沖縄米軍基地移転問題について

昨今、議論がなされている普天間基地の移設問題。

首相が沖縄を訪問した記念の日に稿を寄せることとしました。

認識が未熟な点はご容赦ください。

この問題を考える上では、まず、そもそも何のための日米安保・米軍基地かを考える必要があると思います。
安保条約は遡ると1951年と冷戦体制下において締結されたものであり、時代遅れとの指摘もありますが、現実問題として対中国も含め東アジアの安定は確かなものと断定することはできず、またテロの存在もあることから、現在における日米安保の意義そのものを否定することは難しいでしょう。
その意味で、国外に米軍基地を移転させるという計画もまた非現実的ではないかと思います。
また、日米安保の意義を認め、米軍基地の意義を認めるのであれば、その有効性についても検討がなされるべきであるのは言うまでもありません。
米軍の運用に際しては、特に
①自衛隊・米軍の役割の明確化
②米軍の運用の実効性
③様々な状況における自衛隊と米軍の連携
については検討が必須であると思われますが、その点で米軍の一体的運用が難しい(と米軍が主張する)分離・一部移転もまた現実的でないと思います。
となれば、現状通りの沖縄内での移転(もしくは普天間のまま)か、近隣地域(徳之島も厳しいらしいが九州地方が限界か)への包括的な移転が必要と考えられます。
となると、最後の関門は住民の意思となるでしょう。

住民の反対する理由の最たる(唯一?)ものは安全だと思います。
安全には、①軍事行為に付随するもの、②米軍関係者の不法行為に分類できると思われますが、②については日米地位協定第17条をざっと読んだ限りでは、一般的な不法行為については日本人の扱いと変わりはなく、日本の警察・司法当局の度胸と押しの強さが重要でしょう。まあ、これはこれで難しいのですが、現在の米国の態度を見るとこの点の改善を求めるのは比較的容易なのでないかと思います。
一方、①についても各種の対応がなされていますが、当然根本的な解決にはなりません。
本州にもいくつかの日米の基地が存在する(日米の基地を同一視することはできないとしても)ことを考えると、やはり一定の負担を九州・沖縄地方の方にお願いするのはやむをえないと思われます。
だからこそ、名護市・辺野古の方々も一度は了承して下さったのでしょう。
結局のところ、民意をバックにしたようで、民意をないがしろにしている現政権のやり方は、組織として仕事の流し方が落第点というだけでなく、甘い見通しと期限(≒進退問題)にばかり気を取られ、民意を最も大切にしなければいけないのに民意を真摯に把握せず、対話して理解を得ようともしてこなかった点で批判は免れないでしょう。
また、基地をただの箱モノと捉えている時点でも、外交的な思考能力に疑問符を付けざるを得ないと思います。
もう時間はありませんが、日米安保の意義について考え抜いたうえで、その運用についても最適化を目指すと共に、地位協定の改定や実効性の強化などについて米軍や地元の方々と十分に対話し、関係者が納得し、日米・国内の信頼関係の既存を最小化できるような案を策定してもらいたいと思います。
ちなみに、安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)では、その目的として
・両国間に伝統的に存在する平和及び友好の関係
・民主主義の擁護
・極東における国際の平和及び安定の維持
が掲げられています。
なお、日米安保条約の前文によると日本にも集団的自衛権があるらしく、第三条によると、憲法で自衛目的の武力の保有も認められているようです。
また、第十条によるとどちらかの通告により条約を破棄することは可能であり(形式的には平等)、その意味で日本が積極的に条約の改定をリードしていくことは可能であると思います。

今回の問題において沖縄あるいは近隣の方々にどのようにお願いするかは非常に難しい問題です。
特に沖縄については当の米軍と熾烈な戦いを演じており、それを肌感覚で感じている人が多いと思われ、本州等の人間の感覚で考え、語ることは不遜であると思いもします。
だからこその沖縄の苦悩でもあるでしょうし、これに報いるには、経済的援助の如何以前に、本州の人間、あるいは米軍の人間が沖縄の苦悩についてもっと敏感に、真摯になることなのではないかとも思います。
テレビは別として、自分自身、沖縄の激戦の跡地を見たわけでもないし、沖縄の方の生の声を聴いたこともない。
まず、我々が沖縄のことについて真摯に考える機会を持ったうえで、沖縄の方々に対するお願いの仕方を考えるべきなのではないかと思います。
かつての中継貿易による繁栄を考えると、沖縄振興の余地は十分にありそうだとは思うのですが。


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沖縄米軍基地移転問題について への1件のフィードバック

  1. 登録販売者 のコメント:

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    辺野古は反対。

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