官僚に学ぶ仕事術

MBA受験を志し、様々なルートでいろいろな人とのつながりを求めていくと、面白い人に良く出会います。

その中の一人に、現役の官僚の方 がいらっしゃいました。

その方は欧州トップ校に留学され、現在も中央省庁で働かれている方なのですが、留学している間に、欧州の人々に通底する「人生を楽しむ姿勢」を学んだそうです。

効率的に仕事をするのはもちろんのことですが、物事に緩急をつけて、仕事だけではなくプライベートにも重点を置いた生活をする、ということですね。

最近、日本でも「ワークアンドライフバランス」などという掛け声はありますが、実際にそれが進んで多くの人が残業から解放された、という話は聞きません。言うは易し、行うは難し、ということでしょう。

そして、日本で最も忙しいと思われる職場に中央省庁、俗にいう霞が関があります。

一般に言われる公務員のイメージとはある意味正反対で、朝から晩まで仕事の連続。不夜城とも言われ、徹夜の仕事が続くことも珍しくないようです。中央省庁で働く方々のTwitterのつぶやきを見ていても容易に想像できます。

当然のことながら、そのような職場でワークアンドライフバランスを実践しようと思えば相当に努力とテクニックが必要になるのは想像に難くありません。

しかも、単に作業が多いというだけでなく、質の高いインプットとアウトプットも求められるでしょう。

そのような条件下で、その官僚の方が効率的に仕事を進めるために考えた工夫や考え方が一冊の本にまとめられました。

お付き合いもあるし、常日頃仕事や勉強を効率的にしたいと思っていましたので、Amazonで予約をしていたところ、「献本するので書評をお願い」というお話があり、これは面白いと思って予約をキャンセルし(すみません!)、人生初の献本をいただくことになりました。

ということで、以下書評です。あまりネタバレにならない程度にご紹介します。

最初に官僚の方の働きぶりが紹介されているのですが、彼らの業務量は確かに多い。

しかも、時間の制限がある仕事が多いようです。国会対応しかり、一般的な業務しかり。

パブリックコメント対応もおそらくその中に入るのでしょう。パブリックコメントの意見は玉石混合なので、対応もさぞかし大変であると思います(的外れな意見は「貴重なご意見として-」とバッサリ切られているように個人的には感じていますが、その対応もそれなりに時間をかけて対応されていることでしょう)。

さらに、専門家でないにもかかわらず、担当する分野について一定程度の知見を求められるため、社内外のリソースを最大限に活用して短時間で大量のインプットをする必要があります。

そのような無限にも思われる大量のインプットをいかに効率よく行い、良質なアウトプットにつなげるのか、ということについて多くのコツが説明されています

また、彼らの上司にあたる国会議員を支えることも重要な仕事です。時間に追われている議員にどのように効率よく、ポイントを押さえて、かつ気持ちよく話を理解してもらうか。当然のことながら、これは民間企業で働いていても求められる能力です。

そのような忙しい上司の対応方法についても触れられています。これは社会人として是非学んでおきたいポイントです。

さらに興味深いことに、霞が関では人間関係がかなり重要とのことです。上下関係に厳しいということもあるでしょうが、やはり部署間での連携が必要になることが多いということもあるようです。

そのような人間関係を上手に築き上げ、また良好な状態を保つ秘訣についても触れられています。

MBA受験の過程で多くの人の協力を仰いでいますが、本当に人間関係というのは大切です。

社内はもちろん、社外の人と広く、強いつながりを持っていることは公私ともに大きなプラスになると思います。

自分も含めて、多くの人にこの秘訣を実践して、横の広がりを作ってもらいたいものです。

僕自身そのような人間関係を求めていますので、読者の方からの連絡お待ちしています(笑)

このほか、速読術や英語の習得法についても触れられていますが、この本の売りはどちらかというと上記の内容だと感じていますので、これらの内容については割愛します。

ただし、内容は非常に面白かったので、是非ご一読することをお勧めします。念のため。

ちなみに、この方は結構ゲームや漫画が好きな方で、英語の勉強法として、ドラクエを英語でプレイされたそうです。

ドラクエ用語の日英一覧があったりして、思わず読み込んでしまいました。

例えば、ベホマラーは、「HealUs」らしいです。なるほどー。

ちなみに、著者は、愛読する本の著者の友人でもあるそうでびっくりしました。

最後に、印象に残ったひとことを紹介します。

それは、「自分がコントロールできることに集中する」。

自分を取り巻く環境には自分でコントロールできることとできないことがありますが、自分でコントロールできることについては努力すべきですが、コントロールできないことについては、コントロールをしようとしたり腹を立てることに意味がない、ということ。

そういう時こそ落ち着いて、その状況下において最善の行動を考えるべきということです。

電車が遅れたり、天気が悪かったり、あるいは職場の人事などもそういう面があるでしょう。

そのようなときに、与件は変えられないのだから、それをネガティブに受け止めるのではなく、その中でどのようにすれば自分にとって良いのかを考えることが、精神的なゆとりにつながり、ひいては満足度の高い生活につながるのだと思います。

日本人は勤勉だと言われる一方、一人あたりのGDPや生産性はかなり低いという意見もあります。

つまり仕事の効率が悪いということです。

効率性が低いために長時間働かざるを得ず、結果として心身を摩耗し、人生に閉塞感が漂う。悪循環そのものだと思います。

一方、そのような低い生産性の原因には日本人サラリーマンの意識に基づくものもあるでしょうから、仕事の仕方を意識して返るだけである程度生産性が上がるようにも思えます。

まずは本書を読んで多くの人が仕事の効率的な進め方を意識するようになり、無駄な労働時間が短縮されれば、社会全体の笑顔の量も増えて、明るく活気に満ちた社会になるのではないかと思います。

多くの国民が自由で明るく、寛容な態度を持つ国、オランダ(人生を楽しむ姿勢については当然イギリスも同様だと思います)に学ぶことを志す人間として、非常に勉強になる一冊でした。

官僚に学ぶ仕事術 ~最小のインプットで最良のアウトプットを実現する霞が関流テクニック~ (マイ…/久保田 崇
¥872
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官僚に学ぶ仕事術 への1件のフィードバック

  1. マザッチオ のコメント:

    SECRET: 0
    PASS:
    初めまして、社会人経験してから英国の大学院留学した私は私が英国で痛感したのが”社交”の大切さでした。クラスメートは同じ量の課題を与えられているのに社交は必ずこなしていました。ここらへんが人生を楽しむ姿勢の違いなのかと感じました。

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