人の力を集める

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明けましておめでとうございます。
昨年はリーマンショックの余波で社会的にも大変な時期でしたが、今年は明るい年になってくれればと思います。
それはさておき、苦しいときを乗り越えるためには、みんなで力を合わせることが大切だと思います。
今回は、力を合わせることを制度化したものの歴史を見てみます。
・世界初の株式会社、東インド会社
一般に事業を行うためにはそれなりの資金が必要ですが、そのお金を一人で負担することは大きな危険が伴います。そのため、とくに大きな事業を行う時には、多くの人からお金を集めて、危険と責任を分担することが必要です。そこで、会社の持分を分割し、資本の拠出と責任と利益の分配を分散させたのが株式会社です。
そして、ご存じの通り、世界の企業の多くが株式会社形態をとっています。
株式会社の起源は1602年に発足したオランダ東インド会社と言われています(1600年にイギリス東インド会社が設立されるなど、東インド会社は複数あります)。
オランダ東インド会社はオランダの東アジア(主にインドネシア)との取引を強化するために設けられた会社です。日本でも長崎の出島で取引を行っています。
会社といっても、商業活動のみならず貨幣の鋳造、条約締結権や交戦権(!)などの権限もあり、一種の政府の出先機関とも言えるのではと思います。
その後、フランス革命の混乱の中、オランダがフランスに敗北したことから、東インドの覇権はオランダからイギリスに移り、1799年にオランダ東インド会社は解散することになりました。
・海で生まれた保険制度
助け合いの制度といえば、一定の掛け金を拠出し、いざというときにはお金を受け取る制度があります。
それは・・・宝くじ!!
ではなくて、保険です。まあ、宝くじも外れではないのでしょうが、保険制度は多くの人が協力して安心を生みだす重要な社会的装置です。
ご存じの通り、保険には社会保険と私的保険があり、社会保険には(公的)年金保険や健康保険があり、私的保険には生命保険や損害保険、第三分野といわれる医療保険や年金保険があります。
ここでは私的保険に限って話を進めます。
保険の歴史は14世紀のイタリアにさかのぼります。当時海上交易が盛んだったのですが、多くの積み荷を乗せて運航するため、無事に届けられたら大きな利益を得られますが、海上で事故にあったら大損害です。
そのような危険を回避するため、みんなでお金を拠出して、事故にあったらお金を受け取って補償に充てる海上保険が発達したそうです。
保険制度は大数の法則(ある事象を何回も起こせば、その事象はほぼ一定の確率で発生する)によって支えられていますが、その大数の法則が発見されたのは18世紀のことで、当初の保険制度は経験則によってできていたのかもしれません。
なお、日本に保険制度を持ちこんだのは福沢諭吉だと言われています。
・生活協同組合の歴史
生協法が改正され、ますますその役割が注目される生活協同組合(生協)。共同で物資を仕入れることでいいものを安く、という理念がその中心にあるのだと思います。そのため、その利用も原則として組合員だけに限られています。私もよくコープのお世話になっていました。
互助という関係は人間が複数人いれば自然とできるものなのかもしれませんが、組合の歴史は1761年にさかのぼることができます。イギリスのスコットランドで地元の労働者が食料を安く仕入れるために設立されたそうです。資産形成や教育の支援機能もあったそうです。
現在の生協のモデルとなったのはイギリスのロッジデールで産業革命期の1844年に設立されたロッジデール組合といわれています。その考え方は「ロッジデール原則(Rochdale Principles)」と呼ばれます。
この後10年間で1000以上の組合がイギリスで設立されたそうです。
現在ではグローバル化やデフレなどでいいものが安く買えますが、かつてはみんなで協力して生活を支えていたということですね。いい話です(ホロリ)。

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