物言う株主とのお付き合い

渡辺金融担当大臣の私的研究会「金融市場戦略チーム」の第二次報告書が公表されました(金融庁のサイトはこちら )。

報告書では、今後の課題として、金融市場のグローバル化を挙げていますが、その具体策として、

・適切な規制の見直し

・ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF、いわゆる政府系ファンド)の投資受け入れ

・対内投資促進

を挙げています。なお、SWFについては、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の廃止も検討すべきと指摘されています。

このうち、対内投資促進、については、内外差別の抑制、市場参加者との対話による適切な規制の確保などが指摘されています。

特に内外差別の抑制については、公共性の侵害が必ずしも外資からのみ行われるものではない、と今般の空港や電源開発に対する外資株主との関係に関する議論を踏まえたような指摘がありました。

この点、渡辺大臣も同様の主張をされていたと思いますので、金融庁としても一貫した姿勢なのか、と思います。

しかし、現実には、空港に関する外資規制こそ見送られたものの、電源開発については、政府は公共性の侵害の可能性について十分な根拠を示さないまま中止勧告・命令を出してしまったように思えます。すなわち、金融庁の考えとは逆の方向に針を進めてしまったのでは、という感じがします。

せっかくなので、電源開発 とTCI (買収側ファンド)のやりとりを見てみようと、電源開発・TCIのホームページを見てみました。

どちらの言い分が正しいのかは神のみぞ知る、のかもしれませんが、電源開発は自分の意見の正当性をただひたすら(主観的に)訴えているだけの感があるのに対し、TCIの方は、業績の推移、業界他社との比較、電源開発意見の詳細な分析・反論などを大量の資料を作成して、電源開発株主、あるいは世論に訴えようとしています。

私は、少なくとも両者のサイトの資料を見ているだけだと、TCIの方に説得力があるように思えます。

経済のグローバル化が進み、対内投資を促す中で、このような問題への対処は非常に重要です。

内資でもなく、事業会社でもない投資会社の場合、数字でロジカルに語り合う必要がありますが、このようなIRをしっかりこなせる会社がどれほどあるでしょうか。

電源開発を見ている限り、IRの重要性が叫ばれている割には対話が全然噛み合ってないように感じました。

政府の説明責任の履行状況についても然り。

今回の報告書がしっかりオーソライズされて、各企業・政府に従来以上のIR体制が築かれることを願います。

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