(一個人から見た)外資系の実態

最近時々キャリアについて話し合ったり、キャリアについて悩んでいる人を見かけたりします。

自分自身転職したり留学したりする中でキャリアについて考えることは多かったし、それなりに良い経験も悪い経験もしているので、できるだけそれをシェアしたいと思っています。

さて、キャリアの話をしているとよく出てくるのが「外資系ってどうなの?」という話題です。
給料がよく、グローバルな仕事ができ、英語が飛び交っていてカッコいいけど、結構シビアな世界、というイメージを持たれがちで、実際にそういう風に聞かれることがよくあります。

で、実際のところはどうなのでしょうか。
自分が経験してきた日系2社、外資系2社(北米系)の経験と知り合いから聞いた情報を基に比較してみたいと思います。
どの会社も最大手ではないので、業界内での立ち位置というバイアスはないと思います。

なお、外資系と一言で言ってもマクドナルドやジョンソン&ジョンソンのような事業会社からアップルやグーグルなどのIT系、ゴールドマンサックスやバークレイズのような外資金融(投資銀行)など様々あるなか、私の経験は基本的に運用会社になりますので、外資系全体から見たら偏りのある可能性があることをご承知置きください(そもそもサンプル数が限られている時点で偏りがある可能性がある訳ですが)。

1. 英語
私の担当はコンプライアンス(法令・ルール遵守)業務で、基本的には日本の法令をカバーする、という点では日系も外資系も同じです。
そのため、日常業務では外資系運用会社も日本語がベースです。

しかし、外資系の場合、グローバルにコンプライアンスポリシーがあって本社に合わせた取り組みが求められたり、ファンド設定や運用のオペレーションで海外オフィスと連携する必要があったりするため、海外オフィスとの間で英語によるコミュニケーションが求められます。
コンプライアンスだけではなく、例えば財務部門なども本社との連携が求められるので英語を使っているところをよく見かけます。
したがって、管理部門だからといって必ずしもドメスティックではなく、英語はそれなりに必要です

どのような形で求められるかは会社のポリシーやポジション・職位によって異なってくると思いますが、私の場合、最初の外資系ではほとんど英語を使いませんでしたが、現在は日々海外オフィスと英文メールをやりとりしたり、海外と電話会議をしたりしています。

職位が高くなるほど海外オフィスとのコミュニケーションが求められるようなので、今後英語の必要性が高まることはあっても、少なくなることはなさそうです(会社が変わらなければ)。

ちなみに運用部門などでは日系でも海外との連携が多く、英語も使っているでしょうから、職種的に海外とのやり取りが多い場合は、英語の必要性については日系も外資系も変わらないと思います。

2. オフィス環境
外資系のオフィスと言っても会社によって様々で一概には言えないでしょうが、私の経験だけで言えば、外資系オフィスの方が一人当たりのスペースが広く、パーテーションも高く、一人一人のスペースを重視しているように思います。

現在の私のスペースは、最初新卒で入った日系の会社の自分の2倍くらいあります(当時の部長のスペースより広い)し、日系にいたときはパーテーションはなかった(途中で設置されましたが)、外資系に移った後は両方の会社でパーテーションはありました。

また、外資系の方が職員が気持ちよく仕事できる環境を重視しているようで、コーヒーなどは無料で提供してくれることが多いです。
某外資系運用会社では某人気コーヒーチェーンのコーヒーが無料で好きなだけ飲めるそうです。
さらに某外資系金融情報ベンダーではコーヒーだけでなく果物やお菓子(スナック)も食べ放題で、逆に食べることに夢中になってしまうのではないかと思ってしまいます(笑)

もっとも、自分の勤務していない日系企業・日系運用会社のオフィスに入ったことがあまりないので、他の日系企業のオフィスがどんな風になっているかは結構興味がありますね。誰か招待してくれないかなー。お待ちしてます(笑)

3. 人間関係
人間関係は外資系の方がフラットな感じがします。
日系だと、上司のことは「◯◯課長」、「◯◯部長」、「◯◯常務」、「◯◯社長」と呼ぶのが一般的ですが、私の見聞きする限り、外資系では誰に対しても「◯◯さん」です。
社長でも「◯◯さん」ですし、海外にいる同僚や目上の人に対してはファーストネームで呼ぶことも珍しくありません。
呼び方だけでなく、普段のコミュニケーションも日系と比べると比較的気軽です。外資系でも規模が大きくなると社長にも気軽に、とはいかないでしょうが、それでも同規模の日系企業に比べると幹部の方ともかなりフラットに話せると思います。
言い方を変えると、外資系の偉い人は日系の同職位の方と比べ、職位を気にせず話してくれる傾向がありそうです。

ただ、今でも初めてメールを送る海外オフィスの同僚に対しては、「Hi, xxx-san」と書き出し、先方がファーストネームで返信してきたら、以降はファーストネームで呼ぶことにしています。
多国籍とはいっても、社会的・文化的な背景が異なる欧米系の同僚とアジア系の同僚で同じように接しても良いのか、今でも悩むことは多いです。特に目上の人に対しては。

あとは属人的な問題なので、日系か外資系か、というよりどういう人が会社にいるか、という問題になりそうです(社内政治やセクショナリズムなどは会社の規模や沿革などによるので日系でも外資系でも同じように存在するように思います)。

4. キャリア観
日系と外資系の最も大きな差は役職員のキャリア観だと思います。
日系の場合、その会社で勤め上げることが前提で、転職を前提に仕事をしている人はあまり多くないように思います。
もちろん最近は転職に関する話題はよくインターネット上でも見かけますし、資産運用業界は日系・外資系問わず比較的人材の流動性が高いので、日系でも転職して入ってきた方は多いのですが、それでも外資系に比べると転職に対する意識は強くない気がします。

一方外資系の場合、新卒ではな
く即戦力の中途採用がメインであることもあり、転職は当たり前、という意識が強いです。
担当する業務についても、「これが自分の履歴書にどのような付加価値があるか」を考えて行いますし、それは「自分がどのような人材になりたいか」「どのように市場価値を付けたいか」ということを考えているということでもあります。
それが積み重なれば、次の転職においても高い評価を受けられるということです。

外資系企業の場合、自分の専門分野が中途採用の場合はもちろん、新卒でも決められていることがある一方、日系企業の場合、担当業務は人事に決められ、定期的に異動があることが多いと思います。そうなると自分のキャリア・付加価値は会社にコントロールされます。
したがって、自分の強みも自分でコントロールしにくくなり、自分の専門分野を築くのも難しくなると思いますし、特定分野で転職活動をしようと思っても、その分野に特化してキャリアを積んできた人に対し競争優位に立てないと思います(もちろんローテーションのメリットも否定はできませんが)。
もちろん、日系企業で勤務している人の全てにこの話が当てはまる訳ではないでしょうか、傾向としてはあるのではないでしょうか。

ただ、よく言われるように、解雇については外資系の方がシビアです。
外資系だからといって常にクビと隣り合わせというわけではないですが、例えばリーマンショックのときなどは、運用業界を含め多くの外資系金融機関でリストラがあったと聞いています。
一方、日系の金融機関については外資系ほどばっさりリストラを敢行したという話はあまり聞きません。
グローバルで見た場合日系金融機関のダメージが小さかったという事情もありますが、ビジネスの撤退に対する判断は外資系の方が迅速に判断する傾向にあるようですし、その結果、当該ビジネスの担当者の解雇というのも少なくありません。
もっとも、その判断が迅速であるが故に会社全体のダメージを減らせるということもあるでしょうが、いずれにせよ、外資系企業で働いている人はそういう意識はどこかで持っているでしょうし、だからこそ自分の市場価値を意識して仕事をしているのだと思います。

実際、前職では「この仕事はこのように履歴書に載せる・履歴書に付加価値を付ける」ということをいつも話しながら仕事をしていましたし、転職のときもその意識をベースにPRしていました。

また、海外留学・MBAについては外資系企業の方が高い評価をする傾向にあります
これは英語力の必要性というのもありますが、その他に自分でキャリア開発をする意識自体を外資系企業の方が評価するからではないかと思います。
実際MBA留学から帰ってきたときの就職活動では、多くの日系企業にはその部分を評価されませんでしたが、採用してくれた会社(外資系運用会社)は、英語力だけでなく自分でリスクをとって留学したこと自体が素晴らしいという評価をしてくださいました。

また、外資系の方が女性が幹部・管理職として働いている傾向にあります
私が働いてきた企業だけでなく、外資系金融機関との面接の中で多くの女性幹部・管理職にお会いしました。一方、日系企業の面接ではほとんど女性の管理職の方にはお会いしませんでした。
こちらも職種・業界の偏りがある可能性は否定できませんが、外資系企業は多様性を重視する傾向がありますし、多くの業界で同じような傾向があるように推測します。
もちろん、家庭を持ち、育児をしながら活躍している女性も多いので、その点でいえば、特に仕事を頑張りたい女性には外資系企業も選択肢の一つに入れてもらいたいものです。

以上、私の経験から見た外資系企業と日系企業の比較です。
あくまで私の見聞きした範囲内で、特に運用業界という特定の業界+αの話に過ぎませんので、突っ込みどころは多いでしょうし、どこまで一般化できるかは不明です。
私が外資系企業の方でより充実した仕事ができているので外資系推しなトーンですが、日系企業の方が落ち着いて仕事ができる、という方も多いと思いますので、日系企業の方がダメとも言えません。

ただ、これを読んで外資系企業で働くことについて少しでも関心を持ってくださる方がいらっしゃれば嬉しいです。

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