早いもので、去る木曜日に1学期の授業が全て終了しました。
ロッテルダムに来てちょうど2ヶ月、時が経つのは早いものです。
その間に授業を受けたり、友達を作ったり、バルセロナに行ったり、写真展を開いたり、色々ありました。
まだ2ヶ月、それなりに自分も変わったかなと感じることもあり、まずは充実した時間になっているように思えます。
試験直前ではありますが、せっかくですので1学期の授業を振り返ってみたいと思います。
Human Resource Management (HRM)
教授はCambridge大学のビジネススクールから招聘。まさに英国紳士という感じです。
人的管理ということで、人の能力をどのようにすればうまく活用できるか、という内容です。
どのように組織のメンバー同士コミュニケーションをとるか、どのタイプは社内でどのような位置づけになるのか、組織の発展フェーズと人的管理、などのテーマを扱いました。
この授業で印象に残っているのが、クラスメイトととのロールプレイング。自分は経験豊かな部下、相手は自分を追い越して出世した上司(元同僚)です。
部下役、上司役にそれぞれ自分の考え方や状況を説明した資料が配られ、それに基づき上司と部下の関係の改善策を探ります。
部下は上司を「仕事は自分よりできないけれど、上司にうまく取り入って出世し、しかも自分を潜在的なライバルと見なしてメンバーの教育などつまらない仕事しかよこさず、業績を上げることもままならない状態に追い込んでいる」と見ています。
自分もその資料しか読んでいませんから、その立場に基づいて、上司とのミーティングで上司を責め立てます。
上司は、「よくわかっているけど、君には将来のリーダーとしてメンバー教育の経験も積んでほしいんだ」と言います。
しかしこちらは、それこそが出世の阻害要因だと思っていますし、上司のことも信用していませんので、「こっちだって時間がないんです。あなたはリーダーだからメンバー教育のこともわかっているでしょうから手伝ってくださいよ。そもそもメンバー教育ってちゃんと評価されてるんですか?されてなかったら骨折り損です」などと、欧米人気分で言いたいことをとことん言います。
結局、お互い折り合っていこうという話で落ち着いたのですが、後で上司側の見方を見せてもらうと、「あの部下は仕事はできるが気難しくて扱いにくい。一方自分(上司)は広く信頼され、将来の幹部として期待されている。将来の幹部候補として、件の部下をどのようにコントロールして業績を上げていくかが期待されている」ということで、メンバー教育についても、その部下がうまくチームになじむように配慮されていたそうです。
資料に基づいてのロールプレイングだったとはいえ、ずいぶん一方的な見方で上司を責め立ててしまったものだと思い、立場変われば見方が変わり、また思い込みを乗り越えるのは難しいということを学びました。
キーワード:
Performance=Ability×Motivation×Opportunity
Business Society Management (BSM)
教授はコスタリカの名門・INCAEビジネススクールから招聘。
ビジネスと社会の関係、サステナビリティなどについて学びました。
この授業で初めてプレゼンを行いました。テーマは某農産業企業のサステナビリティ戦略について。
サステナビリティのほか、BOP、CSR、FairTradeなどについて学びました。
授業全体としてのメッセージは下記の通り、「ビジネスは様々なステイクホルダーに与える影響について考慮する必要がある」という内容でした。
ちなみに他の科目が10コマだったのに対し、HRMとBSMは6コマだけでした。
外部から招聘しているという事情があったのかもしれませんが、もっと話を聞きたかったという思いはあります。
この教授については4学期に選択科目で受講可能とのことですので、今はそれを楽しみにしています。
キーワード:
Relationship with stakeholders (特にNGO)
Managerial Accounting (MA)
RSMの教授2人による分業。
タイトルのごとく、会計の基礎について学びます。
会計の概念とケースを併用した授業でした。
キーワード:
Accounting is a language to understand performance and improve decision making.
Quantitative Platform of Business (QPB)
RSMの教授による統計学の授業。
偏差、正規分布などの基礎的な概念から、分散検定(t検定、F検定など)まで。
こちらも理論とケースを併用した授業です。
統計学は概念が難しいだけに退屈でわかりにくい授業になるかと思っていましたが、教授のプレゼン(話し方、説明の内容、雰囲気作り)がうまく、また復習にも十分な時間をとるため、クラスメイトの評判はすごく高いです。
キーワード:
Normal distribution, Regression analysis, ANOVA
Organizational Behavior (OB)
RSMの看板教授による組織行動論の授業。
組織行動論とは、組織の中で人がどのように考えるか、どのような要素がどのように働くか、という内容で、Human Resource Managementと似ていますが、より人間の性格・考え方など内面に焦点を当てた内容になっています。
さすが人気教授、授業中にはユーモアを交えた説明で常に授業を明るい雰囲気に包みながら学生をうまく巻き込んでいきます。
自分は残念ながら話についていくことはできませんでしたが、常に笑い声が絶えないので、座っているだけで楽しかったです。
キーワード:
Motivation theories, Management/Leadership, Cultural Barrier,
Commitment/Engagement
Management Science (MS)
RSM助教授による数学・統計学などのビジネスへの適用に関する授業。
数学・統計学に関する理論を学びながら、統計ソフトを使いながら実際のビジネスケースに置ける経営判断の練習をしました。
若干QPBと重なる内容もありますが、こちらはソフトを使ったより実践的な内容で、実際にチームでビジネスケースを与えられ、ソフトを使って経営判断を行うワークショップが3回ありました(一定の確率内で起こる事象への対応、Decision Tree、資源配分の最適化)。
こちらの先生も授業のコントロール、とりわけ授業の演出がうまく、すごく人気でした。
また、任意参加の補習、試験対策講座についても数度開いてくれていて理解できていない部分(=自分の場合はほとんど)を補うのに非常に助かりました。
1学期に担当された教員のうち、もっとも学生に愛されているのは彼だと思います。
ちなみに、彼はLondon Business SchoolでPh.Dを取得した優秀な方なのですが、CVを見ると、趣味の欄にテニスと書いてあり、しかもかなりの上級者であるとのことです。
クラスメイトの間では「彼にテニスのコーチをしてもらおう!」という話まで出ています。
どういう内容がどこで役に立つかわからないものですね。
そういう意味で、CVは細部まで作り込んでおいた方がいいと思いました。
キーワード:
Various companies have benefited with Management Science.
以上、1学期の授業について簡単な振り返りでした。
1学期はビジネス知識の基礎作りということで、ビジネスの現場で活用するというより、ビジネスリーダーとして必要な内容でしたが、それぞれ新鮮な内容でした。
2学期はMarketingやStrategy、Financeなどよりビジネスの現場に近い内容を学ぶことになりますので、非常に楽しみです。
ということで、まずは1学期の試験を無事に乗り切って、充実した春休み、そして2学期を迎えたいと思います。
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