西洋史概論(2)_レポート提出

苦手な科目は学習に時間がかかる…

奈良大学で学習する歴史は考古学あるいは日本史に限らず、東洋史や西洋史など海外の歴史も含まれます。東洋史などは中国の現代史までカバーします。
その中には自分が今まで関心を持っておらず土地勘がない分野も含まれます。そのような分野もカリキュラムの中で強制的に学ぶことになるのは大学という枠組みの素晴らしいところだと思いますが、やはり学習に時間がかかります。

4月末くらいに本格的に学習を開始して半年ほどは学びやすい科目を中心にテキスト購読やレポート・試験を進め、順調に単位を取得していました。特に今年は試験が在宅であったこともあり、かなり余裕があったと思います。
しかし、苦手な科目、関心の薄い科目を後回しにしたツケは当然回ってくるわけで、10月頃に美術史概論に学習を始めてからはテキストの内容が頭に定着しないし、レポートでも何を書けばいいのか整理に時間がかかりました。

それでも美術史概論は日本の歴史上の作品がテーマだったので少しずつ前進しましたが、その後の西洋史概論はさらに苦戦しました。
以前の記事でも書いたように西洋史になじみがないので似た名前の人物が多数登場すると誰が誰かわからなくなってしまうということがよくあります。
加えて地理関係も日本ほどわかるわけではないので、歴史上のイベントがイメージしにくいというのも理解を妨げていた要因だと思います。

それでも何とか年内にはレポートを提出するという目標を達成するために何度もテキストを読んだりノートで整理したりして、一応レポートを提出することができました。
テキストを読み始めてレポートを提出するまで2か月以上。これほど苦戦するとは思いませんでした。

ただ、先ほども書いた通りこのような機会がなければ古代ローマに関する書籍を複数精読して、歴史上の人物の名前や業績を整理したうえで理解することはなかったでしょう。また、苦労したからこそ記憶に長く残るということもあると思います。
やはり自分の関心のないことも学ぶことになるカリキュラムは視野を広げるうえでも大事だと思いました。

 

後期ローマ帝国の統治体制

西洋史概論のレポートは古代ギリシア・古代ローマについて与えられた7つのテーマから一つを選び、6400字程度で論じることとなります。
そのうち私が選んだテーマは後期ローマ帝国体制についてでした。「後期ローマ帝国体制」と一言で言っても論点は様々ですが(なおキリスト教の普及については独立した別のテーマになっていました)、私はそのうち統治体制に焦点を当てて論じることとしました。

古代ローマは王政から共和制、元首制から帝政へとその政体を変えつつ、最終的には東西ローマ帝国に分割され、西ローマが476年に帝政を終え消滅し、その後は東ローマ帝国が単独で残り、1453年(いわゆるコンスタンティノープルの陥落)まで続くと理解していますが、後期ローマ帝国体制はそのうち元首制が終わった時期(セウェルス朝断絶時)から西ローマ帝国の消滅までを論じています。

後期ローマ帝国体制の統治体制も多くの論点があると思いますが、私が着目したのは元老院議員の地位の変遷分割統治体制の導入です。
よく知られていますが、ローマ帝国という国家は基本的には元老院議員がリードする政体でした。元首制の時代に入ると特定の人物(アウグストゥス)に権限が集中するなど実質的には帝政ともいわれながら形式的には共和制の体をとっており、元首も元老院議員の構成員でした。我が国の総理大臣が国会議員であることと似ているかもしれません(首相は立法府の長ではありませんが)。その中で元老院議員は影響力を維持していました。
そして元老院議員は超富裕層であり、多くの人に施しを与える名士でもあったため市民からの支持もあったといえます。
何より、ローマ帝国の(主権者の)呼称であるSPQR(ローマの元老院と市民)という文言に元老院の存在感が現れています。

しかし、その元老院の位置づけは後期ローマ帝国の統治の変化と合わせて変わっていきます。言い換えると、ローマ帝国の統治者であった元老院の位置づけの変化自体がローマ帝国の統治体制の変化を表していることになると思います。

また、広大なローマ帝国を一人で統治するのは限界があるためウァレリアヌス帝やディオクレティアヌス帝によって分割統治体制が導入されましたが、当然この体制は良くも悪くもローマ帝国の統治に大きな影響を及ぼしたため、この点の論述にも力を入れました。

最初に分割統治体制の導入について考えた時には思い切ったことをするものだと思いましたが、実は分割統治という事例自体は意外にあるような気がします。
例えば日本でも室町時代には京都の室町幕府と鎌倉の鎌倉府(鎌倉公方)で東西を分割統治していたことを思い出しました。
現代では企業経営におけるカンパニー制が分割統治のイメージなのかもしれません。

 

・・・とつらつらと書き連ねると意外に簡単に6400字になりました。決して人名が長いからではないと思います(笑)
使用した参考文献がテキスト含め3冊しかなかったのでそこをどのように見られるか不安ではありますが(奈良大学の掲示板を見るとかなり参考文献を読んでいる方が多い印象です)、紹介されている参考文献リストでそれ以外に図書館で借りられるものがなかったので、とりあえず参考文献は3冊という状態で提出しました。
それでもそれなりに内容はある…はず。

自信満々とは言えませんが、難関だった科目のレポートを年内に提出することができ、のんびりと年越しをすることができそうでよかったです。
残る概論系科目は史料学概論のみ。こちらも重量級のようですが関心のある内容なので楽しんで取り組みたいと思います。

2021年は法学も歴史学も大いに学習が進んだ一年でした。
2022年も実りある年になりますように!!

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