最近話題の小林多喜二・蟹工船。
読んでみたいとは思っていましたが、難しそうで手を出せませんでした。
が、たまたま書店で読みやすそうな本を見つけて立ち読みしてみました。
内容をご存じの人も多いと思いますが、簡単に説明すると、
生活に困った人が、ロシア近辺でカニをとり、缶詰を作る漁船に出稼ぎで乗り込んだはいいけど、会社と現場監督が酷い人間で、自らの業績・成績のために労働者に過酷な労働を強い、食事や休息をほとんど与えず、逃亡も許さず、最後は主人公が団体でストを試みるも失敗してしまう。
・・・が、最後はそれを見て立ち上がった人が船内の労働者すべてをまきこんでストを行い、成功させる、というストーリーです。
もちろん、船内に労働組合などありません。
近年、格差社会がクローズアップされていることに伴い、共産党(ブームで入党者1万人とか?)やプロレタリア文学が注目を浴びているという話を聞きますが、この作品は確かに読む価値があると思います。
無論、作品の時代と現在では、社会の環境などが全然異なるので、この作品で格差社会を考えるきっかけにとまではいいませんが、人間とは何のために生きているのか、人間の尊厳とは何か、ということを考える機会にはなると思います。
自分が蟹工船の労働者だったら、何か守るべきものがないと耐えられないと思います。
そういう意味で、労働者が出稼ぎ中心だったのは当然でしょう。
なお、この作品は労働者と資本家の利害対立というのが一つの軸として描かれているように思いますが、グローバル化で資本の移動も自由になった一方、投資の役割がこれまで以上に重要になっている今、この課題にどのような答えを出すかというのも問われているように思います。
投資に見合う配当を要求する投資家にハゲタカといっても始まらないですし。
機関投資家である我々にとっても他人事ではないですね。