軸にしつつ、その中で頻発する別の案件も絡ませながら話が進みます。
主人公は審査部の課長なのですが、社内外で板挟みになりつつも、企業再生と会社の利益のために奮闘します。
正直、体が心配になります。
また、部下の活躍にもスポットライトが当たっていて、部下の成長も楽しみの一つです。
チェック項目としては信用リスクが主ですが、そのほかに企業の成長性や他社動向なども頭に入れつつ動いていて、商社に入ると鍛えられそうだ、という気はします。
体力的・精神的には大変かもしれませんが。
終身雇用制が薄れ、本当の意味でのプロフェッショナルが増えてくると、このような作品も増えてくるのかもしれませんね。
私が描いたらこんな感じでしょうか。
「金融コンプライアンス 板挟みの番犬たち」。
・・・ネーミングセンスがなくてすみません(汗)
- 商社審査部25時 (講談社文庫)/高任 和夫
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