8月28日に、金融庁が平成21年度税制改正要望を公表しました。
(金融庁の当該サイトはこちら )
主な内容は、
①『日本版ISA』(小口の継続的長期投資非課税制度)の創設
→小口投資家の非課税枠の創設による、小口投資家のインセンティブの向上
②高齢者投資非課税制度の導入
→高齢者の投資非課税枠確保による高齢者保護
③証券税制の特例措置における投資家利便への配慮
→確定申告の簡便さの確保等による投資家利便の向上
④確定拠出年金(401k)制度の充実
→確定拠出年金の拠出限度額の拡大等による一層の普及、老後の安心向上
⑤金融商品間の損益通算の範囲拡大
→投資家のリスクの軽減
⑥組合型投資ファンド課税(1号PE)の見直し
→事業再生ファンド、ベンチャーファンド等に対する海外資金の流入の促進
※「1号PE」とは、法人税法第141条第1号で国内源泉所得に対する課税が定められている、外国法人が有する国内施設(支店、工場、事業所等)を指します。
⑦生命保険料控除制度等の見直し
→生命保険契約者の自助努力の促進
などです。
この中で、私が特に注目しているのが、日本版ISAと1号PEの見直しです。
日本版ISAとは、一定額の配当を非課税にすることで、小口の投資家でも投資に対してメリットがあるようにするという施策です。
日本には1500兆円の金融資産があり、その大部分が預貯金で、投資には十分活かされていないという指摘がありますが、このような小口投資家の増加は、「貯蓄から投資へ」という流れの拡大に寄与するように思われます。
無論、投資信託への資金流入も期待できるし、その結果、金融市場、日本経済の活性化にもつながる可能性も高いでしょう。
また、1号PEの見直しにより、国内投資ファンドに対する出資が1号PEによる課税対象から外れた場合、事業再生ファンドやベンチャーファンド等に対する海外資金の流入増につながり、日本経済の活性化が期待できます。
既存の欧米の大規模機関投資家のみならず、最近では中東などの政府系ファンドなども大きな資金力を持っているので、このような海外資金とどのように取り込んでいくのかが今後の日本の大きな課題になると思われますが、そのような観点から、このような施策は重要だと思います。
ちなみに、1号PEの見直しは、経済産業省も要望しています。
これから税制改正議論が始まりますが、金融庁には頑張っていただいて、是非とも金融の活性化につながる税制改正要望を通してほしいところです。