多くの人が夢見ているであろう、「起業」。
かくいう私も起業家に対する憧れがあり、起業家とはどのような人間なのか、どういうことを考えているのか、あるいはどうすればなれるのか(ということを考えている時点で失格なのかもしれませんが)、ということに関心があり、本書を手に取ってみました。
本書の著者は、自身も起業経験が豊富なビジネス誌の元編集長であり、また全米の起業家団体の創設者でもあります。それだけに、成功経験も失敗の経験も豊富で、非常に示唆に富んでいます。
本書によると、起業家の本質は「自由」。誰に雇われるのでもなく、自分のやりたいように事業を展開する。
資金調達やマーケティングが難しいことは容易に想像がつきますが、それではなく、成長することによる社風の変化や起業家自身の位置づけの変化、内部抗争など、実際に経験してみないとわからないことについても赤裸々に描かれています。
また、これもある程度想像ができますが、起業は恐怖と常に隣り合わせであるということ。
著者も、起業するということは、「恐怖のクラブ」への入会だと冒頭で切り込んでいます。
また、学校教育では起業家精神を積む方向で教育がおこなわれていると指摘していますが、それは面白い指摘だと思いました。
日本でもそうですが、学校では秩序を重んじ、「いい子」になるように指導されますが、えてして起業家はその反対の性質でなければ生き残っていけないと思います。
だからこそ、公的な教育ではない、家庭教育などが起業家精神の育成を左右すると指摘しています。
とはいえ、親も子どもに「いい子」に育ってほしいと思いがちでしょうから、兼ね合いが難しそうですね。
まずは、子どもの独創性については褒めて伸ばすというところからでしょうか。
また、ベンチャー大国というイメージがありますが、著者はアメリカの起業家支援政策は全くダメで、支援はしないのに税金をとるときだけ重視してくるとおカンムリです。
景気が悪くなると銀行もすぐに手のひらを返す、と全く信用していません。
それでも、景気が後退する時、アウトソーシングが進んでいる今こそ起業家にとってはチャンスだと鼓舞しています。
自分の将来がどうなるかはわかりませんが、起業家精神はぜひとも持ちたいですね。
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